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 閣内不一致の傾向と対策 ― どうやって鳩山内閣は自己崩壊していくのか(菅vs岡田+藤井、亀井vs原口論争の結末) 2009年09月19日

早速、閣内不一致が生じ始めた。予想したとおり、国家戦略局の菅担当大臣と岡田外務大臣、および藤井財務大臣との間で(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/302427/)。

また原口総務大臣vs亀井金融・郵政改革大臣との間でも起こっている(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000018-maiall-pol)。

前者は予算の決定権はどちらにあるのか? 後者は郵政改革プランの決定権はどちらにあるのか? で早速もめている。しかもどちらもマスコミにそれが漏れている。漏れているどころか、藤井大臣と亀井大臣は記者会見で自らの権限を強調している。

閣内で議論するのはいいが、閣外にその内容が漏れるのは最悪だ。こういった混乱は畑山内閣特有の問題ではなく、スタッフ組織とラインとの間には付きものの混乱。

国家戦略局と行政刷新会議は、総理大臣の「スタッフ」組織だから、組織上のラインとしては総理大臣からのラインとしてしか機能しない。

それを図示すると以下のようになる。

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※黄色いゾーンが頭脳ゾーン、緑のゾーンが執行ゾーン。建築でいえば、黄色いゾーンが「設計」ゾーン、緑のゾーンが「施工」ゾーンだ。この組織図は私の渾身の自作図(苦笑)


ラインでもない部局(国家戦略局、行政刷新会議)の連中に、大臣が直接指図される理由は組織論上はない。

この組織図で重要なことは、二点ある。

一つには、総理大臣(トップ)と二つの部局との間には、意見や見解の相違があってはならない。相違があったとしても三者の間の相違が外に漏れてはならない(上記の図の黄色いゾーンの中に議論は収まっていなければならない)。言い代えれば、黄色いゾーンの指示は、たとえ誰からであっても、「総理の指示」だということ。

二つ目には、拡大された総理指示体制(上記の図の黄色いゾーン)を今回の鳩山内閣が持つということは、各大臣は実行管理者(コンビニ店長、あるいは支店長)であって、それ以上の機能は持たないということ。つまり、各大臣は黄色いゾーンに向かって(対外的な)見解を持ってはいけないということ。

この二つである。

今回の組閣で懸念されるのは、各大臣が場合によっては菅担当大臣(国家戦略局)や仙石担当大臣(行政刷新会議)以上に「うるさい」連中がいるということだ。

「うるさい」連中は、すべて黄色いゾーンに取り込まないとまともな実行部隊は形成できない。

スタッフ拡大型の組織論は、大臣の権限を相対化するためのものであること、極端に言えば大臣を否定すること意味している。それを認識して大臣を「拝命」している者はいそうにない。

逆に言えば、スタッフ拡大型の組織を形成する場合には、大臣に「大物」を置いてはならない。

今回の副大臣クラス、たとえば、外務副大臣の福山哲郎、文部科学省の副大臣の鈴木寛、財務副大臣の野田佳彦などを「店長型」の大臣にさせて、「うるさい」連中は鳩山のそばに置かないと大臣もスタッフ部局も暴走し始めるに決まっている。

特に鳩山が小泉のようなリーダーシップがない場合には、余計に暴走が拡大する。

一番面倒なのは、官僚組織が誰の言うことも聞かなくなることだ。各大臣と首相部局との間の意見が分かれれば、結局誰の言うことにも従う必要がなくなるからだ。各所から指示が来る度に、「でも、そうは聞いていません」と言い始めるに決まっている。

つまり、対外的な(黄色いゾーンに対しての)見解を各大臣が持ってはいけないというのは、部下を動かすためにこそそうなのである。

そして、「でも、そうは聞いていません」の次には、官僚への人気取り合戦になる。上層部が自分たちで意見の調整ができなくなると、その上層部は下部(現場)の人気取りに走り始める。下部に好かれている(心理的に支持されている)上層部が「正しい」ということになる。

いつの世も、どんな組織も「アンケート」を取り始めたら終わりということだ。もはやその組織は終わっている。上層部が何をやらねばならないかがわからなくなっているということだからだ。

ここでは、「戦略」も何もなくなる。

結局、自分が何をやりたいのかがわからないトップがスタッフ組織を従えても、何もやれないのだ。自分の不備や不足を補うためのスタッフ組織は何も補えないばかりか混乱を助長するだけのこと。

スタッフ組織が機能するのは、トップが何をやりたいのかがはっきりしている場合だけ。大臣を手足のように使えるリーダーシップがない場合には、スタッフ組織の創設は混乱の元なのだ。

私は、菅担当大臣や仙石担当大臣を藤井財務大臣や岡田外務大臣から守る根性は、鳩山にはないと思う。そもそもそんなつもりで菅や仙石を撰んではいないだろう。せいぜい「みんなでよく話し合って」と言うに留まるに違いない。

そんなことしか鳩山が言えないのであれば、各大臣に個性と能力を発揮させて、大物型大臣配置による内閣機能に期待するしかなかったのだ。

「友愛」と「無私」の鳩山首相には、スタッフ型組閣は一番ふさわしくない組閣だったのかもしれない。

でも今さらそんなことを言ってもしようがない。鳩山さん、今回のような不規則発言に近い内容を口外する大臣は「厳重注意」か、「罷免」するくらいの根性がないと、内閣は全く機能しなくなりますよ。

こういったことを口外する大臣は、閣内の議論を面倒くさいと思っているわけです。はやばやと「人気取り」に移っているわけです。つまり鳩山さんのリーダーシップを全く認めていないのです。ここ(この最初)が正念場ですよ、鳩山さん。頑張って下さい。→「にほんブログ村」

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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