2、3年来、この私にしては珍しく我慢していることがある。自動車ディーラー(http://www.ashida.info/blog/2009/06/post_353.html#more)にも飛行機のキャビンアテンダント(http://www.ashida.info/blog/2009/06/post_358.html#more)にも不満が多い私が我慢しているのだから、たいしたものだ。
私の住んでいるマンション管理についての不満だ。マンション管理会社がまともなマンション管理をやろうとしない。
私のマンションの管理会社は東急コミュニティー(http://www.tokyu-com.co.jp/)。管轄営業所は武蔵野支店。
マンション管理会社としては屈指の会社なのに、管理業務が何であるのかを全くわかっていない。
最初に言っておくが、マンションの管理会社と管理組合(理事会)との関係は、業務委託の関係にある。マンションの管理会社と業務委託関係にあるマンション管理とは、理事会がマンションを直接管理するのではなくて(そういうマンションもあるにはあるが)、管理をマンション管理会社に「委託」して代行させている。それが業務委託の意味。
これには理由がある。管理組合理事会はマンションのような大規模の管理を直接に行える専門家集団ではない。選出されたとしても「専門性」を代表しているのではない(ほとんどの場合、輪番に過ぎない)。中には「一級建築士」や「建設業」の理事もいるが、住民としては個人にすぎない。それらの個人がどれだけの専門家であったとしても、個人に管理に関する責任を持たせるわけにも行かない。
したがって、管理そのものは管理会社を仲介させて、管理の質の検討や管理責任問題を(とりあえずは)回避する仕組みが「委託」という関係である。最終責任はもちろん管理組合にあるが、管理の実体は管理会社の水準で決まる。
「委託」というのは、したがって理事会が修繕計画やその他の管理業務を決めて、管理会社がそれを「代行」するという関係ではないということだ。
理事会にはそんなことを直接に決める能力はない。「こうしたい」「ああしたい」「ここが不便」「ここが不満」などということはあったとしても、それがマンション全体の利害にどんな意味があるのかを高所大所から判断できる材料を提案するのは管理会社の仕事。
管理会社とは、組合員(理事も含めた)の利害調整、同規模、同レベルのマンションの修繕ノウハウなど通常の組合員では持ち得ない情報を持っていることを前提に、「委託業務」を結んでいるのだから、管理会社は自らの(ここのマンションの事情に応じた)管理方針をまずはいつでも提案できる用意がなくてはならない。管理組合に対して専門的なリーダーシップを持たない「委託」関係などありえない。
ところが、そうは簡単にいかないことが起こる。それは管理会社はその都度選ばれた理事役員の言うことに耳を傾けないと契約更新を断られることを極度に嫌がるからだ。大概の場合、理事役員は、自分の苦情を言うことばかりでマンション全体のことを考えて発言する人が少ない(仕方がないことだ)。
私のマンションもいつのまにか鉄柵と有刺鉄線だらけのマンションになっている。泥棒が入る事件が何回かあって、一階に住む理事が「泥棒が入ったらどうするの?」と発言すれば、他の階の人は(まともな人であれば)なかなかものが言えない。この「ものが言えない」雰囲気をどう仲介するのかが「管理会社」の大きな仕事の一つなのに、その意見のままに「鉄柵と有刺鉄線だらけのマンション」にしてしまう。安易な解決だ。
「警察に言われた」と言いながらビデオカメラの設置までしてしまった。この「解決」の仕方でいけば、夜は暗いからもっと明るくしようとか、段差があるからなくした方がいいとか、衛星アンテナを付けたい人があるから付けさせてとか、笠木はウレタン塗装の方が長持ちするから打ちっ放しのコンクリート笠木は止めようとか、新型のクーラーの方がエコで性能がいいからそのタイプ(壁上部に付けるタイプ)にさせて、とかいった輪番理事の言うことをいつかは全部聞き入れることになる。
ところが、この私のマンションは、わざと暗い演出で全体の設計が出来上がっている。エアコンについても外壁のスリーブのホースを見せたくないためにわざわざ全ての住戸が床置き式エアコンになっている。今では床置きはダイキンかパナソニックしか作っていない(確かに性能は悪いが)。給湯もセントラル給湯によって、給湯器の個別設置によるデザイン阻害を排除しようとしている。異常なくらいにマンションをデザイン優先で設計している。その気位によってマンション全体の景観をホテル並みにグレードの高いものにしている。