iPhone 3GSとDOCOMOの新鋭機とはどこが違うのか ― Googleアンドロイド機(HT-03A)・WindowsMobile機(T-01A)とiPhone 3GSとは何が違うのか? 2009年07月05日
DOCOMOのHT-03A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/ht03a/)、Android携帯と同じくDOCOMOのスマートフォン(WindowsMobile携帯)T-01A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/t01a/index.html)と、今回のiPhone 3GSとはどうなの? という質問を出先で受けた。
両者の共通の(対iPhone 3GSでの)弱点は、iTunesを持たないことだ。共通の弱点ばかりではなく、最大の弱点とも言える。
iPhone 3GS(+ iPhone 3G)の大きな意義は、二つある。
一つは、快適なフルサイトブラウジングを日常化したこと。ネット利用のユビキタス化だ。
二つ目には、iPodの携帯電話化ということ。より厳密に言えば、iTunesの携帯電話化ということだ。更に言えば、iTunesを携帯電話データ管理のプラットフォームにしたということだ。
現在、iTunesは、音楽、動画、ネットラジオ、書籍(オーディオブック)、PodCast(通信と放送との融合メディア)、 iPhone アプリ、およびMS-Outlookの連絡帳、スケジュール、メモ機能の同期機能など、つまり iPhone で利用するデータを統合的に管理している。
iPodは登場時、iTunesを前提にした商品ではなかった。MUSICMATCH Jukebox Plusとかいうアプリだったが、ひどいもので、それならまだ東芝のGIGABEATの方がマシだった(http://www.ashida.info/blog/2002/10/hamaenco_1_58.html)。
iPodが爆発的に広まったのは、その後iTunesに結びついてからのことだ。それほどにiTunesは画期的なアプリだった。何よりも20GB,40GB,80GB,100GBを超えて行く大容量時代の音楽プレイヤーのあり方を追求して、プレイリストが自由な連立方程式によって組めることが最大のメリットだった。
また多種多様なファイルの変換や圧縮率の自由な設定も初期の頃から突出した利便性を有していた。
SONYが負けたのは、iPodにではなくて、iTunesに負けたのである。今頃SONYはそのことを認め、iTunesが使えるWalkmanを出し始めた。Walkmanは完敗したのだ。
ベータvsVHS戦争においてソフトウエアで負けたという反省をしたくせに、それがハリウッド進出にまで飛躍し、足元のWalkmanにおけるソフトウエア開発を怠ったのだから、出井伸之もまた結局のところ(デジタル時代に於ける)ソフトウエアの重要性をわかってはいなかったと言える。
特にiTunesがPodcastサービス(http://www.apple.com/jp/itunes/whatson/podcasts/)をやり始めたときには、私は、もはやiPodは音楽プレイヤーではないと思い始めた。iPodは生涯学習の最も有益な端末となったのである。ストックデータに過ぎないNHKの放送大学がPodcast化されるのは時間の問題だろう。すでにNHKビジネス英語の講座は開放されつつある。
あらゆるラジオ放送がPodCast化されるのも時間の問題。フローデータとストックデータの区別がほとんどなくなるにちがいない。本当に〈リアル〉〈フロー〉データでなければならないデータは何か、ということだけが問題として残るだけのこと。
iPodを初期の頃から使い続けているユーザーで音楽中心の使い方をしている電車族は少ないのではないか。若いサラリーマンが真剣に聞いているとしたら、TOEICの練習コンテンツかも知れないし、「ドラッガーと考える21世紀の経営」かもしれない。またAM電波がまともに届かない地方の中学生や高校生は「爆笑問題カーボーイ」や「伊集院光 深夜の馬鹿力」や「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」などもPodcastを使ってラジオ波よりもはるかに明瞭な音声で(時間を選ばずに)聞いているに違いない。「深夜放送」というのは、もはや比喩にすぎない。
そういったことがiTunesで起こった。その資産をそのまま利用できるのが、 iPhoneという携帯電話。 iPhone はミュージックプレイヤーを超えて(ストックされた)ラジオでもある。
ホリエモンが思いつきで言った「放送と通信の融合」というのはすでにPodcastで起こっていた。
今後2、3年の間に起こることは、テレビコンテンツがPodcast化されることだ。「地デジ」なんてもはや古い。その意味では日本の携帯電話は、 iPhone =iTunesに2週遅れている。「タイマー録音」、「タイマー録画」という概念自体がもう古い。「検索」がそれに代わるのである。
iPhoneは色々なアプリが使えて便利というのは確かにそうだが(もはや、利用できるアプリ数は10年以上の歴史をもつWindowsCE+Mobileアプリを超えてしまった)、日常的にはPodcastクライアントなのである。
DOCOMOのHT-03A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/ht03a/)、T-01A(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/t01a/index.html)は、その意味で前世代の遺物である。
iPhoneのGoogleとの親和性は、HT-03Aを待つまでもないし、今さら出来の悪いWindowsMobile(T-01A)でフルサイトブラウジングする気は起こらないだろう。そもそもWindowsMobileアプリは解像度がまちまちのためほとんど使い物にならない。そして両機とも速度も電池の持ちもiPhone 3GSの比ではない。
それ以前に、二つとも未だにiTunesという怪物の存在を十二分に意識していない。iTunesを使うためだけにiPodや iPhoneを買っても充分に元が取れる。 iPhone は何よりもiTunes+携帯電話なのである。両機を、iPhoneと比べる人は、未だにiTunes(あるいはiPod)を使ったことがない人なのである。無料でダウンロードできるから(http://www.apple.com/jp/itunes/download/)、ぜひ今日からでも使って欲しい。iTunesは最適なiPhone入門である。→にほんブログ村
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確かにiTunesの威力をちゃんと理解してない人が多い気がしますね。
ゲーム機もそうですが、結局ソフトウェアがものを言うのであって、ハードはその秀逸なソフト縛りがあってついでに売れるものということでしょう。
記事中で一点気になったのは、iTunesの方がiPodよりも先に出ているはずですよ・・・Macでは。
当時、iTunesをインストールして「まぁ確かに面白いけど何に使うんだ!?」と思った記憶があります。その後、iPodが出てきて納得する訳ですが。
iPodがiTunesより先に出ていた、とは一言も書いていません。
「iPodが爆発的に広まったのは、その後iTunesに結びついてからのことだ」と書いただけです。
考えが既に古いです・・・。
クラウドが時代の先端と考えるとPCに依存する必要のあるiTunesが最大の弱点というか逆に時代遅れと見えますよ?
結局一長一短。
ただし、AndroidよりiPhoneの方がインタフェースに関しては、まだ少し上なのも事実ですね。
もーちょっと正確に状況を把握しましょう。
バカを言ってはいけません。私は携帯電話の歴史に即して話してるのですよ。
それに携帯電話はもはや通信の手段やPCの一バリエーションなのではなくて、身体性や自己同定性の根拠と化しつつあります。これはクラウドコンピューティング(実体なき一種の機能主義)にはない携帯電話の発展系です。
それをアップル社は、iPhone の「アクセシビリティ」という三流の言葉で表現しようとしていますが、この「アクセシビリティ」は「身体性」のことです。
この「身体性」の対極にあったのが、「キーボード」と「スタイラスペン」だったのです。たぶんGoogleはここがわかっていない。だからAndroid携帯にはボタンがたくさんある(苦笑)。
「クラウドコンピューティング」は、この思想に比べれば、はるかに後方の単なる機能主義です。
iTunesのPC依存性は、現状では不可避な依存性に過ぎない。携帯電話にとってはなおさらのことです。「一長一短」ではありません。
ぼくはashidaさんと同じ意見だな。
確かに一長一短だとも思うけど。
個人的にはiTunesを使ってPCと同期を取るより、クラウドと同期を取った方が便利だな。