カシオペア E-500（WindowsCEのパームサイズパソコン）を買いましたが（6月1日）、いやになって2日後に売ってしまいました。やっぱり、WindowsCEもカシオも駄目です。

一番駄目なのは、パワーがないということ。私はザウルス（今はMI-310）をずっと使ってきましたが、約2000件ある住所録データをE-500にコンバートしたところ、ほとんど動かなくなってしまいました（というか、実用的でない速度になりました）。これではいくらマルチメディア機能が充実していても意味がありません。次に駄目なのが、辞書機能。郵便番号変換辞書（郵便番号を入力すれば、住所に変換される辞書）がWindowsCEにないのは、前から知っていましたが、このE-500は、その上、単語登録が（一語も！）できません。こんなものは、パソコンではありません。「そんな馬鹿な…」と思って、この件で、カシオ（のお客様相談センター）に電話をしたら、やっぱり「できません」と返事が返ってきました。要するに、まとまな入力ができないということだ。

「E-500は、いつでもどこでもの"モバイル"ツールじゃないということですね」と念を押したら、なんとそのカシオの担当者は、「そうです。入力はパソコンでしていただいて、E-500は、端末としてお考え下さい」と、居直ってしまった。そのうえ「住所録管理やスケジュール管理は、カレイド（カシオの、ザウルスより程度の悪い電子手帳）の方が優れていますので、そちらでしていただいた方が…」などと、さらにとどめのような発言。やっと、ザウルスから解放されると思って、買ったE-500だったのに、肝心のカシオ自身がこれでは話にならない。

いったい、E-500は、何に使えるのか？　まず、電子手帳としては失格（とカシオ自身が認めている）。デジタルカメラや音楽の再生装置？　それにしては、メモリー容量が足りないし、大きい、重い（モデム内蔵のMI-310より、大きく、重い）。　パソコンの「端末」（カシオ）？　それにしては、WindowsのOFFICE系のデータを直接運べない。要するに、何の役にも立たないということだ。

私は、いまさらのように、ザウルスの偉大さに感じ入ってしまった。私のザウルスには、約20年まえのカシオ電子手帳（そう、何を隠そう、私は実はカタカタ入力しかできない頃からのカシオ派だったのだ）から蓄積してきた総計5000件を超えるPIMデータが入っている。もっとすいすい動いてほしいとは思うが、最新のE-500でさえ、砂時計がでたまま反応しないのだから、結局ザウルスはパワーがあるということだ。愛着。愛着。

そこで、私は調子に乗って、最新のザウルス「アイクルーズ」を見に行った。アイクルーズの、一番いいところは、とにかく液晶表示の美しさだ。これには、E-500のTFT液晶もかなわない。処理速度もよくなっているが、しかし、インターネット情報管理を中心に機能が構成されているために、私のようなPIM機能に関心を持つものには、不満だらけ。第一、今の私のMI-310の機能が全部コンバートできない（MI-310より、PIM機能が少ない！）。要するに、アイクルーズは、ザウルスではないのだ。たぶん、パソコンでインターネットができないおじさんたちのためのツールなのだろう。しかし、いくら高精度とはいえVGAの画面、しかも33.6kbpsの速さしかでないモデムで、どんなインターネット情報を活用しろというのだろう。私が、アイクールズを見に行ったのは、世田谷のヤマギワだが、たまたまシャープの営業が手伝いにきていて、アイクルーズが"不評"なのを嘆いていた。「お客さん、もうちょっと待った方がいい」とそのシャープ担当者は親切だった。カシオの相談センターが居直ったのとは大きな違いだ。

シャープも、初心に返って、PIMの究極とも言えるものをつくってもらいたい。PI-8000なみの大画面でアイクルーズのような高精度TFTをもち、高容量、高速処理、かつ超小型のカメラ付き。さらにMS-OFFICE系のデータを持ち歩ける、というのが私のPIMの"究極"だ。

カシオは、もう駄目だ。WindowsCEにかけたわりには、「電子手帳ではない、端末だ」などといって、ごまかす（マルチメディアとは言いながら、マルチに中途半端）。かといって、カレイドがザウルスより優れているわけではない。行き場がないじゃないか。カシオが、滅亡しかけている分、シャープ・ザウルスがアイクルーズなどというこれまた中途半端な商品を作って、自滅。

シャープもWindowsCEを評価しそこねているのである。安心しなさい、シャープさん。WindowsCEなんて、ザウルスのライバルではない。インターネットとPIMとの関係をもう少し冷静に考えることのほうが重要な気がします。

(1999/6/6掲載)