SONYの「コクーン」(http://www.jp.sonystyle.com/Cocoon/index.html)が11月1日発売された。先代のCSV-S55(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200204/02-0415/)のときには「チャンネルサーバー」と呼んでいたが、わざわざ「コクーン(COCOON」=「繭」とネーミングを変更して、「あなたのネットワークライフを絹糸のようなきめ細かさで包み込みます」とある。要するにCSV-S55のときにもこの「芦田の毎日」で取り上げたように(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=24)、テレビ番組をHDD(ハードディスク)に記録する機械なのだが、もう一度、このCSV-S55とコクーンに共通する特徴を整理してみる。
1)両者ともその一台で最大100時間(CSV-S55)、200時間(コクーン)の番組記録ができる。ビデオテープを出し入れする時代は完全に終わった。
2)両者とも記録したテレビ番組名が自動的に入る記録ができる。何処に何を記録したかわからないままあれこれのテープを再生する時代は終わり、テプラの時代も終わった。
3)両者とも「追っかけ再生」(記録している番組を、まだその番組が終わらない内から頭から再生する機能)「再生同時録画」(記録した番組を再生しながら、別の番組を録画する機能)ができる。記録と再生が同時になることによって、テレビを観ているのかビデオを観ているのか区別の付かない時代に突入した。
4)両者とも観たくなるような番組の検索ターム(予め指定された検索語の範囲内でのことだが)を与えておけば、指定しない番組までもその検索タームに従って、自動記録してくれる。これをSONYは、「おまかせ・まる録」機能と呼んでいる。無意識を記録する時代に突入した。
5)両者ともテレビ番組表を表示する機能を持っており、新聞のテレビ欄を参照することなく録画予約できる。Gコード予約ですら面倒な人には便利。新聞からテレビ欄が消える時代に突入した。テレビ情報はテレビで観ればよいのである。
6)両者とも、HDD(ハードディスク)の記録容量が満杯になれば、古いものから順に自動的に消していってくれる。感覚的には無限記録できるような感覚だ。ビデオテープがなくなる時代に突入した。
7)両者とも、携帯電話やインターネットにつながっている会社のパソコンから予約録画ができる。家電を遠隔操作する時代に(本当に)突入した。
一方、CSV-S55とコクーンの違いを気ままに(特に良くなっている点に留意して)列挙すると以下である。
1)CSV-S55 は、チューナーが一個しかなかったが、コクーンは2個ついており、同時刻に放映されている番組を録画することができる(実は、これがウソだというのが後でわかる)。
2)CSV-S55は、録画した番組をただ継時的に(録画した新しい番組順に)表示、それを選択して再生するというインターフェイスだったが、コクーンは、それに加えて、番組をグルーピングして整理するという機能が付いている。SONYは、これを「自動カテゴライズ機能」と呼んでいる。たとえば、「映画」「音楽」「ニュース」「バラエティ」などというように。「おまかせ・まる録」により、コクーンが勝手に記録した番組、ユーザーが従来のように手動で予約記録した番組も自動的にこの分類に整理されて、大量の番組記録の検索性が高まった。検索性だけではなく、このインターフェイスは、番組再生中にもリモコンのカーソルキーだけで直接アクセスできるため、まるでチャンネルを選ぶように他の記録した番組を再生できる。しかも面白いことに、このカテゴリーの中には「LIVE放送」というものまでさりげなく入っているため(「自動カテゴライズ機能」の白眉は、実はこの「LIVE放送」というカテゴリーが入っていることにある)、ユーザーは、何が録画で何がライブかがわからない。まるでテレビに内蔵されたチューナーで、自分自身が好きな番組だけを放映するチューナー(マイ放送局チューナー)が付いているような快感に浸れる。
3)コクーンは、「おまかせ・まる録」の際の選択キーワードの選び方にかなり自由度が増している(詳しくは後述する)。CSV-S55の「おまかせ・まる録」機能に対してコクーンは「おまかせ・まる録2」とSONYは呼んでいるが、この命名は誰が考えても安易だ。
4)コクーンは、画質が格段によくなっている(同じ圧縮率であっても)。これはもっとも実益的な進化だ。
5)コクーンは、処理速度(一つ一つの操作指令に対する)が軽快になっている。
6)コクーンは電話回線を使わず、インターネットの常時接続を前提に作られている。そのためか外出先からの直前の予約(携帯電話やパソコンからの)が可能になった。CSV-S55の時には、一日2回の指定しかできなかった。
しかし、新しいからと言ってすべてが良くなっているとは言えない。以下に、ダメになった点、それほどでもない点を挙げておく。