[一覧へ戻る

 番号 日付  題名 投稿者 返信元  読出数
375 12/14(火)
23:58:01
 症状報告(63) ― 気分は高木ブー  メール転送 芦田宏直  No.124  4048 

 
家内は今日火曜日からふたたび点滴ステロイド(=パルス)を受け始めた(火、水、木の連続投与となる)。9月の再燃以来(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=345.124.67)、先月も含めて(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=361)、まだ炎症が続いている。この病気は、再燃は、ほとんどの場合、“悪化”を意味する。それが証拠に11月の再燃以来(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=361)ベッドで寝込む(というか動けない)ことが多くなった。玄関で私を見送ったり、迎えたりすることすらできない。自力でトイレに行くのが精一杯で、もはや完全介護一歩手前といった感じだ。動けなくなっていく人間は、どうなるのか(どう動けなくなっていくのか)、動けなくなると何ができなくなるのか、さながら人生の“自然な”終末を短期間で体験しているのが芦田家の現在。私も息子の太郎にとっても他人事ではない。

衰えているのは股関節部位の足を引く力(これは9月の再燃で目立ってダメになった部位)。これができないと、たとえば、すわったまま膝を立てたりすることすらできない(らしい)。だからもちろん立てない。脊髄の神経がやられると、そこから下の神経がやられ、同時にそれと並行してそれに付随する筋力低下が必然的に訪れる。

ステロイド治療は、“神経”をそれなりに蘇生させるが、神経の蘇生の時間性と筋力の蘇生の時間性(ゆったりとしか蘇生しない)とは異なるので、再燃を繰り返すと、筋力はどんどん衰えることになる。筋力が蘇生する時間を確保するためにも、再燃は阻止しなければならない。これが、この病気の最大の治療法。

しかしステロイド治療は、抗ガン剤と同じように免疫力を低下させる。生命力全体を低下させて、自己免疫性(自己攻撃免疫性)を低下させているのだから、本来の治療にはならない。本当に低下させると(免疫がなくなるのだから)、風邪を引いたり、別の病気になったりする。

先週末は、膀胱炎を併発したりして(女性は尿道が短いから、疲労がたまり免疫力が低下するとすぐ膀胱炎になる)、悲劇だった。膀胱炎に対しては抗生物質http://www.chem-station.com/yukitopics/antibiotics.htmを飲むのだから、ステロイドと逆作用のことが身体で同時に起こることになる。何をやっているのかわからない。でも、これがこの病気の治療なのだとも言える。決定的な治療薬がないのだから、こういったバランス治療に耐えうる体力だけが勝負だとも言える、さいわい家内の臓器は結構健全で、副作用の指標(肝機能=コレステロール値、腎臓、貧血、白血球・赤血球の数など)も異常はそれほどみられないから、なんとか低空飛行でも生き延びている。

しかし、ステロイド治療による別の病気の発症で抗生物質を多用しはじめると悲劇しか待っていない。その意味ではステロイド治療(人間をわざわざ反健康化するステロイド治療)をどう脱却していくかが、この病気の“治療”の鍵を握っている。

私の家内の場合、ステロイドが瞬時に効くのが“災い”して、再燃も早い。結局対症療法の悪循環なのかもしれない。要するにステロイドを徐々に減らしていって免疫力が高まると、また脊髄で炎症が起こり、炎症が起こるために、またステロイドを増量する。これでは病気は治らない。これは、抗ガン剤治療を躊躇しているガン患者やその家族の悩みに似ている。安保(あぼ)“理論”信者(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=216.124.35)が増えるゆえんだ。

担当医もステロイド治療を積極的には勧めない方針のようで、年明けに「血漿交換法http://www.asahi-kasei.co.jp/medical/ketsuekijokaho/kessho_top.htmlをやってみましょうか」と提案があった。何でもやりましょう。

しかし、ガン患者と違って面白いのは、私の家内の顔は、そのステロイド治療のお陰(副作用)で何ともふくよか。英語では、この“ふくよかな”顔(=ステロイド顔)のことを「ムーンフェイス」と言うらしい。昔から家内を知る人には、かえって今の方が「元気そう」という人もたくさんいる。それもあって足の動かない悲劇が、私には喜劇のようにしか見えない。

部屋の中でもたとえば小さなゴミ箱があっても進行を躊躇している家内を見ていると、まるで自宅が障害物競走のフィールド、あるいはジャングルのようになったみたいで、「ディズニーランドも行かずに自宅だけでこれだけ楽しめるのはあなたくらいだよ」といつも無視している(たぶん100uにも充たない我が家が彼女にはディズニーランドくらいの大きさに見えているのだろう。自宅で何日いても退屈はしないようにできている。神様は健康な人にも、病人にも世界を平等に与えている)。というのも「ムーンフェイス」で困った顔を見せられても、悲壮感がないからだ。ガン患者ならどんどんやせ衰えていくが、私の家内は高木ブーのような顎になっている(家内の名誉のために言っておくが、それほどひどくはないが)。どう同情しろと言うのか。


124 家内が緊急入院しました。 メール転送 芦田宏直 ↑この記事を引用して返信を書く
    ┣ 125 症状報告 メール転送 芦田宏直
    ┣ 128 症状報告(2) メール転送 芦田宏直
    ┣ 134 症状報告(3) メール転送 芦田宏直
    ┣ 135 症状報告(4) メール転送 芦田宏直
    ┣ 136 メール転送
    ┣ 137 症状報告(6) ― フライパンとフライパンカバー メール転送 芦田宏直
    ┣ 138 症状報告(7) ― 退院が決まりました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 139 症状報告(8) ― 自宅前の桜 メール転送 芦田宏直
    ┣ 140 返信: 家内が緊急入院しました。 メール転送 岡村 和恵
    ┣ 144 症状報告(9)― 再入院しました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 145 症状報告(10) ― この病こそ、気の病。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 147 症状報告(11) ― 分別ゴミの思想と治療の言葉 メール転送 芦田宏直
    ┣ 148 症状報告(12) ― 料理、受付、再退院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 149 症状報告(13) ― 仮退院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 150 再入院!大変ですよね。 メール転送 岡村
    ┣ 152 メール転送
    ┣ 153 症状報告(14) ― 本日(14日)、退院します。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 155 症状報告(15) ― 再々入院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 157 症状報告(16) ― 再々入院その後 メール転送 芦田宏直
    ┣ 159 症状報告(17) ― そして息子が倒れた メール転送 芦田宏直
    ┣ 162 症状報告(18) ― 〈人生〉を語ってはいけない メール転送 芦田宏直
    ┣ 163 症状報告(18)補遺 ― 人生を語ってはいけない メール転送 芦田宏直
    ┣ 164 症状報告(18)続・補遺 ― 人生を語ってはいけない メール転送 芦田宏直
    ┣ 169 症状報告(19) ― 松阪牛騒動と食器洗い機 メール転送 芦田宏直
    ┣ 170 症状報告(20) ― 女子高生を許さない メール転送 芦田宏直
    ┣ 174 症状報告(21) ― 『サミット』と『さえき』 メール転送 芦田宏直
    ┣ 175 症状報告(22) ― 仮退院の三日間はスリリング メール転送 芦田宏直
    ┣ 177 症状報告(23) ― 鹿児島小平さんからのメール メール転送 芦田宏直
    ┣ 179 症状報告(24) ― 鹿児島・小平さんからの返信 メール転送 芦田宏直
    ┣ 181 症状報告(25) ― 退院後の検査 メール転送 芦田宏直
    ┣ 190 症状報告(26) ― また入院してしまいました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 191 症状報告(27) ― 感謝します。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 192 症状報告(28) ― 先生と家内に呼ばれた メール転送 芦田宏直
    ┣ 194 症状報告(29) ― 多発性硬化症ではない? メール転送 芦田宏直
    ┣ 216 症状報告(30) ― 『免疫革命』の革命性 メール転送 芦田宏直
    ┣ 237 症状報告(31) ― 日赤は救急病院だった。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 238 症状報告(32) ― 突然の来客と東京女子医大への転院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 240 返信: 家内が緊急入院しました。 メール転送 山田千果
    ┣ 241 返信: 家内が緊急入院しました(千果さんへの返信)。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 243 症状報告(33) ― 拾う神 メール転送 芦田宏直
    ┣ 244 症状報告(34) ― 16日に東京女子医大に転院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 245 症状報告(35) ― 転院、無事終了 メール転送 芦田宏直
    ┣ 246 症状報告(36) ― 牡蠣フライはもう作らない メール転送 芦田宏直
    ┣ 248 返信: 症状報告(36) ― おいしい牡蠣フライの作り方 メール転送 芦田宏直
    ┣ 249 症状報告(37) ― フジテレビ跡地の公園 メール転送 芦田宏直
    ┣ 254 症状報告(38) ― 休むための大掃除 メール転送 芦田宏直
    ┣ 257 症状報告(39) ― お正月と紅白のその後 メール転送 芦田宏直
    ┣ 258 症状報告(40) ― 母親が泣いていた メール転送 芦田宏直
    ┣ 259 症状報告(41) ― 「お見舞い」ではなくて、「看病」 メール転送 芦田宏直
    ┣ 260 症状報告(42) ― 新治療方針 メール転送 芦田宏直
    ┣ 263 症状報告(43)  ― いちごは腐っている メール転送 芦田宏直
    ┣ 266 症状報告(44) ― 本当の「症状報告」 メール転送 芦田宏直
    ┣ 267 症状報告(45) ― 帰ってきました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 268 症状報告(46) ― とりあえず、「合格」しました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 269 症状報告(47) ― また帰ってきました(ナガシマは入院しましたが) メール転送 芦田宏直
    ┣ 280 症状報告(48) ― また再発しました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 281 症状報告(49) ― 「また再発しました」続編 メール転送 芦田宏直
    ┣ 284 症状報告(50) ― 長嶋監督に会った。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 290 症状報告(51) − 明日、帰ってきます。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 301 症状報告(52) ― 退院します。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 302 症状報告(53) ― こんな返信がありました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 311 メール転送
    ┣ 317 症状報告(55) ― またパルス メール転送 芦田宏直
    ┣ 318 症状報告(56) ― 説明に誤りがありました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 319 症状報告(57) ― 検査結果は「異常なし」 メール転送 芦田宏直
    ┣ 320 症状報告(58) ― 「暗い」と言われた メール転送 芦田宏直
    ┣ 345 症状報告(59) ― またまた点滴 メール転送 芦田宏直
    ┣ 348 症状報告(60) ― まだ良く生き延びている メール転送 芦田宏直」
    ┣ 362 症状報告(62) ― 特技は難病 メール転送 芦田宏直
    ┣ 375 症状報告(63) ― 気分は高木ブー by 芦田宏直
    ┣ 407 症状報告(64) ― 帰り道が危ない メール転送 芦田宏直
    ┣ 1053 症状報告(65) ― 退院後1年経ちました。 メール転送 芦田宏直
    ┣ 1076 症状報告(66) ― 台風とキリスト教 メール転送 芦田宏直
    ┣ 1115 症状報告(67) ― またまた再発、再入院 メール転送 芦田宏直
    ┣ 1116 症状報告(68) ― 家内も私も元気です。 メール転送 芦田宏直


 [一覧へ戻る]

375番まで読んだとして記録しました。[新着]モードで未読を表示します。