予告通り(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=96)、18日に一次プレゼンを行い、4社が21日金曜日の二次プレゼンへ進みました。残った4社は三井ホーム、ミサワホーム、旭化成、辻村工務店(順不同)。一次プレゼンは、私だけが一人でプレゼンを受けて自分だけで判断しました(18日後半の4社のプレゼンは、わが専門学校(http://www.tera-house.ac.jp/index.html)の「インテリア科」(http://www.tera-house.ac.jp/design/interior.htm)の学生たちが“プロのプレゼン”に同席しました。「教室では得られない知識が得られました。いい勉強になりました」と口々に言っていました)。
18日は8社でプレゼン総時間約6時間。21日の2次プレゼンはやはり4社で3時間。どの会社もプレゼンには力がこもっていました。参加された各社のみなさん、この場を借りて感謝します。
残した4社は、どれが選ばれても同じくらいの水準を保っており順位を付けることができません。現在、二次プレゼンの最後の勝者を検討中。間取り図などは、今日は貼り付けることができませんが(データが重いので、現在Photoshopを使って軽くしている最中)、とりあえず、業者の方への総評を行いたいと思います。この評価の原則は、無いものねだりをしないということです。あくまでも設計者が目指そうとした意図そのものの中での評価を行いたいと思います。そのためにもこちらからの条件は、最小限に留めました。諸条件は「芦田の毎日」100番(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=100)に提示してありますが、それとは別に口頭で「収納のためのスペース(クローゼット、書籍、骨董類、美術品などの)をゆったりと取ってほしい」と付け加えてあります。
※図面は今日のところ貼り付けることができないので、今日の記事は業者の方への選考理由(あるいは諸課題)としてUPしたいと思います。
●三井ホーム
特徴は、南側全面の大きな吹き抜け。ダイニング、リビング全体に南面の光を取り込む間取りになっている。また西側の隣家(当該敷地の西側は、隣家が隣接しており、特に隣家2階のベランダからは、今回の“離れ”の玄関部分が出入りが丸見えになる)に対する玄関の囲い込みもの造形もよく配慮されている(玄関へのアプローチ側からの目隠しや母屋との一体感の演出にも、この囲い込みは役立っている)。
難点は、3点ある。
1)リビング南側の開口部。L字型のソファを置いた場合、南側デッキへの開口部を防ぐことになり、南側全面を吹き抜けによって開放した思想と整合性がない。玄関の出入り動線、和室へ出入り動線、ダイニングの出入り動線という三つの動線が(南動線を防がざるを得ない)L字型のソファの設置を余儀なくさせている。
2)もう一つの難点は、2階の寝室が(南側全面の吹き抜けによって)北側へ奥まっている分、南側に直接位置する寝室よりは快適性が落ちるだろうということ。むろんこの「難点」は、リビング・ダイニングの開放性や南面の全面採光と引き替えの難点にすぎないが。
3)これだけの全面的な吹き抜けに、三井ホームのツーバイフォー住宅はどこまで強度を保てるのだろうか。特に屋根裏収納として3000冊以上の書籍の重量に耐えうるBoxを用意すると言っているが、こんなに大きな吹き抜けのある建物の高い部分に重いものを保持する場合、構造上の強度はどこまで保てるのだろうか。
●ミサワホーム
特徴はリビング・ダイニングを天井高の高い大屋根にし、開放感の高いものとしたこと。この大屋根は(単に室内空間を広く見せるためだけではなく)、母屋の庭からのアプローチや造形に際して下がり勾配の屋根を大胆に見せることによって全体の造形を低く見せることに貢献し、母屋との調和のある造形を演出してもいる。また(この敷地は)防火地域のため木造では100?しか床面積を確保できない不利を、中庭を作ることによって広がり感のある生活感を演出していること。特に1階玄関部分や2階寝室の出入りでの中庭が演出する空間の造形は開放感の豊かなすぐれたものだ。
難点は、3つある。
1)ミサワホームの難点はメリットと裏腹になる。一つは、大屋根構造にしたために南面の日差しを取り込む度合いが落ちてしまっている。その“欠陥”を設計者は充分心得ており、そのためのトップライトスペースを取っているが、これはおまけ程度。
2)中庭を取ってしまったために二階スペースでは廊下部分が多くなり、100?制約の難点がそのまま露呈してしまっている。結局は1LDKになってしまった。いくら一人暮らしとはいえ、これでは狭すぎるかも知れない。