【第二版】iPhone 3GSで名刺管理はどこまで可能か? ― ScanSnap+EVERNOTE+iPhone 3GSは最高の組み合わせだ(名刺のOCR処理に異議あり!)。 2009年09月06日
今回のテーマは、名刺管理。
※これがScanSnapS1500による名刺スキャニングからiPhone 3GSアプリ(EVERNOTE)へ取り組む操作のすべてと時間(25枚の名刺取り込み)。25枚なら約1分30秒で完成する。最初のPC画面に現れているアプリは、ScanSnapのアプリ。データを転送した後で表れる名刺画面のアプリがPC上のEVERNOTE。EVERNOTEに転送された後は、ファイル名とタグ入力して(25枚程度なら入力操作は10分もかからない)、「シンクロ」ボタンをクリックすれば、iPhone 3GSのEVERNOTEにデータは同期されている。もちろんScanSnapのスキャナーを直接EVERNOTEのスキャナーとして使う設定もできるが(これも便利!)、私の場合は、両方に記録しておきたいため、一手間多い(直接スキャニングすれば、25枚の場合、1分以内で済む!)。しかし気になるほどのこともない。
※これが今日のテーマのiPhone 3GSにおける名刺管理画面の一つ。iPhone 3GSを横画面にするだけで一挙に12枚の名刺を表示できる。指で操作するだけで任意の名刺データを拡大、縮小できるのはiPhone 3GSのお得意技。小さくてどの名刺が誰のものか、わからないじゃないかと言うなかれ。名刺はロゴマークなどだけでもわかることも多い。それでもわからない場合は、指をそっと名刺に触れるだけで名刺の氏名(=任意に付けたファイル名)がにょろっと出てくるようになっている。縦画面の場合は、5枚の名刺が並び、氏名、タグ、入力日付とともに並ぶ。検索結果も同じように表示される。目当ての名刺を指でタッチすれば画面全体に名刺画面(名刺そのもの)が表示される。しかも任意の箇所が指操作で大きく拡大できるため、実物名刺よりも見やすい(老眼族には打って付けのツールだ)。名刺を見るためにこそiPhone 3GSが存在していると言いたくなった(苦笑)。
名刺管理については、私はScanSnapを使ってきているが(http://www.ashida.info/blog/2009/05/scansnap_s1500adobe_acrobat_9_standard.html)、これも究極の名刺管理法ではない。
名刺情報は、作業中の机の上でというよりも、人と人との会話の中で必要になる場合も多いからだ。
そんなときに必ずしもパソコンが手元にあるとは限らない。名刺データは本来はいつでも手元に無ければならない。
そうなると携帯電話に収める以外は無くなる。
そこでiPhone 3GSでどこまでやれるか、今日一晩かけてやってみた。
私が使ったのは、EVERNOTE(http://www.appbank.net/2009/08/05/iphone-application/41595.php)というiPhoneアプリ。
EVERNOTEには熱狂的なファンがいる。やれることは以下のこと。
Webベース
様々な環境用のクライアント (Windows,Mac,iPhone/iPod Touch, Windows Mobile)
オフライン操作と同期処理
データ取り込み
Webページ
メール
スクリーンショット
カメラ
全文検索
ファイル添付(無料版は画像,音声,pdfのみ)
暗号化
EVERNOTEを一言で言えば、メディアを選ばないメモ管理アプリだ。もちろんパソコンとの親和性も高い。
※これがEVERNOTEの立ち上げ時画面。「Text」は通常のメモ書き。「Snapshot」は写真メモ(そのままカメラモードに入る)。「Camera roll」は撮った写真のデータベース。「Voice」は音声メモ。名刺を見る場合は、下のバーの左から二番目の「Notes」を開ける。PC上のメモ機能EVERNOTEの携帯「端末」でもある。
私はEVERNOTEをインストールはしていたが使いづらそうで、メモ管理としては、「メモ+(Notes+)」(http://www.appbank.net/2008/12/19/iphone-application/4714.php)を常用していた。
そのときには、EVERNOTEで名刺管理など考えも付かなかったし、そもそも携帯電話(iPhone 3GS)で名刺管理など思いつきもしなかった。
しかし、目の前に散逸するこの7月8月の夏休み中に出会った人たちの名刺を前にして思うのは、なんとかもう少し使いやすい名刺管理はないものか、ScanSnapではまだ堅苦しすぎるということだ。Scanしただけでほとんど使うことがない。パソコンなしで名刺情報が使いたい。
そこで「名刺管理、iPhone 3GS」で検索をしてみた。
そしたら、「究極の名刺管理サービス『アルテマブルー』が「iPhone 3G」に正式対応 ― iPhone 3Gが「名刺入れ」や「日報登録端末」に ― 」(http://www.news2u.net/releases/46154)という記事がトップで出てきた。イーシステム株式会社という会社の製品らしい(http://www.e-system.co.jp/news/news/2009/pr_20090319.html)。
しかしこれが月額2500円もかかる。やってられない。記事を読んでいても法人需要を前提している。
でも、この記事を読んで思ったことは、iPhoneは名刺管理にこそ使えそうだということ。そもそも名刺サイズとiPhone のモニタの大きさは近い。それにiPhone操作の特長であるピンチアウト(指操作による画面拡大)や ピンチイン(指操作による画面縮小)は、名刺閲覧にこそ適している。
iPhone 3GSならいつでもどこでも持ち歩いているのだから、名刺データを気楽に同伴できる。だんだんその気になってきた。
そこで検索記事をもう少し読み進むと「GRIFFINのClarifi」というiPhone カメラのマクロ撮影を可能にするツールとEVERNOTEを使った名刺管理記事に出会った(http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/clarifi-griffin.html)。
ここで初めて、そうかEVERNOTEって名刺管理に使えるのかと思い当たる。
マクロ機能をもたせる「Clarifi」に私はさして興味を持てなかった。名刺くらいならiPhone 3GSはマクロ機能なしでも充分記録できる。文字の拡大にも充分耐えられる。ただし手ぶれ補正などがないため、一枚一枚神経質になって撮るのは苦痛だ。何枚かやったが、やってられない。
名刺をデジタルデータ化するだけなら、マクロ機能と手ぶれ補正機能がある普通のデジカメを使った方がいいが、これはこれでデータの移動が邪魔くさい。
名刺管理の問題は、名刺整理が遅れてしまう、名刺が溜まってしまうという問題だ。その日にもらった名刺は必ずその日の内にデータ化するという自己ルールを貫徹すればいいのだが、そうはいかない。しかも時間が経てば経つほどデータを選別したくなってしまう。しかしデータは入力時点では選別してはいけない。得てして選別した(入力しなかった)データこそ必要になるときがある。
入力は無差別、出力で(=検索で)差別するというのがデータ整理の基本。
時間差に耐えるためには、やはり高性能なスキャナー+オートシートフィーダーが必要になる。その点ではScanSnapS1500(http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/s1500/)は最高のスキャナーだ。オートシートフィーダーも格段に優れているし(紙詰まりがほとんど無い)、データの補正(解像度、傾き、濃度、向きなどの)もすべて自動化されている。
そこでScanSnapを入力装置として使いながらEVERNOTEに読み込んでいくことにした。
ScanSnap→PC上のEVERNOTE→iPhone 3GS上のEVERNOTEという体制だ。もちろんPC上のEVERNOTEとiPhone 3GS上のEVERNOTEとは完全同期する。
またiPhone 3GS上のEVERNOTEからもその名刺データをメールに添付して自由に配信もできる。
最初EVERNOTEを使うのにどれほどのメリットがあるのか、他の記事を読んでいてももう一つイメージがわかなかったが、私が「これは使える」と思ったのは、タグが自由に使えるということだ。
EVERNOTEには、ScanSnapのようにOCR機能(文字読み取り機能)がない。会社名、氏名、役職、会社住所、電話番号、メールアドレスなどはすべてスキャンデータのまま使うことになる。
したがって、最低でも氏名くらいはファイル名として手動で入力しなければならない。しかし氏名だけでは利用できない。名前を忘れる場合も多いからだ。会社名からも検索できなくてはならない。
そうなると「氏名」をファイル名とする以外に、最低でも「会社名」くらいは検索データとして持つ必要がある。
EVERNOTEが優れているのは、氏名=ファイル名以外に、「タグ」機能があって、タグ数にもほとんど制限がない(いくつあるかわからないが、少なくとも私は一晩で40個以上作ったがまだまだ作れそうだ)。会社名タグだけではなく、業職種タグなどを作るのも検索しやすくなる。タグは一つの名刺データにいくつでも貼り付けることができる。もちろんタグは、50音順に自動配列されるし、タグ自体の階層化も任意に可能。
もちろん「ファイル名」は何も氏名だけにとどまらない。工夫すれば、色々な検索データを加えることができる。
たとえば、私の場合は、二つのルールを作ってみた。
1)その会社(あるいは学校、組織)の名刺が3つ以内の場合は、名前の後に会社名も打ち込んでファイル名の中で処理し、タグ化しない。タグが多いと却って使いにくくなるから。
2)タグは、メタ階層化しておく。たとえば、学校関係者の名刺の場合。一つの名刺に「大学」というタグと大学名(固有名)のタグを必ず二つ貼り付ける。時間が経てば、大学名さえ忘れるときがあるからだ。
大枠タグ(大学)、中枠タグ(大学名)、ファイル名(氏名+アルファ)の三層構造で大概の場合の検索には引っかかるだろう。タグ同士は階層化可能だが、あまり階層化にこだわる意味はない。あくまでも検索ワードをどう設定するかが重要。
OCR機能がないため、こういったタグ化の作業で使い勝手は決まってしまう。たぶん今考え込んでいる「タグ」の分類法はどこかで修正を余儀なくされるだろうが、その場合の修正もEVERNOTEは簡単にできる。便利だぁ。
この入力作業をしながら思ったことだが、名刺におけるOCR機能の意味についてだ。OCRは読み取り精度が必ずしも高くはない。ScanSnapでさえそうだ。結局いざというときの検索に引っかからない場合も多い(氏名さえも)。
その意味で言えば、名前を入力し、タグ化の網で検索機能を形成するのは、そう悪くはない。役職、電話番号、メールアドレス、会社住所などの細かいデータは名刺画像データで見ればいいのだから、無理してそれらを文字化する方が危険とも言える。
もちろん、入力作業は面倒だが、一晩に50枚、100枚くらいの名刺データ入力(名前+タグ付け)はできる。OCRの場合は、名前さえも読み間違っている場合があり、それを直す手間の方が最初から氏名を打ち込んでいる場合より時間がかかることもある。
そもそも「名刺」というものは、一つの絵であって文字ではあるまい。われわれは名刺を「読む」のではなくて、「見る」のだ。日本の名刺文化は表意文字文化。それを不確かなOCR化で一個一個の文字に分解することの方がはるかに不自然。
OCRで自動化しても、結局全てのデータに目を通さなければならないという点では、タグ付け作業はそれほど時間のかかることではない。それに名前入力+タグ付け作業は手間はかかるが、OCRよりははるかに正確。データとして使う気になる。OCRでたとえば「大学」という文字が一字でも読み取れていなかったらという不安があれば、検索機能は不全になる。検索する気になれない。
結局、基幹データはOCRの自動化ではほとんど役に立たないのだ。手間は同じようにかかると言うほかはない。
今晩一晩で私は164枚の名刺(7月+8月分)を入力したが、それほど苦痛でもなかった。それよりもiPhone 3GSでそれを常時携帯できるということの快感の方が先立っていた(苦笑)。どっちみち手間がかかるのであれば、常時携帯できる方を選ぶのは人の常。名刺活用の自然なあり方という点でも携帯化の方が適している。
164枚の名刺データで約48MB使っている。私は月間500MBまでで月5ドルの会員になっているが、この会員契約で充分だろう。
当面は、EVERNOTEを名刺管理専用で使おうと思っている。→「にほんブログ村」
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この機能はおどろきです。
ついに小生iPhone持つこと 妻も同意してふたりしてiPhone夫婦になりました。
妻も会社員で名刺管理は必要だったみたいです。
そうですか。やっと買う気になりましたか。しかも奥さまも同時に。我が家と一緒ですね。
「iPhone 3GS」が最初というのは、幸せ者です。世の中にはいまだに「iPhone 3G」で我慢している人がたくさんいるのですから(苦笑)。ここまで待った甲斐があるのかもしれません。
iPhone 3GSで名刺管理は楽しいですよ。何よりもいつでも見られるというのが楽しい。今日もせっせと100枚くらい追加しました。この分だと1ヶ月もあれば、ここ数年の主要な名刺は全部入力できます。
芦田さんの洗脳活動(笑)により、iPhone欲しい度はおかげさまで急上昇しているのですが、キャリアがSoftbankってだけでかき消されてしまうんですよね…。
はてブで見つけた↓のサイト。
http://d.hatena.ne.jp/tomo_p/20090904/1252085642
元職らしいですが、あまりのプロ意識の欠如っぷりに唖然とするばかりです。
芦田さんの「不意を突いた」中堅アテンダント( http://www.ashida.info/blog/2009/06/post_357.html )のように客の不備を補うどころか、「こっちも普通の人間なのよ」「よいサービスを受けるに値する客ですか?」とか、「人と人ですよね?」とか意味不明なことまで。
客が説明しきれていない部分を自分から埋めようと試みることなし。
「きちんと説明してよ、でなきゃサポートなんてできないでしょ?」という姿勢。
それをうまく引き出すのが仕事なんじゃ…?
この人に芦田さんの「コミュニケーション論」を読ませても理解できないでしょうね。
なるほど、この人が話題にしている『事件』(http://d.hatena.ne.jp/iwa/20090904/1252016930)のような、コミュニケーション断絶が起きてしまうわけです。
そもそも、iPhoneがiPhoneたる所以がわかっていない。
ライトユーザがiPhoneを持つわけがないでしょうに、この対応とは。
このやり取りを芦田さんが行うとサポートを論破してねじ伏せられるんでしょうけど(笑)、自分はストレス溜めて終わりそう。
もっとも、他社でも似たり寄ったりのところはあるでしょうけど、「安かろう悪かろう」のSoftbankだけは避けたいなぁ。
他キャリアからの発売解禁を待つしか…ありえないか(泣)。