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「学び合い」小学校教員からの反論がありました ― 謹んでご紹介します。[教育]
(2011-02-26 02:02:32) by 芦田 宏直


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この「反論」は、小学校の「学び合い」授業を参観して(1)http://www.ashida.info/blog/2011/02/1_3.html#more という私の記事に対するものです(まだ書きかけのものですが)。私が直接授業を参観させていただいた先生からのもの。貴重です。

1)私は「学び合い」ではそもそも毎時ごとのレフェランス(「基準値」)というものはそれほど重要ではないと考えます(これは「なくてもよい」というわけではない)。そもそも毎時ごとに基準値を達成させようとするから、多くの児童や生徒がそこからこぼれて逃げていく。児童の進度のみならず理解度も授業内でばらばらなため、相対指標しかないと言われるが、そもそも毎時ごとに達成基準を設けて児童の到達度を細かく測っても、その合計が子どもの理解の深度や確かさにつながるわけではない。

【芦田】特に毎時的である必要はない、が、ではどんなスパンでレフェランスを設けるのか? それが長いスパンであればあるほど、取り返しが付かなくなる。そもそも取り返しが付くか、付かないかをどこで判断するのか? 見せていただいた「学び合い」授業内には一切その手がかりがない。相対的な進度を放置しているだけ。日々進んでいるという名目で。だから、各生徒が伸びる伸びないもすべて各生徒の問題になってしまう。伸びたら伸びた、伸びないなら伸びない。挙げ句の果てに「脳の発達の差」にまで還元してしまう。アホな話だ。この「学び合い」教育の本当のレフェランスは「脳の発達の差」であると言ってもよい。

2)進度や理解度はそれぞれに異なることは極めて当然であると考えるが、それを芦田氏のように「子どもの個性」とか「子どもの可能性」などとは考えてはいない。能力の差は歴然とあり、それは脳の発達には差があるということに基づく。学習に子どもの個性などは基本的には関係ない。

【芦田】「脳の発達には差がある」のはたしかだろうけども(笑)、そのこととクラスの授業内で点数に差があることとの相関を科学的に証明するのは無理(仮に証明できたとしても病的な場合だけ)。「差がある」と抽象的に言ってるだけのこと。えせ科学妄想的な差別発言。結局、この「学び合い」教育は家族主義的、地域主義的な差別思想でしかない。

 
3)そもそも「学び合い」では「子どもは能力はそれぞれ違う」という前提に立たなければ成立しない。コミュニケーションは子どもの「内在する自分」との対話を引き出すためのものであり、個性教育とかコミュニケーション教育というものとは異なる。「学び合い」は人とのコミュニケーションだと思われているが、実は自分との対話なのである。
 
【芦田】「子どもは能力はそれぞれ違う」というのは顔が違う、親が違う、地域が違う、という程度のこと。それがどうした。「内在する」って誰がどんな基準で判断してるの? 「内在」って何? これも妄想。


4)全国水準を意識した学びは「学び合い」にとっても非常に大切である。それを単に「お受験」とか、「詰め込み教育」などという言葉で馬鹿にする方が愚かだと思う。しかし、進学塾で講師をしてきた経験では、特進クラスの子どもの学びはとても「学び合い」的である。授業の中での会話も非常に多い。学年が進むにつれて無言になってくるのは周りが「ライバル」になってしまうから。

【芦田】意味不明。

 
5)芦田氏は<「学び合い」教育のレフェランスは、“全国試験”では「平均より上」どまり。しかもこの“全国試験”には中の上以上の進学校は参加していない。>いうが、これは公教育である限界だが、公的な教育の成果を計る最も母数の多いのは全校学力検査しかない。そもそも「塾」で能力を身につけていることと、公的な学校教育の成果を比べること自体がナンセンスである。

【芦田】「公的な教育」であっても将来の東大生は存在する。塾へ通わなくても名門進学する生徒は存在する。公的な教育こそ、多様性を保証しなくてはならない。「子どもの能力はそれぞれ違う」と言いながら、公立と私立との区別だけはなぜかたくなに集団的に区別する? なぜ、公立学校が私学よりも低いと決めつける? きわめてご都合主義。


6)「学び合い」が特徴的なのは、平均点の向上ではない。最低点の向上である。また上位の学力の伸びも大きい。

【芦田】根拠を示して欲しい。この言明は何も言っていないに等しい。そもそも上位の生徒から「不満の声がある」ということを当日のあなたとの意見交換で、私は聞いている。そもそも上位の伸びが大きいのなら、私学の連中や塾好きの連中と戦わせればいいじゃないか。

 

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