番号 | 日付 | 題名 | 投稿者 | 返信数 | 読出数 |
276 | 3/11(木) 23:58:47 |
都立戸山高校卒業式・答辞 | 芦田宏直 | 0 | 14419 |
今日は息子・太郎の卒業式。家内はもちろん行けないので、私が行くことにした。戸山高校に行くのは入学式以来(http://www.ashida.info/trees/trees.cgi?log=&search=%93s%97%a7&mode=and&v=325&e=msg&lp=325&st=0)のことだ。この高校は、入学式のときからおかしかった。父兄や教員の、結構の数が、古典左翼に染まっていて、まず、君が代斉唱について、「立ちたかったら立って下さい」と公務員の先生が言う。入学式のときは、ぽつりぽつり立つ人がいたが、何か異様な雰囲気が漂っていた(私は邪魔くさかったので座っていたが、しかし勇気を持って立つ人がかわいそうだった)。 今回も、どうなることやらと思っていたが(今回もそんなことをしたら「ちょっと待て」と大声で止めてやろうと思っていた)、一応「一同起立」で始まった。中にはわざわざ座って立たない(唱わない)人もいたが、それは自由だ。 しかし、しばらく立つとやはりこの学校はおかしいことがわかった。来賓によって、拍手する人としない人がいる。都議会議員や教育委員会の来賓には(わざわざ紹介しておきながら)誰も拍手をしない。校友会代表(校長に批判的な“祝辞”を述べていたが)には拍手をする。パラパラとだが拍手をする。それがまた異様。この学校の父兄は“儀礼”(右翼、左翼を超えた)というものを知らない。 この学校の父兄(や教員)に言いたいが、それほど君が代が嫌で“自主・自立”が好きなのなら、公務員の教員が教える公立高校に子供を入学させないことだ。 以下は、息子の太郎の今日の答辞の原稿です。たいしたしゃべりでもないのに、結構受けていました。(笑い)は、できるだけ思い出して正確に再現・挿入しました。 ●2003年度都立戸山高校卒業式答辞 中学校3年当時、青山高校(http://www.aoyama-h.metro.tokyo.jp/)か、戸山高校(http://www.toyama-h.metro.tokyo.jp/)どちらに進学するか悩んでいるクラスメイトがいました。ここではA君とします。 僕はA君にこう説得しました。「共に戸山でバッテリーを組んで甲子園を目指そう!!」(笑い)。 僕は中学校のサッカー部で部長を務めていましたが、顧問との人間関係でいっぱいいっぱいになり、サッカーどころではなくなってサッカーが嫌いになっていました(笑い)。 だから保育園の頃から草野球で培った野球歴を生かし、戸山に入学したら野球部に入部しようと思っていたのです。こうして僕に説得されたA君は僕と共に戸山を目指すことになりました。 ところが予想もしなかったことが起きました。それは願書提出の日でした。今でも鮮明に覚えています。その日は雨でした(笑い)。 戸山の願書受付の会場で目にした光景は僕とA君を驚かせました。今思うと時間帯が悪かったのかもしれませんが、僕等の同級生となるであろう受験生たちは、全員と言っては大げさですが、制服のズボンは靴下が見えるくらい短く、いかにも秀才風で、「どんな問題でも解いてやるぜ」的な人ばかりだったのです(笑い)。 僕とA君は明らかに場違いな感じがしました。なんとか願書を出し終えた帰り道、僕等に会話はほとんどありませんでした(笑い)。 A君が言いました。「おれ、あの高校で友達できるのかな・・・」。僕は返す言葉が見つかりませんでしたが、気力を振り絞って「大丈夫だよ。一緒に甲子園行こうぜ!」と返しました。正直僕も不安でしたが、いまさら引き下がるわけには行きませんでした(笑い)。 そして悲劇は起きました(笑い)。願書再提出の日、僕はA君から衝撃告白を受けます。「芦田、おれやっぱ青山に行くよ(大笑い)。だから青山に再提出した」。 かなりのショックを受けましたが、僕は強がって「そっか。おまえの人生だもんな! そう思うんだったらそうした方がいいよ! じゃああと少し頑張ろうぜ!」と無理して返しました。 そして月日は流れ、僕は念願の戸山高校、A君は青山高校に進学したのでした(笑い)。 僕は戸山に入ったからにはA君に「青山じゃなくて戸山に行けばよかったよ」と後悔させるくらい、充実した高校生活を送ろうと決心しました。 しかしそうは言うものの、やはり僕は不安でした。「願書提出の時のようなマジメ君だらけだったらどうしよう・・・ おれは友達が出来るのか?!」(笑い) そして入学式をむかえました。まわりを見渡すと、とりあえず願書提出の時のような光景はありませんでした。一安心。やっぱりあれは何かの錯覚だったんだ(笑い)。戸山に来て俺は正解だったんだと思いました。こうして戸山高校での3年間はスタートしたのです。 しかし始まったのは良いものの僕は何か物足りなさを感じていました。その足りないものとは部活でした。甲子園を目指そうと誓った仲であるA君がいない(笑い)。 野球への情熱は薄れていました。かといってサッカーもイヤだし・・・・ 結局僕はただなんとなくアメフト部に入部しました(笑い)。しかしやはり目標もないものが長続きするはずもなく、サッカー部の練習が目にはいると、異常にサッカーがしたくなってきました。 そしてぼくは「人生一度きりだし、今本当にやりたいことをやらなきゃ後悔する!!」と思いサッカー部への転部を決意したのです。一方A君も青山高校サッカー部に入部していました(笑い)。 僕にとってサッカー部への転部は成功でした。本当にやりたいことを見つけた僕は毎日充実した日々を送ることが出来ました。戸山のサッカー部は正直決して強くありませんが、僕にとっては最高の部活です。 最終的に僕等の代のサッカー部はマネージャーも含めると8人だけですが、この8人は戸山での3年間で最高の友達であり、最高のチームメイトです。 顧問の先生のおかげで、全国屈指の強豪校、帝京高校や国見高校と練習試合をすることが出来ました。 一方A君の青山高校サッカー部は監督がいなくて、もちろん帝京と試合できることもないため、僕の話を聞いたA君は「いいなぁ、俺も戸山行けばよかったよ・・・」と嘆いていました(笑い)。 その言葉を聞いて僕は改めて、戸山に来てよかったんだなと思えました。戸山高校サッカー部に入部したからこそ、最高の仲間に出会い、普通の高校では経験できないことを経験できたと思います。 少し話はさかのぼりますが、僕が戸山高校を受験した頃の戸山の受験倍率は、推薦入試や他学区受験は別ですが一般の場合1倍を少し超えたところで、競争率はそれほど高いと言えるものではありませんでした。しかし戸山を目指していた僕にとってはそんなこと関係なかったし、むしろ入りやすいならありがたいくらいの気持ちでした。 ところが、正確な時期は覚えていませんが高1の秋くらいだったでしょうか、我が戸山高校が東京都から「進学重点校」というものに選ばれました。かつて全国屈指の進学実績を誇っていたころの都立を復活させる計画に、戸山高校が選ばれたのです。 この計画を聞いたとき僕はとても良いことだと思いました。中3当時、通っていた塾の先生に進路相談をしたときに、僕は戸山高校が第一志望だということを伝えました。しかし塾の先生には戸山は浪人が多いので私立の進学校、または付属にいくことをすすめられました。僕は腹が立ちました。確かに浪人は多いのかもしれない。でも戸山には私立の進学校にはない良さがあるんだ、と思っていました。だからこの進学重点校に選ばれたことを聞いたとき、「ほらみろ。都立だってこれから良くなっていくんだ!」と思ったのです。 そして現在の2年生の時の受験倍率は1,3倍くらいに上がり、現在の1年生にいたっては独自入試などでさらに倍率は上がっています。これによって入学してくる生徒のレベルも上がり、進学実績も上がっていくでしょう。 もちろん単なる進学校になることが、僕の望むことではありません。僕がさきほど述べたような、貴重な経験、仲間を得ることができた充実した部活動という戸山のすばらしい一面が奪われてしまってはなんの意味もないと思います。そんなことになってしまったらそのへんの私立の進学校と変わりません。 先生方は戸山高校の変革に当たって、「戸山らしさをなるべく残して・・・」というようなことをおっしゃっていましたが、それは先生方の仕事ではなく、僕ら生徒側の仕事ではないのでしょうか? 先輩たちから受けついだ戸山らしさ、僕ら自身が戸山で生活して感じた戸山らしさ、それぞれを僕らが、そして後輩たちが見失わなければ、「進学重点校」になろうとも戸山は戸山らしくいられると思います。勉強だけの戸山になってほしくない。僕はそう願うばかりです。そして後輩の皆さんたちにはまず学校が今どうなっているのか興味を持ってほしい。戸山がどう変わろうとしているのか、そして何が残るのか。それらを敏感に感じ取り、戸山の生徒自身がそれぞれの戸山らしさを見失わなければ戸山はきっといい方向に変わっていくと思います。 長くなりましたが、戸山での3年間は小学校の6年間よりも、中学校の3年間よりもはるかにあっという間でした。それだけ充実した高校生活を送らせてくれた戸山高校に感謝したいと思います。ありがとう戸山高校。 3年D組 芦田太郎 ※私の、この「答辞」の採点は、68点。最大の難点は、「戸山らしさ」が結局のところ、「部活動」がよかった、と言われているだけで、そこが通俗的。これでは何が「戸山らしさ」なのかわからない。部活に集中していた子ならだれでも、その学校の「らしさ」にすり替わってしまう。「戸山」の何が「戸山らしさ」なのかがそこでは薄れてしまう。もう一段の突っ込みが欲しいところ。みんなには絶賛されていたが、残念でした、太郎君。 |
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