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大阪講演「Twitterとは何か ― タイムラインの微分機能について」ストリーミング録画です。[IT社会論]
(2010-01-22 10:30:16) by 芦田 宏直


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昨日の大阪講演、とりあえず、好評のうちに終わったみたいです(苦笑)。少し俯瞰しすぎて難しかったかなとは思いますが、皆さんよくついてきてくれました。最近では、何でもかんでも「微分」「積分」で話をまとめる風潮が出始めてきてますが、この講演は、さらにそれを強めることになりそうです。

私は、この講演の最後では、人間が微分(粒子)なわけないではないですか、人間はかけがえのない「この私」だし、一回限りの「この私」だと、つまり人間は超積分的な存在だと力説しました。

そしてタイムラインは、その「この私」に対する超近代的な(ポストモダンも含めて最後の近代主義的=心理主義的)挑発だろう、とも力説しました。Twitterの「タイムライン」は、その「かけがいのない私」を忘れさせてしまうくらいに「楽しい」。それは(近代全体にとって)いったいどんな事態なのか、それが私の「タイムライン」論の唯一の関心です。

その流れをこのストリーミング録画で感じてもらえれば幸いです。

以下のサイトが、昨日のTwitterタイムライン大阪講義のストリーミング録画サイトです。
こちら→http://www.ustream.tv/recorded/4123972
※音が少し小さいかもしれません。PCのボリューム設定を最大にして聞いてください。


以下が、当日パワポのスライドのテキストを取り出したものです。

Twitterとは何か
― 「タイムライン」の微分機能について
芦田宏直 hironao@ashida.info

●データベースとは何か(1)
?データは無時間的な、非選択的な累積物
?データは過ぎ去った(後悔しないための)後悔の累積
?「かくあったは意志の歯ぎしり」(ニーチェ)
?予期せぬ不測の事態=未来のために、全ての過去を集積するのがデータベース
?未来に対する過去の復讐がデータベース
?「入力で差別せず」がデータベースの基本原理

●データベースとは何か(2)
?無差別的なデータ入力、データの断片的な累積を有用化するのが、〈検索〉
?膨大な情報のストック(断片のストック)を〈検索〉がテーマ主義的に系列化する(系列化=丸める)
?〈検索〉は、断片(微分)データの積分化(テーマ主義的な集約)
?入口で差別せず、出口で差別するのがデータベースの構造
?一言で比喩的に言えば、「デジタルイン・アナログアウト」がデータベース

●データベースとは何か(3)
?データ利用における「データベース主義」「検索主義」の問題点
?検索は面倒くさい(必要なデータを獲得するのにノウハウが必要)
?「ノウハウ」とは、試行錯誤の積分(苦笑)
?一つの情報、一つのサイトで満足できない
?リンクを辿る内に何が自分の必要だったのかが曖昧になる
?テーマ主義的なので(積分的に丸まっているので)、そのテーマの情報を的確に精査できる専門性が必要になる
?テーマ主義的情報処理は、ストック人材(専門家)の情報処理

●データベースの利用法の諸段階(1)
?ハイパーリンク(テッドネルソン)
 学びの目標は一つであっても学ぶ順序は人の数だけある。
 ハイパーリンクは諸頁の多様な積分(ハイパーリンクの革命性は順序の自由を確保しただけ)
?ブログ
 サイトの頁性(リンク)に、更新という時間概念を持ち込んだこと
 ただし、検索の能力が必要なのと同じように、発信の能力が必要
 孤立した主体が発信を継続することは難しい
?ミクシィなどのSNS
 発信の能力を維持し続ける反応の存在を組織化(ストック形成をアシスト)
?RSS(RDF Site Summary)フィード
 更新の現前化を自動化(複数の更新を現前化)

●データベースの利用法の諸段階(2)
 ?ハイパーリンク、ブログ、SNS、RSSフィード、あるいは2ちゃんなどの問題
 ?これまでのメディアはすべて主題主義(積分主義)
 ?利用主体の能力格差が前面化しやすい
 ?有効活用が特定の(能力ある)人に限られ
 ?無能な人が利用を間違うと人間関係がこじれやすい
 ?積分主義は人間の諸々の格差を前面化する
 ?そもそも「能力」というもの自体が積分の結果
 ?人間性、専門性、主体、性差、格差といったモノは、時間スパンを長く取った積分=ストックの産物。
 ・検索とは、アナログアウト(データベースというストック)とアナログアウト(専門性というストック)が交差する出来事。専門書を読むといった読書もほとんど一緒。だから難しい。

●野口悠紀雄の超整理法、あるいはiPhone のトップ画面
 ・「分類は悪」という思想
 ?「分類」とは積分、つまりテーマ主義
 ?野口の超整理法は、情報管理の積分主義を排除しようした。
 ?最高の検索は、時間性(現在性)
 ?必要、利用とは現在性。過去は既に終わった、未来はまだない。〈使う〉とはたえず現在化すること。現在化こそが、検索性。
 ?データベース(過去)は検索しないと現在化しないが、超整理法ではファイルの保管場所(過去)がそのまま時間(検索の現在)を示してる。
 ?最近では、iPhone のトップ画面が超整理法主義。

●超整理法、あるいはタイムラインは反データベースである

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