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【第三版】ファイル管理の決定版「Dropbox」を知っていますか ― RICHOの戦略商品「quanp」はなぜダメな商品なのか[商品批評]
(2009-05-03 04:32:28) by 芦田 宏直


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外出先で使うノートパソコンと自宅や会社でのパソコンとのデータをどう管理するかはいつも悩みの種だ。

この場合の「管理」というのは、データの重複と更新を管理するということだ。直前まで手直しを続けたデータなどは、メインPCのデータの方が古くなって、出先のノートパソコンのデータの方が新しいということも多い(私はプレゼンの直前まで原稿を直し続けるから余計にそんなことが起こる)。そしてその元データ(会社内、自宅内)の更新を忘れる場合の方がほとんど。実は出先で使うノートパソコンの方に最新のデータが存在している。ファイルを〈作るパソコン〉と〈使うパソコン〉とは得てして違うものなのだ。結局2つのパソコンのHDDに一つの微妙な差異を有したデータを持つことが混乱の元になる。

最近では、大容量のUSBメモリが格安で手に入るから(16GBでも3000円前後で手に入る)、そこにデータを一元化して持ち歩くというのが物理的には最善の方法だろう。16GBもあれば、ワード、エクセル、パワポなど仕事で使うデータはほとんど全て持ち歩ける。この場合には、PCの(会社の、あるいは自宅の)HDD、ノートパソコンのHDDには絶対にデータを落とさないというルールを死守する必要がある。落とすのはかならず一つの同一のUSBメモリ。しかしそれさえ守れば、いつでもどこでもデータは最新の状態で保たれる。

しかし、この方法だといちいちUSBメモリを持ち歩くのが面倒くさい。持ち歩くのが面倒くさいばかりではなく、一々抜き差しするのが面倒だ。それにそもそもが二次記憶装置なので、データ容量に限界がある。容量の多い外部HDDを持ち歩くのも格好が悪い。しかもそのHDDがぶっとぶとすべてのデータが消えることになる。そんなことできるわけがない。

そこで次にやりたくなるのが、Gmailによるファイル管理だ。Gmailの添付ファイル機能を使って、自分に添付メールする。フォルダをそれ用に作って分類すれば、Gmail上にファイルエクスプローラーが存在するかのような使い方が出来る。最近のGmailは無料で15GB以上の容量が確保されているから、下手なストレージサービスよりも経済的。

Gmailをそのようなファイル管理で使っている人は多い。が、これにも問題がある。添付ファイルは、あくまでも添付ファイル。送った側のHDDにも送られた側のHDDにも、それらのデータはそれらのHDDに二重に残ることになる(自分に送った場合には送られたサーバーに)。ファイルを更新する度に、データにずれが生じる。毎回添付して以前のデータを消しつつ管理しなければ、データ管理できない。そんな面倒くさいことは長続きしない。Gmailでのファイル管理の最大の問題は、Gmailに直接データを書き込めないことだ。データを一元管理できない。

それならば、USBメモリ派の物理的な一元化の方がまだまし。絶対にデータは二重化しない。

後は、オンラインストレージサービスを使うかどうかだ。私はWEBPOCKET (http://www.ashida.info/blog/2003/09/hamaenco_3_99.html)というサービスを使っていたが、5年ほど前には使わなくなっていった。高速回線がまだ一般化していなかったし、それ専用のアプリケーションを立ち上げるのが面倒くさかったからである。かならずファイルのアップロードという過程が存在する。となれば、Gmailと変わらない。それゆえ、有料のWEBPOCKETサービスは昨年で終了している(http://www.webpocket.net/information.html)。今、この記事を書くためにリンクを張ろうとして初めて気付いた。さもあらん。

最近のオンラインストレージでは、RICHOのquanp(http://www.quanp.com/about/)が有名だ。このquanpの最大の特長は、ワード、エクセル、パワポの画面にVBAで作ったかのようなアイコンが付き、そのボタンをクリックすることでそのままファイルをUPすることが出来る。いちどHDDに保存する必要がない分、データの管理は容易になるが、UPしながら、そのファイルを保存しないというのも変な感覚だ。しかしHDDに保存したら、一元化にはならない。

しかしデータが手元に一切ないというのも不安だ。バックアップの問題が生じる。ストレージが破綻するかサービスがなくなったら終わりだからだ(そのことで本当にファイルがなくなるかどうかはほとんど心配する必要のないことだが)。したがって定期的にバックアップする必要がある。それも面倒くさい。

しかし、RICHOのquanpの最大の問題はそこにはない。あれだけユーザーインターフェイスに凝っているのに、肝心のファイル転送管理に問題がある。フォルダ構造をそのままUPできないのだ。たとえば、ファイルをいくつか有した既存のフォルダをドラッグ&ドロップでアップロードする場合、一挙にフォルダ内のファイルをアップロードできるが、フォルダ構造そのものはアップできない。フォルダもフォルダ名もフォルダ構造もそこでは解体してしまう。

こんなバカな事はない。quanpには「レイヤー」と「プレイス」というファイルの構造化機能があるが、これはquanpの勝手なファイル構造であって、既存のファイルエクスプローラーとは何の関係もない。あらたにquanp用にファイル管理をし直さなければならない。

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