モバイル『芦田の毎日』

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iPadはなぜ売れないのか ― 発売前のiPadを手に入れました。[商品批評]
(2010-05-05 23:43:02) by 芦田 宏直


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iPadは、なぜ売れないのか。ひょんなことから発売前のiPadを手に入れて2日間使った私の感想をレポートする。

開封直後のiPadについては→ http://picasaweb.google.co.jp/ashidahironao/IPad#

現在のユーザーコンピューティングの(ハードの)方向性は二つある。

一つは、高解像度モニタか、マルチモニタ化。

もう一つは、身体感覚のモバイル。

どちらもに共通するのは、快適な入力(+GUI)と高速処理。

前者は、デスクトップ型PCかハイパワーモバイルPC。

後者は、iPhone 3GSが代表格。クラウドコンピューティング派はiPhone 3GS派を端末主義者と言ってバカにするが、それは間違い。携帯電話は最終的には身体同化。端末の在り方がクラウド化の鍵を握ってる。それがわかってないのがAndroid陣営。

さてモバイルPCは、ネットパソコンの敗北でわかったように、解像度が低く処理能力が落ちるPCは使い物にならないということ。そのうえ、ネットパソコンくらいの大きさや重さなら、ハイパワーノートPCのVAIO Type Zでも充分持ち歩けるということ(http://www.ashida.info/blog/2009/12/post_391.html)。

現状のユーザーは、デスクトップPCとiPhone 3GS、その中間を埋めるハイパワーモバイルPC(レッツノートやVAIO Type T or Z)でとりあえず満足している。

そこにiPadがでてきた。

大きさ重さは小さめのネットパソコンなみ。重さは680g(Wi-Fiモデル)、730g(Wi-Fi + 3Gモデル)、242.8mm×189.7mm×

薄さ(13.4m)と重さ(680g)は特筆されるが、しかしキーボードがないと思えば、こんなものかなとも思う。

ソフトキーは打ちやすいが、iPhone 3GSよりも進化しているのは句読点が切替なしに入力できること。

縦置きだとタッチタイピングができるかどうかは、微妙だが、横(辺の長い方を上下)に置けばレッツトートのRサイズとほぼ同じ。なんとかタッチタイピングができる。

問題は、このiPadの置き方だ。基本的に両手で持つしかない。机の上で使うなら、わざわざ、机に上に立てるのに面倒なiPadを使う意味はない。デスクトップPCかハイパワーノートPCで充分。キーボードもわざわざソフトキーを使う意味はない。

自宅や会社なら、PCはすぐに立ち上がるモードになっているのだから、立ち上がりのスピードを気にする必要もない。

そこで、このiPadを使う場合、膝の上で両手を使って持ちながら、両方の親指でソフトキーを打つことになる。これこそ、文字通りの「ラップトップ」パソコン。

iPhone 3GSよりはるかに正確に早く打てるが、だからといってそれがどうした、という感じか。

この両手持ちの場合、700グラム前後のiPadは、決して軽くはない。私が最初にこのiPadを持って感じたことは「重い」ということだった。携帯電話を入力中に(片手ですら)重いと感じることはまずないが、iPadの700グラムは両手で持っても重い。とても長時間の入力には耐えられないだろう。

かといって、机上設置用のドックを買い、 別売りキーボードを買うくらいなら、iPadの機動性は半減し、モバイルPCとどこが違う? ということになる。

結局、iPadを評価するには、iPhone 3GSと何が違うのか、という点だ。

私には、その点で、特にiPhone 3GSよりも必要で新しい用途を切り開いてるとは思えない(特定の商業用途は別にして)。

たしかにiPhone 3GSを愛用しているユーザーは、この画面の解像度と薄さに最初魅入るだろうが、それも最初だけ。しばらく使い始めると、iPhone 3GSで充分と言い始めるに違いない。iPadにキーボードを付けるくらいなら、それをiPhone 3GSに付ければいいだけのこと。特に入力で問題になることはない。むしろ片手で入力できるiPhone の方に軍配を上げるユーザーも多いに違いない。

片手パソコンとしてのiPhone 3GSの意義は大きいのだ。

かつ、電話もカメラ機能もiPadにはないから、自宅内でもiPhone 3GSとiPadは必ず並行して持ち歩かなければならない。これも邪魔くさいことだ。カメラがなければ少なくともtwitter利用をiPadで代替わりできない。電話ができないという不満は我慢できてもカメラ機能がないのはつらい。twitterが自立的に自由にできないは決定的な欠陥だ。

モバイル派は、自宅にいても(PCを使わず)携帯電話をいじくってる。特にベッドインしてからの用途が多いらしい。その場合でもiPadは中途半端。手で支えるにはやはり重すぎるのだ。寝ながら使うというのはiPadの場合難しい。

もう一つの違和感が在る。それはこれほどの大きさのものを充電して使うということだ。

まず、ノートPCのような電源ケーブル付き利用はとても違和感が在る。機動性と逆だから。かといって、電子辞書のような乾電池利用に耐えるわけではない。携帯電話のようにコンパクトではないから、充電ドックに置くという感覚は少し違和感がある。

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