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370 12/8(水)
23:52:18
 今年最後のセミナー講師 ― 「高度専門士」について  メール転送 芦田宏直  2227 

 
先日は業界では超有名人の舟本さん(http://www.esprit-g.co.jp/esprit_keireki.htm)とタッグを組んで、セミナー講師を務めてきました(市ヶ谷私学会館)。主催母体は私学経営研究会。「カリキュラム・シラバス改革の幻想と授業評価」(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=310)を書いたことが機縁で、講師依頼が来てしまった。セミナータイトルは「専門学校の課題、展望、生き残り戦略」というもの。舟本氏(「専門学校を取り巻く環境変化への対応」)の話で重要なところを紹介しておきます。

1)まもなく(来年度)には、4年制の専門学校をつくれば、「高度専門士」(仮称)という称号が与えられる。大学院への道が、専門学校にも開かれる。

2)この称号は、基本的には2年制(従来の専門課程)に接ぎ木した研究科などの2年制をプラスしたり、3年制の専門課程に1年制の高度課程を接ぎ木しただけでは与えられない。本格的な(大学のような)4年制課程でなければならない。

3)ただしたとえば2年制+2年制の全体がカリキュラムや人材像として一貫したものであれば、「高度専門士」の称号を与えても良い。

すでに私は、この話については、6月頃、全国専門学校情報教育協会(http://www.invite.gr.jp/)の福田会長から聞いていたが、「高度専門士」(仮称)という名称まで出てきたのは、福田会長の話が“本当の話”だったということを裏付けている。これは実質的な、大学卒、専門学校卒の区別の解体の始まりである。

しかし私は、「高度専門士」というタイトルはどうでもいいというふうに思っている。実は、この話は、「専門職大学院」構想と一体の話であって、大学卒も専門卒(「高度専門士」)も、同じく「専門職大学院」に入学出来るという点が肝心。今更、「高度専門士」で、「大学」(学士)と並ぶ、というのではなくて、「専門職大学院」への道が開かれ、そこで「大卒」と平等に戦える、というのが、この法改正の(専門学校関係者にとっての)要点だ。

専門職大学院は、法科大学院(ロースクール)だけのように思われているが、すでに来年度も20校の大学や株式会社が22専攻(公共政策系、会計系、MOT,技術、医療、知的財産系など多岐の分野にわたる)の「専門職大学院」の開講を予定している(まだまだ技術分野の設置が後れているのが難点だがhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/04071603.htm)。

従来の研究型の「大学院」をこれ以上中途半端に太らせることなく、実務に直結した高度職業人育成を狙って設置されたのが「専門職大学院」(このことは、超一流大学を除いてほとんどの大学が専門学校化していくことを意味している)。したがって、「専門職大学院」への進学を勝ち取れない「高度専門士」はほとんど意味がない。「大学」教育への絶望から設置された「専門職大学院」への進学を狙わずに、「大学」と並んだ、と言って「高度専門士」を喜んでも、それは一周遅れて“競争”を争っているだけのことだ。

そもそも「専門士」も「高度専門士」も、ローカルな称号で、留学生にはほとんど意味がない(グローバルスタンダードにはなり得ない)。4年制専門学校生も、大学と区別せず「学士」で通せばよいのに、一条校(大学、短大など)の既得権益者たちが、そうはさせじ、と抵抗した結果が、「高度専門士」。こんな変な名前(「高度」でない「専門」士とはどんな専門士なのか)は、日本でしか(日本でさえ)成り立たない。

本当に大学と肩を並べるには、「専門職大学院」への進学を前提とした(あるいはその実力をもった)4年制課程を作るしかない。そうでなければ、わざわざ(キャンパスの広い)大学進学をやめて、専門学校へ入学する者はいない。4年も行くのだったら(あるいは4年で終わるのであれば)、大学へ行く方が“自然”と考えるべきであって、そこでは専門学校は勝ち目はない。魅力ある4年制の一貫カリキュラムを作れば、大学の講座主義によって分断されている中途半端な教育を超えることはそう難しいことではない。助成金の有無よりは、教育への知的な熱意が勝敗を決める。これが私の舟本講演の感想。

ところで、昨日は、13:00からが、舟本さん、15:10からが私という構成。特別大きな会場ではないが、ほぼ満杯。私は、13:00から会場に入って、一番後ろの席に座り、パソコンの電源コンセントを捜して、パワーポイントの最後の修正をしながら(舟本講演の内容にも言及できるように)、15:10からの講演に備えていた。イヤな予感が横切った。舟本さんの講演が終わった途端に、会場の聴衆が一斉に席を立って会場から出て行ったらどうしようかと。この私の前に広がる参加者(ほとんどが経営関係者)は、そのほとんどが舟本さんの講演を聴きに来ているのであって、私には用がない…。考えれば考えるほど暗くなってきた。

時間が来てトイレ・タバコ休憩。席を離れる人が、荷物も持てばもうおしまい。しかし、逆に15:00前に、2,3人の人が会場に入ってきた(席を増設することになった)。これは、間違いなく、私の“お客さん”。帰る人もない。よし、とほっとすると共に気合いも入った。

講演は自己採点で70点。中には私の講演を何回か聞いている人もあったので、(もっと新しい内容を足せなかった分)その分が30点引きだ。一番力説したのは、11月末の「自己点検・評価」研修会の評価(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=364)。ここはみなさんも真剣に聞いていただいた。講演の終わりには、たくさんの方と名刺交換できたし、現在の「自己点検・評価」の間違った方向性については、「胸のつかえがおりました」と握手を求める方もおられた。まずは成功でしょう。


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