先週の11日金曜日10:30から文科省で行われた中央教育審議会 キャリア教育・職業教育特別部会(第17回)を「傍聴」してきた。
文科省の資料の開陳の仕方や議長の進行の問題も含めて、ほとんど審議にならず、単に各委員が審議の進行と関わりなく自説を展開するというよくある「審議会」の風景を目の当たりにしたが、同志社大学の橘木俊詔氏と金沢工大学長黒田壽二氏の発言は私には重要なものと思えた。
二人の発言は、長い間「職業教育」を標榜しておきながら、この会議をリードできない専門学校教育に対する、大学からの挑戦状のように思えた。
以下、私が、この二人の大学人の発言に関わって、Twitterでつぶやいた発言をまとめてみる。
【キャリア教育について(1)】昨日の中央教育審議会 キャリア教育・職業教育特別部会(第17回)のアジェンダは、「発達段階に応じた体系的なキャリア教育の在り方について」。
posted at 11:09:29
【キャリア教育について(2)】 もともと、この部会の大テーマは、「学校教育」制度の中に、「キャリア教育」をどう取り込むか、学校制度的にどう取り込むかがである。
posted at 11:10:03
【キャリア教育について(3)】キャリア教育の学校教育への導入は、2007年の改正教育基本法に「職業」教育という言葉が盛り込まれたことが直接のきっかけになっている。
posted at 11:11:29
【キャリア教育について(3)】したがって、このアジェンダにある「発達段階」とは、初等教育、中等教育、高等教育、各段階における、という意味。心理学における「発達段階」とは何の関係もない。
posted at 11:12:45
【キャリア教育について(4)】そもそも「教育基本法」における「教育」とは直接には「学校教育」のことを意味している。
posted at 11:14:18
【キャリア教育について(5)】そして「学校教育」の「学校」とは学校教育法の第一条に規定された学校、すなわち、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(大学院、短期大学を含む)、高等専門学校のことを言う。これ以外の「学校」は厳密には〈学校〉ではない。
posted at 11:16:39
【キャリア教育について(6)】この「学校」の中でもその基軸をなす初等・中等・高等教育の中に「キャリア教育」を改正教育基本法の趣旨に基づいて組み込む、制度設計の基本の議論を行うのがこの部会の役目。
posted at 11:19:26
【キャリア教育について(7)】たとえば、従来の一般教育、専門教育という2軸に加えて、キャリア教育、というように三体系で回していくのか、それとも、一般教育、専門教育の内部に組み込んでいくのか、などが体系的な制度設計の課題になっている。
posted at 11:22:27
【キャリア教育について(8)】昨日の司会役を務めたのは生涯学習政策局だった。ここは学校教育制度に直接関わる部局ではない。私にはそのこと自体が文科省の及び腰に見えた。
posted at 11:24:57
【キャリア教育について(8)】私なら、高等教育局に司会をさせる。職業教育接続(社会人接続)に一番近いところがリーダーシップを取らない限り、初等・中等教育への下位接続は不可能だからだ。
posted at 11:27:18
【キャリア教育について(9)】一般に、教育改革は高等教育(=上)から始めないと、うまくいかない。受験ヒエラルキーの改編なしには初等・中等教育は動かないからである。「ゆとり教育」が失敗したのもそのせい。
posted at 11:29:13
【キャリア教育について(10)】しかし高等教育局(徳永局長が参加していたが)がキャリア教育なんかに関心があるわけがない。せいぜい出来の悪い大学はキャリア教育ぐらいはきちんとやって下さいよ、というスタンスだろう。