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1073 8/31(水)
23:56:11
 「自民党と民主党は変わらない」からこそ戦っている。  メール転送 芦田宏直  2446 

 
二大政党制に近づくと、その二大政党の間には政策的にそれほどの差異はなくなる。それは政権党が“現実”を相手にせざるを得なくなるからだ。“現実”は一つだから。

だから“二大政党”である自民党と民主党の政策とがそれほど大差がないのは、中選挙区時代の野党(野党第一党)ではない民主党が現実的に政権に近づいている(本気で政権を担おうとしている)証でもある。

社民党や共産党が、民主党(の政策)は「自民党と変わらない」と訴えているが、それは社民党や共産党(あるいは公明党)が永遠に政権を取ることはないからこそ、そう言える“批判”にすぎない。だから共産党の今回のキャッチは「確かな野党」。これは「確かに野党」と読み変えるべきだ。

中選挙区時代は、同一選挙区で政権党の議員が2人も3人もいたから、その差異自体が政治的、政策的対立を形成しており、野党の存在は、政権党内の派閥差異を戯画的に拡大した比喩にすぎなかった。

小選挙区の二大対立は、したがって二大対立とは言うけれども対立としては微少な対立にすぎない。戦い方が拡大している(拡大しているし、公開化されている)だけであって、内容的な差異は微少なものだ。自民党も民主党も、公務員と税金の問題や外交に解決を与えようとしていない(その対策案に大した違いはない)。社民党や共産党はもっと混乱している。

中選挙区時代に於ける政権党の安定性を小選挙区の二大政党制は与党と野党との政策的な同質性に代えているのである。それはいずれにしても政権というものがいかに重いものかを物語っているが、その重さは“現実”の重さだ。

28日日曜日朝のTV番組で、公明党の冬柴幹事長は「与党と野党のマニフェストを同列に扱わないでほしい。与党は具体的に政権を担っているから、あまり具体的な数字や政策を打ち出せない。野党は無責任なことをいくらでも書ける」と言っていた。これは確かに正しい。

公明党も長い間政権の内部にいて、政権の重さを学んだのだ。しかし私が許せないのは、公明党は「是々非々を党是とする」政党ではなかったのか。政権党は起こっていることすべてに対して「是とする」ところから出発する覚悟を持たねばならない。

心理的、認識的にはどんなに理不尽なことに見えることでも「それなりに理由がある」ところから出発するのが、政権党の思想のスタンス。野党は認識論的だが、与党は存在論的だ。だから「是々非々を党是とする」とする公明党はそう言うことによって永遠に野党であることを選んだのだ(それはそれで立派な選択だった)、とそう私は長い間思っていた。

ところがここ数年政権に参画することによって、自民党の予算案の余剰に福祉政策をわずかに上書きしながら、すっかり与党に居座り続けている。これは政権の重みを担っているのではなくて、うまみに浸っていることでしかない。すっかり党是のなくなった政党なのだ。

公明党の歴史的意義は今やひとつ。自民党が単独で政権を担えなくなったという事実をますます補強していることである。自民党の本来の「改革」を遅延させてしまっている元凶が公明党なのだ。

その歴史的意義にはさらに皮肉がある。現在の連合政権は中選挙区時代末期に於ける連合政権ではなく、いつでも1選挙で雲散霧消してしまう連合政権にすぎない。今回もへたをすると、自民党(あるいは民主党)が単独で300議席取るかもしれない。小選挙区二大政党制の政権闘争は、共産党や公明党のように国民政党に完全に解消し得ない核をもっている政党の場合は、政治戦略を描きづらい。

自民党が今回の選挙で単独で過半数を取ったときに、公明党は何をするのだろうか。「それほど支持があるとは思えない」と思うのならば、そんな自民党をなぜ公明党は支持し続けるのか。民主党を支持するよりはましだ、というのかも知れないが、なお野党体質の残る公明党(もともとが是々非々が党是であった公明党)からみれば民主党も自民党もそれほど差のある政党には見えないはず、と思うのだが。公明党もまた連合政権の中で自らの先行きを自らで見えにくくしている。

小選挙区時代、すべての政党に課せられているのは、単独で政権を担う思想だ。現実の重さは単独で担ってこそ重い。単独で政権を担う政治だけが、本来のダイナミクスを形成する。それがわかる政党だけが、この時代の選挙を勝ち抜いていく。


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