私が今回の iPhone 3GSで期待しているのは、何と言っても処理速度。劇的に改善されているという。
色々な新機能も加わっているが、新機能が加わって処理速度が重くなったとしたら意味がない。そもそも iPhone 3G は今の状態でも充分楽しい。
しかし、唯一の不満はもたつき感だった。毎回のようにサーバーに読みに行く時間が通常の日本の携帯電話に比べて「使い物にならない」という保守派の批判を浴びていた。
iPhone 3G ユーザーがそんな保守派の批判を無視し続けたのは、サーバーにアクセスしながらアプリも含めた世界大の巨大なデータベースを手元の iPhone 3G で利用することのできるメリットの方がはるかに大きいと感じていたからだ。同じことをさせたとしたら、日本の携帯電話はもっともたつくに違いない。それにWindowsMobileも含め、日本の携帯電話でまともにフルサイトブラウジングできる携帯電話がどこにあるというのか。
私の認識では iPhone 3G こそが、インターネットをはじめてユビキタス化したのである。90年代初頭の「電子手帳」→「ザウルス」→Windows95(=インターネット)→Palm(+WindowsCE)→iMode携帯電話→ iPhone 3G(WEBアプリのユビキタス化)という流れか(※この流れについてはこちら→http://www.ashida.info/blog/2001/10/post_27.htmlに詳しい)。
「電子手帳」の20年来の「夢」はとりあえず iPhone 3G で終焉したと言ってもよい。ところが処理速度だけが難だった。一通のメールをサーバーから読むのに2、3秒はかかる。日本製の携帯電話に慣れているユーザーには耐えられないことだった。今回、その点が改善されている。私の目に入った限りでの「処理速度」情報を整理すると
メールの起動が約2.1倍
SimCityの起動が約2.4倍
メールに添付されたExcelファイルを開く速度は約3.6倍
New York Timesのアプリを開く速度は2.9倍
JavaScriptベンチマークテストの結果は、iPhone 3G(OS 2.2.1)が126秒だったのに対し、iPhone 3G(OS 3.0)では43秒、さらにiPhone 3G S(OS 3.0)では15秒
新たにOpenGL ES 2.0もサポート。
下り最大7.2MbpsのHSDPAにも対応する。
これほど劇的に速度が上がったにもかかわらず、電池の持ちもまた劇的に改善されている。こういった改善の仕方がいかにもアップル社らしい。どこかの国の「最新」WindowsMobile携帯電話のようにCPUの能力をあげて処理速度を上げながら電池の持ちは半分以下になるというようなばかなことをアップル社はやらない。
電池の持ちは以下の通り。
Wi-Fiインターネット 約6時間(iPhone 3G)→約9時間(iPhone 3GS)
動画連続再生 約7時間 → 約10時間
音楽連続再生 約24時間 → 約30時間
GSM連続通話 約10時間 → 約12時間
3G連続通話 約5時間 → 約5時間
通話時間以外は大きく改善している(通話時間は日本製の携帯電話の平均3時間強を最初から多きく引き離している)。特に重要なフルサイトブラウジングの電池の持ちは50%も改善している。WindowsMobile機なら同じ速度で1時間も持つまい。
これを劇的な処理速度の向上とともにやってくれるのだから、恐るべし iPhone 3GSである。私は、この処理速度の向上(+電池の持ちの向上)だけでも、 iPhone 3GSを買う意味があると思う。
●以下が iPhone 3GSの処理速度を比較したYouTube情報
iPhone/iPod touch用の3Dゴルフゲーム「TIGER WOODS PGA TOUR」の起動。右iPhone 3GSで画面が切り替わるまでの時間が6秒なのに対して、左iPhone 3Gは10秒。
Twitterクライアント「Tweetie」の起動時間。時間は右iPhone 3GSが10秒、左iPhone 3Gが24秒。