「資格の専門学校」が躓きの石だったようにして(http://www.ashida.info/blog/2008/10/1.html#more)、「実習の専門学校」も私(たち)には問題の多いもののように思えた。
専門学校では、実習授業にかなりの時間を取っている。大学では単位数がカリキュラム全体の時間数(=科目数)を規定しているが(124単位以上)、専門学校では文字通り時間数(1年間に800時間以上:ここで言う「1時間」とは45分〜50分のこと))がカリキュラム(科目数=科目配置)を規制している。
単位制では、実習授業は講義授業の半分の単位しかない。90分授業×15コマの講義科目は通常2単位だが、同じ時間数をとってもそれが実習授業であれば、1単位になってしまう。大学では実習授業を増やせば増やすほど単位数は減る。実習授業を増やしながら単位数規定を守ろうとすれば、科目数の増大(教室数、教員コマ数=教員数)、つまりコスト増を意味するため、いたずらに実習授業を増やすわけにはいかない。
なぜ実習授業は講義授業の半分の単位数しか認められていないのか。INPUTの生産性が、実習授業では半分以下に落ちるからである。あるいは講義授業に予復習(時間外勉強)はつきものだが、実習では授業〈時間〉中心の学習になるという点も単位数が軽薄になる理由になっている。要するに大学の単位数は授業における知性(インテリジェンス)の度合いを評価している。
これは、〈知性〉か〈実際(リアル)〉かという選択の結果ではない。大学生にもなれば、(子供じゃないのだから)〈知性〉自身に〈実際(リアル)〉を感じないようでは勉強したことにならないという原則が貫かれている。それは〈近代社会〉の原則でもある。(IT社会)ではますますそうだ。
さて、年間平均で言えば、8科目程度(90分×30週×8科目)の「講義」授業を履修すれば、124単位以上の卒業履修が大学では可能になるが、専門学校は時間規定の規制しかないため、年間800時間をクリアしようと思えば、年間13科目から14科目の履修が必要になる。
この差の基本は、結局のところ実習授業の多少に関わっている。総科目数8科目の授業で、そのうち実習授業を含むということではほとんど用を足さないからだ。しかし、専門学校では全ての授業を実習授業にしてもよいし、全ての授業を講義授業にしてもかまわない。国交省や厚労省関連の資格「認定校」の場合は、講義・実習の時間規定が存在しているが、それ以外には「講義」「実習」のしばりはない。「単位」ではなくて「時間」がすべてだ。専門学校が「履修」ではなくて「出席」重視のマネージメントに走る原因の大きなものがこの「時間」主義にある。
専門学校生が大学生より忙しそうに見えるのは、専門学校が単位制でないからだ。講義(実習ではない)の生産性に欠けている分、専門学校生は忙しい。
大概の場合、専門学校の授業は実習授業を中心に構成されている。その理由は、二つ。
1)大学的な「講義」に耐えられない学生が多い。