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医学界も捨てたものではない(優れた研究者達に恵まれて私も家内も幸せです) ― その後の 「インターフェロンベータ1bは日本人の再発寛解型MS患者において有効である:ランダム化され??[家内の症状報告]
(2009-11-12 13:38:33) by 芦田 宏直


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芦田先生侍史

大森さんとXさんの議論は、1年半くらい前の芦田先生と私ことP(mixiで“パパ”)の討論(
http://dl.dropbox.com/u/1047853/ver3.0%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B%E3%80%81%E8%A6%96%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%84%8A%E9%AB%84%E7%82%8E%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B.pdf)を思い出させます。芦田先生と討論を夜な夜な(というか早朝?)繰り返させて頂く中で、頭の中が整理され、研ぎ澄まされていくのを感じ、心地よいものでした。

そんなわけで、少し参戦?させてください。

大森さんとXさん共にプロの研究者と思われますが、論点の鋭さにとても勉強させて頂いています。

尚、両者の記述の中で、小生の翻訳が登場し(苦笑)、下手くそな訳に我ながら赤面してしまいますが、誤解の元になりますので、以下、疑問点2の核心部分では原文を転記して小生の解釈を述べます(論文の原文はhttp://www.neurology.org/cgi/content/full/64/4/621?cookietest=yesで公開されています)。


「X」さんへ

≪疑問点1について≫
概ね納得されたようですのでパスします。


≪疑問点2について≫
Xさんがご指摘のように、『さすがに、このくらいの例数(サンプルサイズ)になると、動物実験と異なり、遺伝的背景も経験もばらばらな被検者のデータで、有意差が付くような統計結果が得られることは希ですが、それは分かった上で、せっかく患者さんのご協力のもとに得られた貴重なデータなので、サブグループに分けた解析も行ってみた、ということだと思われます。』というのは同意できます。

臨床試験というのは患者の犠牲のみならず大変な労力(とお金)がかかっています。確か、そのような擁護をかつて私も(芦田先生との議論の中で)したことがありました(笑)。
※疑問点2の残る核心部分は後回しにします。


≪疑問点3について≫
大森さんの『著者たちが引用している北米の研究の定義ならすんなり分かるのですが、なぜわざわざ異なる計算方法をしたのか分からない(専門家の先生には分かるのだろうと思うので、これは理解できない私の問題なのですが)。』が論点かと思います。

これは、小生の昨日のコメントでも触れましたが、今回のデータ(表3:http://www.neurology.org/cgi/content/full/64/4/621/T312)を見るに、50ug投与群と250ug投与群の比較では、“Duration of relapses”が倍近くの差が出ていて、50ug投与群の方が250ug投与群より一回の再発期間が長いという結果でした(p=0.03)。

素直に解釈すると、250ug投与群の方が、再発時に“短く済んだ”と考えられます(しかし、「再発期間」の定義は?というのが昨日小生が提起した問題点です。今回はblindされていない単なるランダム化比較ですから、ON-OFFのようにはっきりするわけではない再発と非再発の境目を、観察者のバイアス無しで定義しようとすると、それなりに大変なはずですが、詳細が記載されていないので不明なのです)。

著者らは“再発期間中に再発は起きない”と指摘しており、再発とは非再発期間にのみ生じる、との前提があるようです。となれば、単純に年間再発率を欧米式に計算してしまうと、一回の再発期間が短い250ug投与群の方が年間の非再発期間(再発し得る期間)が長くなり、一回の再発期間が長く年間の非再発期間(再発し得る期間)が短い50ug投与群よりも、計算上の年間再発率が高く出やすいことになります。

よって、今回の“Duration of relapses”の差からは、著者らの計算方法の方が、従来の計算方法よりも年間再発率に差が出やすい(250ug投与群に有効性を見出しやすい)と言えるかと思います。しかしこの状態で計算した年間再発率でも、50ug投与群と250ug投与群との差は、片側検定という手段を選択してもp=0.047で、スレスレの有意差となっています。従来の計算方法での数値は記載されていないので想像に過ぎませんが、従来の計算方法では有意差が出ないのではないかなと邪推してしまいます。


≪疑問点4について≫

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