6月21日(木)の朝、6:00くらいからお腹が急に痛くなり、寝れば何とかなると思ってもう一度寝込みましたが、今度は痛くて眠れなくなり、七転八倒。じっとさえしていられなくなりました。
ちょうど痛みで起こされたのが8:30くらい。家にはもう誰もいません(息子は学校、家内は会社)。吐き気はするのですが、何も出ない。お腹が痛いのに、下痢もまったくない。私は風邪の時には、だいたいお腹の来るので、吐き気や下痢の感覚はつかんでいるが、こんな腹痛は初めて。おへその下あたり全体が痛い。痛さは下痢の時の痛さと同じ。でも出るべきものが上からもしたからも出ない。寝込んでも立ってもころがっても痛さが変わらない。そのうち居ても立ってもいられなくなった。ただごとではないと思い始めた。こうなったら、救急車。でも110? 119? 109? 急にわからなくなって、110番。「あのー救急車って、何番でしたっけ?」「119番です」「ありがとう」。そして119番に電話。「こちら119番。火事ですか、救急ですか」「あのーお腹が急にいたくなって」「わかりました。地区はどこですか?」住所を言って、最後に「住宅街だから、サイレンを落としてください」とまではまだ冷静だった。救急車は5分足らずでやってきた。このときにはもう地獄のような痛さ。サイレンの音がしたのでその段階で下に(私の階は8階にある)息絶え絶えの状態で降りた。下に降りるとマンションの管理人たちが(想像していたとおり)4〜5人ぞろぞろとでてきて、誰なのという感じ。「あっ、芦田さん、お子さんか奥様に何か」「いや、僕なんですよ」。それが精一杯の返事。管理人たちも思わず沈黙。
救急車に乗ってからがまた時間が取られるというのが今回の勉強の最初。まずそれなりの診断をする。そうでなければどの病院も受け入れようがない。そのうえ、希望の病院はないのかまで聞いてくる。私は特に病院通ではないので「どこでもいいですよ」。「近ければ」と付け加えた。救急隊の人たちの病院の選択にはかなり慎重な感じがあったが、その意味などこの段階ではまったくわからなかった。こういったやりとりでほぼ10分くらい。この時間がやけに長く感じた。早く連れて行ってよ、というのが私のこのときのすべてであった。
結局、私の家から一番近い「S総合病院」(http://www.shimodabyouin.jp/)に決まった。「Sでいいですか」と隊員。「S病院」は私の散歩コースの周辺でもあったから、「いいですよ」(これがいけなかった)。
救急車でほぼ6分くらい。もちろんこんなことは初体験。しかし着いても「S病院」は普段のまま。外来患者の診察の間に割り込むという感じ。割り込めればまだいい方で、このままでは私は、なんのために救急車で連れ込まれたのかわからない。「ウーウー」としかし病院中、響き渡るくらいに、私の悲鳴は大きかった。あの車椅子で、外来のロビーをうなりあげながら通行する風景は一生忘れることはできない。診察室で横になっても先生は隣の部屋で外来を看ており、すぐには来ない。「ウーウー」は、“早く来いよ、この野郎”という懇願の声にもなっていった。やっと来たのは、この病院の、若いS院長先生(あとから散髪屋に行って仕入れた情報だが、この若い院長は、3代目で、創始者はこの院長の祖父らしい。祖父も2代目もいい先生だったらしい。さてこの現役の院長は?)。「どうしましたか?」だって。バカじゃないの。お腹が痛いのよ。「どのあたりですか」。「全体に」と私。「全体って? 横とか後ろとか、へその上、へその下?」。だったら最初からそう聞けよ。「へその下あたりで、前の全体という感じ。特に局所的な感じではない。下痢をしたときの腹痛に似ているけれど、下痢も(最初、吐き気はあったけれど)嘔吐もない」と私はそう答えた。この若い院長先生、私の下腹部を押さえながら(この押さえ方じゃ診断できないでしょう)、「うーん、とりあえず、検査してみましょう」と先生。それだけ? そんなこと誰だって言うじゃない。私はこの先生に診断を期待することを早々と諦めた。「検査もいいけど、とりあえず、痛みだけはとっていただけますか?」。「そうね、痛み止めを打ちましょう」。そう答えるのがこの先生には目一杯というところだ。
そこで出てきたのは、(誰でも子供扱いにする)年齢不詳の看護婦。「いたそうね。これをうつと大丈夫よ」。看護婦というのは、なぜ患者を、いつでも親しげに年下扱いするのだろうか(私よりは若いくせに)。「大丈夫よ」の「よ」は、どういう言葉使いなのか? これが(10人以上の老若看護婦と接して)今回の入院騒動で一番感じたことだった。筋肉注射を2本一度に打たれた。注射は、30年前の日本脳炎予防注射以来のことだ。「これって、すぐにききますか」「すぐききますよ」「すぐって、何分」「すぐに効く人もいるし10分くらいかかる人もいます」「ということは最大10分ということね」「そうよ」。私には、もう我慢の限界だったので、「最大」10分という答えがほしかった。ほっとしたのもつかの間、こんな注射、何の役にも立たなかった。まったく痛みはとれない。