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この内容は新宿シズラーで、2011/8/11(18:00〜22:00)に行ったミニレクチャー「近代主義と心理主義と」(http://togetter.com/li/173368)の資料を更新したものです。
1.近代とは、電気の時代
2.電気の時代とは、フローの時代
3.フローの時代とは夜(影)と昼(光)、始まりと終わりとの区別を越える“永遠性”の時代
4.たぶん、デカルトの「我思う故に、我有り」は電気の時代の哲学への予兆
5.つまり「主観Subject」=近代的な自我とは、夜(影)と昼(光)、始まりと終わりとの区別を越える“永遠性”の時代の〈人間〉のこと
6.その“永遠性”の実質的な始まりは電気冷蔵庫
7.昼夜を問わず電源が切られなかった初めての家電が電気冷蔵庫
8.昔(1950年代中半まで)は、電気メーターが回っていないことを確認して、外出するのが常だったが、電気冷蔵庫以来それが無くなり、20年後のビデオデッキの予約録画(=タイムシフト)はさらに電気の家庭内常住性を加速させた。それ以後、季節の風物詩「NHK紅白歌合戦」の視聴率も落ちていく。
9.そしてビデオデッキの20年後から現在においては、サーバーがその電気冷蔵庫に取って代わった
10.前者(電気冷蔵庫)は自然を、後者(サーバー)は人間を昼夜を問わず人工化した
11.眠らない自然、眠らない人間
12.自然は与えられるものではない、人間は与えられるものでもない、というのが覚醒した自然と覚醒した人間の格率
13.覚醒とは、〈意識〉のこと
14.両者(自然と人間)に共通するキーワードは〈意識〉と〈選択〉
15.〈いつでも何でも(選択できる)〉という意識の遍在(ユビキタス)が、近代の成熟の徴表
16.〈自由・平等〉は、意識と選択の時代の政治表現
17.〈いつでも何でも(選択できる)〉という自由と平等、つまり選択性が高まれば高まるほど、「私って何?」という内面を問う問いが先鋭化する。
18.技術の進歩は、内面の強化を不可避に強いて、宗教的内面にまで昇華する。技術は宗教と親和的。
19.〈私〉は選択するときにだけ私「である」→「我選択する故に我有り」
20.この「選択をするときにだけ」の「だけ」は何らかの不足や限定を意味するのではない。
21.不足や限定は存在しない。もはや経済学が生産(欠乏の充足)の経済学でなく、消費の経済学であるように不足や限定は存在しない。
22.電気の時代の眠らない永遠性が秒刻みで人々の行動に、選択、理由、意味を強いているからである
23.心理学の〈心〉も選択性(=傾向性)を問う時代の人間を扱っているだけのこと。無意識さえも構造化されている、というように。意識も無意識も機能主義心理学では、何の違いもない。
24.〈私〉は眠らない
25.水さえも理由を付けてわざわざ購入し(水さえも内面化されている)、人間関係もまた、自動ドアのようにいつ来るかもしれない来訪者に向かって常時センサーを働かせるように機敏で繊細な関係に陥っている
26.携帯電話も携帯メールも自動ドアのセンサーのように、〈現在〉を先鋭化、内面化している。携帯ツールは心の機能主義の成熟したメディアなのである。
27.この着信履歴は何を意味するのか、このメールは何を意味するのか、そして着信がないことは何を意味するのか、メールが来ないことは何を意味するのか、そのように〈無〉もまた意味を持つかのように、それらは〈現在〉を先鋭化する
28.〈無〉もまた、電気の時代においては意味を持っている。
29.それが眠らない意識の意味
30.それが意識(Bewusstsein)が覚醒の別名である意味。意識とは電気の上皮。
31.世界は意識の対象になり、自己表現の対象となる
32.この〈表現〉は、(ロマン主義的な)表現主義ではない
33.表現することなしには、自己は存在しないというように、世界は自己表現の対象になる。つまりこの〈表現〉論はかぎりなく存在論的なのだ。ライプニッツのように。
34.表現なしに自己が存在しないのは、自己がそれなしには空虚(=自由)であるから
35.〈いま・ここ〉を空虚なゼロ地点(何でもできるし、何ものでもないゼロ地点)とすることが近代的な自己が行動的である理由→behaviorism(機能主義的な行動主義)
36.この自己は、間断なく、反応体(他者)を求め続ける
37.肯定(御意)のみならず否定(アホか)も含めて反応体を求める
38.反応(=表現)するときにだけ、私「がある」というように、自己-他者が組織されている→「我反応する故に我有り」
39.この肯定と否定を間断なく再現するメディアがTwitter
40.始まりと終わりを間断なく再現し続けるため、意識が終わりを忘れることができる
41.意識=近代的心理はますます終わらない。ますます目覚める。
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