モバイル『芦田の毎日』

mobile ver1.0

iPhone 3GSとDOCOMOの新鋭機とはどこが違うのか ― Googleアンドロイド機(HT-03A)・WindowsMobile機(T-01A)とiPhone 3GSとは何が違うのか?[iPhone 3G]
(2009-07-05 01:59:34) by 芦田 宏直


< ページ移動: 1 2 >

DOCOMOのHT-03A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/ht03a/)、Android携帯と同じくDOCOMOのスマートフォン(WindowsMobile携帯)T-01A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/t01a/index.html)と、今回のiPhone 3GSとはどうなの? という質問を出先で受けた。

両者の共通の(対iPhone 3GSでの)弱点は、iTunesを持たないことだ。共通の弱点ばかりではなく、最大の弱点とも言える。

iPhone 3GS(+ iPhone 3G)の大きな意義は、二つある。

一つは、快適なフルサイトブラウジングを日常化したこと。ネット利用のユビキタス化だ。

二つ目には、iPodの携帯電話化ということ。より厳密に言えば、iTunesの携帯電話化ということだ。更に言えば、iTunesを携帯電話データ管理のプラットフォームにしたということだ。

現在、iTunesは、音楽、動画、ネットラジオ、書籍(オーディオブック)、PodCast(通信と放送との融合メディア)、 iPhone アプリ、およびMS-Outlookの連絡帳、スケジュール、メモ機能の同期機能など、つまり iPhone で利用するデータを統合的に管理している。

iPodは登場時、iTunesを前提にした商品ではなかった。MUSICMATCH Jukebox Plusとかいうアプリだったが、ひどいもので、それならまだ東芝のGIGABEATの方がマシだった(http://www.ashida.info/blog/2002/10/hamaenco_1_58.html)。

iPodが爆発的に広まったのは、その後iTunesに結びついてからのことだ。それほどにiTunesは画期的なアプリだった。何よりも20GB,40GB,80GB,100GBを超えて行く大容量時代の音楽プレイヤーのあり方を追求して、プレイリストが自由な連立方程式によって組めることが最大のメリットだった。

また多種多様なファイルの変換や圧縮率の自由な設定も初期の頃から突出した利便性を有していた。

SONYが負けたのは、iPodにではなくて、iTunesに負けたのである。今頃SONYはそのことを認め、iTunesが使えるWalkmanを出し始めた。Walkmanは完敗したのだ。

ベータvsVHS戦争においてソフトウエアで負けたという反省をしたくせに、それがハリウッド進出にまで飛躍し、足元のWalkmanにおけるソフトウエア開発を怠ったのだから、出井伸之もまた結局のところ(デジタル時代に於ける)ソフトウエアの重要性をわかってはいなかったと言える。

特にiTunesがPodcastサービス(http://www.apple.com/jp/itunes/whatson/podcasts/)をやり始めたときには、私は、もはやiPodは音楽プレイヤーではないと思い始めた。iPodは生涯学習の最も有益な端末となったのである。ストックデータに過ぎないNHKの放送大学がPodcast化されるのは時間の問題だろう。すでにNHKビジネス英語の講座は開放されつつある。

あらゆるラジオ放送がPodCast化されるのも時間の問題。フローデータとストックデータの区別がほとんどなくなるにちがいない。本当に〈リアル〉〈フロー〉データでなければならないデータは何か、ということだけが問題として残るだけのこと。

iPodを初期の頃から使い続けているユーザーで音楽中心の使い方をしている電車族は少ないのではないか。若いサラリーマンが真剣に聞いているとしたら、TOEICの練習コンテンツかも知れないし、「ドラッガーと考える21世紀の経営」かもしれない。またAM電波がまともに届かない地方の中学生や高校生は「爆笑問題カーボーイ」や「伊集院光 深夜の馬鹿力」や「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」などもPodcastを使ってラジオ波よりもはるかに明瞭な音声で(時間を選ばずに)聞いているに違いない。「深夜放送」というのは、もはや比喩にすぎない。

そういったことがiTunesで起こった。その資産をそのまま利用できるのが、 iPhoneという携帯電話。 iPhone はミュージックプレイヤーを超えて(ストックされた)ラジオでもある。

ホリエモンが思いつきで言った「放送と通信の融合」というのはすでにPodcastで起こっていた。

今後2、3年の間に起こることは、テレビコンテンツがPodcast化されることだ。「地デジ」なんてもはや古い。その意味では日本の携帯電話は、 iPhone =iTunesに2週遅れている。「タイマー録音」、「タイマー録画」という概念自体がもう古い。「検索」がそれに代わるのである。

iPhoneは色々なアプリが使えて便利というのは確かにそうだが(もはや、利用できるアプリ数は10年以上の歴史をもつWindowsCE+Mobileアプリを超えてしまった)、日常的にはPodcastクライアントなのである。

DOCOMOのHT-03A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/ht03a/)、T-01A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/t01a/index.html)は、その意味で前世代の遺物である。

< ページ移動: 1 2 >


コメント(5)
次の記事へ >
< 前の記事へ
TOPへ戻る