最新炊飯ジャーを買った ― 高校三年の秋の母を思い出す。 2009年11月27日
久しぶりに電気炊飯ジャーを買った。使っていた炊飯ジャーの底部の御飯がべっとりし始め時間が経てば経つほど水気を含み始めたからだ。御飯が美味しくないとおかずがいくらあっても食事が楽しくない。
※これが買った東芝RC-10VGC。青く光ってるのが、「真空中」のしるし。40時間真空状態を保つ。開けても30分後に自動的に再度真空状態にする。炊飯後の3日目の夜でも美味しく御飯が食べられる! 感激。
私の炊飯ジャー選びのポイントはただ一つ。御飯の持ちがいいもの。できれば一週間でも持つものが欲しい。私はお米を研ぐのが大嫌い。一回で一週間持って欲しい(苦笑)。おいしさは二の次か。最新式はどれくらい持つか。楽しみだ。
そこで高井戸のヤマダ電機へ直行。「ジャーで一番詳しい人出して」と頼んだら、「私で良ければ」とその人。
「本当に詳しいの」
「どんなものが」
「一週間持つのがいいんだけど」
「そんなものはございません」
「わかってるよ。比喩だよ。じゃあ、持ちがいいと謳ってる炊飯ジャーは?」
「それは東芝です」
「東芝?」
「各社40時間以上もつとスペック上はなっていますが、『持ちがいい』ことを特に謳って前面化しているのは東芝だけですね」
「いいじゃない、東芝。どんな仕組みで『持ちがいい』のよ」
「東芝製は真空状態にして空気を抜くんですよ。炊きあげて40時間真空状態を保持します。そのため蓋も二重ロックになっています。食べるときには一度開けて30分間は通常の蓋になっていますが、30分後には空気を抜き始め再び真空状態になります」
「いいねぇ。空気を抜くのだからそりゃ、持つよね。詳しいね、あなた」
「それじゃあ、東芝しかないね。東芝でも何かランクがあるの?」。
「上位機種は、玄米でも20時間は持つようになっていますが。白米だけなら、下位機種でも性能は同じです」
「でも、白米にも影響があるんじゃない? 持ちも良くなるんじゃない?」
「いえ、私、食べ比べましたけど、味はあまり変わりませんでした」
「えっ、食べたの、実際」
「はい、変わりませんでした。でもメーカーの人は、上記機種の方が白米も美味しいと言うでしょうけれど」。
「あなた、偶然に出会った割には、いいじゃない。詳しいね。信用します。そのあなたとの出会いを祝して上位機種を買っておくよ」
「…。お客様なら東芝製が一番だと思います」
「じゃあ、これにして」
と言って買ったのがRC-10VGC(http://www.toshiba.co.jp/living/rice_cookers/rc_10vgc/)。
早速、使ってみたら、これがやはりいい。
私は一回に4~5合くらい炊いて、これを3日間!食べつつづけるが、これが持つ!
3日間というのは、夜食べるために夕方6時くらいに炊いて、次の日の夜、さらに翌日の夜。これで炊飯後47時間くらいになるが、それでも持つ。真空状態が40時間までだが、それを超えてもまだ大丈夫。なかなかのものだ。
玄米御飯でも20時間くらいは持つらしい。
私は堅めの御飯が好きなので「しゃっきり」モードで炊いている。たしかに「しゃっきり」炊きあがる。
そもそも、私はごわごわした御飯が嫌いだ。お米をほとんど研がない人がいるが、アレは許せない。濁った水で炊くのも許せない。
白光り?するくらいに研ぐ。ダイヤモンドのように光って「しゃきっ」と炊きあがるのが私の趣味。
というのも、私には米研ぎに関して、少なからず思い出がある。
父が、私が高校三年の8月、急性白血病で亡くなって、その時、母は42歳。父の死後月日が経つにつれて米がごわごわになってきた。もはやお米を研ぐ気も起こらないのかと。
母は父を白血病で失って、だんだん食事を作る気を失ったのだろう。それが手に取るようにわかった。「愛情なんて数値化できない」なんてバカな事を言う人がいるが、私にはできる。御飯の研ぎ度指数を形成すれば、母親の家庭への愛情度ははかれる。
家事というのは不思議なもので、お米を研ぐことばかりではなく、おかずの「あと一品足りないな」とかを含めて、料理の作り手の手抜きを作りながらも本人自身が必ず自覚している。
だから、料理はうまいへたの以前に手抜き度の最良の指標になるわけだ。私がそれを体験したのが、高校三年の秋のことだった。手抜きというか、母親の家事仕事への集中度が落ちていくのが日々感じ取れた。最愛の人を失うというのがこれほどにも大きな事なのかと。
そのとき、私が心に決めたことは、私はぜったいお米を研ぎ続けるぞ、手をゆるめないよというものだった。
最近の無洗米を買っても私は通常米と同じように研ぎまくっている。「意味ないジャン」とつぶやきながら。そのたびに高校三年の秋の母を思い出している。→「にほんブログ村」
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実家へ
炊飯器を贈りたいので、 参考にさせていただこう!と 拝見させていただきました。
今
JRにいるのですが、
電車を待ちながら
泣いてしまいました…。
私も香りや、
味覚などの記憶からも
大切な家族を
ふいに思い出す事があって何年たっても、
涙が乾いてない事に気が付きます。
…先生の記憶を
映画のスクリーンで
拝見したような、
切ないひとときでした。
初めて感想を送らせて頂きます。
電子部品メーカーに勤めている普通(何が普通?)の技術者です。
私の父も7年前の12月下旬に他界しました。私が大学を卒業してまだ5年ほどしか経っていない時でした。
その後の母の落ち込みようは想像以上でした。
その後、何かにつけて父のことについて話始める母を見て、私も、もし亡くなってしまったら妻や母はもっと悲しんでしまう。
何があっても生きなければ、と思ったことを今でも思い出します。
どんな感動的な映画を見るよりも、最愛の人を亡くすということは、間近に感じなければわからないものだとつくづく思いました。
いつもブログを拝見させて頂いていますが、今回は特に共感いたしまして思わずほろっと来たため、感想を書かせて頂きました。