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24 7/23(火)
00:03:22
 GIGABEAT、iPod、そして「チャンネルサーバー」登場  メール転送 芦田宏直  5324 

 
 最近紹介した東芝のGIGABEATやアップル社のiPodなどが“新しい” (http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=18http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=22)のは、何も音楽が1000曲、4000曲と莫大な量、格納できるということにあるのではない。それが、日頃利用しているパソコンと結びついているということ、またパソコンと結びついてインターネットと結びついているということが“新しい”。要するにそれらはパソコン端末として“新しい”のである(もっとも将来はこれも一つのネットワークパソコンとして自立するだろうが)。

 その意味(の一つ)は、楽曲が何千曲も入り始めると、検索が必須のものになるが、その検索に必須のタイトル付けがインターネットデータベース(http://www.emd.gr.jp/business/news/2001/04/010414a.htmhttp://www.aim-inc.co.jp/press/p000413j.html)への自動アクセスにより自動化していることである。これまでは、カセットに下手な自筆で書き込んでいたが、楽曲が何十曲、何百曲、何千曲となるとそんなこともできなくなる。それを自動化するには、インターネットデータベースへとCDデータをオープン化する以外にない。

 もう一つは、処理速度である。パソコン間(一つのドライブから別のドライブへの)であれば、一枚のCDのやりとりは、10秒から50秒くらいで可能になっている。これが、1000曲単位のデータのやりとりを“自由に”行える実感の根拠になっている。GIGABEATに標準添付のUSB2.0(http://www.jp.joshin.co.jp/report/usb2/)も、iPodに標準添付のFireWire (http://www.apple.co.jp/firewire/)もデータ処理速度は400Mbps以上と超高速である。

 最近では、SONYがこの分野の先鞭を付けようとしている。最近出たCSV-S55 (http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200204/02-0415/)は、単なるHDDレコーダーではなくて、@番組予約をインターネット(もちろん携帯電話からでも)でできるようにしていること A地上波を使ってEPG (Electronic Program Guide)の予約ができること(http://www.zdnet.co.jp/magazine/cshop/0103/sp2/01.html) B「ニュース」、「歌番組」、「ドラマ」など(時には「ワールドサッカー」という主題まで)検索主題をあらかじめ指定しておくと自動的に記録してくれること C記録時間が、160GBのHDDを搭載したものであれば(http://www.mycaster.jp.sonystyle.com/Service/hdd.html)、50時間〜110時間の長時間録画を可能にしていること DHDD記録により、録画中でもすでに録画した部分の再生が可能(メーカーは「追っかけ再生」と呼んでいるが)、それのみならず、録画中でもすでに録画した他の番組を再生することができること Eインターネットからの、本体の機能を拡張するソフトのバージョンアップを可能にしていることなどが複合して楽しい商品に仕上がっている。

 このビデオレコーダー(SONYでは、「チャンネルサーバー」と呼んでいる。またもや「サーバー」だ)は、まず、定期番組の予約を「毎週」指定にしておけば、いちいちビデオカセットを取り替える必要がない。週単位に繰り返される定期の番組予約であれば(私の場合であれば、火曜日の「さんま御殿」(4ch)、土曜日朝の渡辺篤の「建物探訪」(10ch)、日曜日朝の「報道2001」(8ch)、「国会討論」(1ch)、「サンデープロジェクト」(10ch)、「ウチ来る?」(8ch)、「報道特集」(6ch)くらいが定期予約対象だが)、だいたい1週間以内には見終えるだろうから、「7日間後消去」設定指定おけば(この保存=消去期間の設定は任意に可能)、無限に予約を続けることが可能になる(いちど予約すれば無限に予約の操作から解放されることになる)。記録容量が50時間〜100時間もあるため、ほぼ無限に記録できるからだ(それだけの容量があれば、暇なときに見て消去する時間も充分あるという意味で)。

 たしかに「毎週」指定(「毎火曜」、とか「毎日曜」などの)は、現在のビデオデッキでも予約可能だが、一本のテープでまかなえる量ではないため、@テープの取り替えが面倒 Aテープのタイトル書きが面倒 Bテープの整理(どこにおいたかわからなくなる)が面倒などの問題が生じてしまう。私は、この三つの問題で、いつも家内とけんかしているが(これを「ビデオ家内問題」と言う)、この「ビデオ家内問題」が「チャンネルサーバー」では解消する。つまり、世のAV(Audio-Video)家電嫌いの奥様なしで済ませるAV(Audio-Video)環境ができたことになる。要するに独身でも妻のいる生活を味わえるということか。仮想家族主義とでもいうものが、このチャンネルサーバーという商品の(存在の)意味である。家電の“便利さ”というのは、できることなら妻なしで済ましたいという身勝手な男の究極の願望なのかもしれない。たぶん家電の“便利さ”というものは、家族の解体を象徴しているのである。かつて、私はつきっぱなしの冷蔵庫をつきっぱなしのサーバーの始まりとしたが(http://www.ashida.info/trees/trees.cgi?log=&v=58&e=msg&lp=58&st=0)、家庭が電気化されることの端緒は、家庭がサーバーネットワーク化されることの端緒でもあったのである。

 三つの“代理妻”要素を超えた「チャンネルサーバー」のもう一つの特記されるべき意味は、検索語指定(「ニュース」、「歌番組」、「ドラマ」など)によって、テレビ番組欄とにらみ合うことなしに見たい番組を記録することができるということ。サーチは自動的にオープンネットワークによってなされ、予約なしに記録が可能であること。後は、たとえば週末に録りだめした番組を任意に見ればいいだけ、ということになる。要するに無意識な番組を見ることができるということだ。「サーバー」という概念には、この無意識な記録、無意識な選択という(矛盾した)条件が不可欠である。

 将来的(2年〜5年後)には、自らの手許に巨大なデータベース(巨大なHDD)を置かなくても(それは単なるHDD貧乏性にすぎない)、ネットワークそのものから番組を任意に取り出すことができるようになると思うが、そこまでなるには、インターネット環境の充実(超高速ブロードバンド時代の到来)が先決。「チャンネルサーバー」CSV-S55のような個性的な商品が、超高速ブロードバンド時代の到来までの仮想チャンネルサーバーの役割を果たすのだろう。

 SONYのHDDレコーダーは、他のAV(Audio-Video)家電業界 ― Panasonicの名機DMR-E30(http://prodb.matsushita.co.jp/products/panasonic/DMR/DMR-E30.html)、東芝の名機RD-X1(http://www3.toshiba.co.jp/dvd/j/recorder/) などに代表される― とは別個の戦略をとっていて、決してビデオレコーダーやDVDレコーダーとのハイブリッド商品を出そうとはしていない(出すとしたらマーケティング的な妥協にすぎない。ちょうどDOCOMOの251iシリーズ(http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/f/251i.html)のようなものだ)。

 それは、SONYがネットワーク時代のAV(Audio-Video)環境を特に強く意識しているからだ。それは正しいと思う。

 もはや、固定的な外部メディア(CD-R、DVD-R、DVD-RAMなど)の時代ではないのである。すべてはネットワークに向かって集約し、ネットワークから取り出す時代のAV(Audio-Video)環境が、これから問われる“利便さ”の鍵を握っている。

 家電業界は妻が何に苦労しているのかがわかれば、すべて先が読める分野である。女性の時代というのは、したがって、もはや家族のない時代というのとほとんど同義である。妻が何にも(特に夫に対して)苦労しなくなったとしたら、夫は妻に先立たれても何も悲しむことはないだろうから。SONYよ、どこへいく?


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