コミュニケーション教育論超番外編(2)― 本当のコミュニケーションは私生活を知りたくなる(苦笑) 2009年06月11日
今日のコミュニケーション問題は、空港アテンダント。私の経験では、空港の地上アテンダントのレベルは、登場手続き前のカウンターアテンダントよりは搭乗カウンターのアテンダントの方がはるかにレベルが高い。
※この座席券が今日の話題の鍵を握っている。一生忘れない。
私は、いつも座席を「最後尾の通路側(中央列の場合)」か、「最後尾の窓側(隣の窓側)」にしている。
※ジャンボ機の場合、二席連座の窓側席+中列三席連座の中央列席+二席連座の窓側席の構成が基本構成。コンピュータの予約システムは、まず窓側席から予約を取り、次には中央列の通路側を取り、次には窓側席の通路側を取りというような感じで予約受付デフォルトが出来上がっている。その場合も後部座席は全般にロックされている。
その理由は、飛行機の座席は前部から埋まっていき、その結果、後部ゾーンは多くの場合空き席が多いからだ。人に囲まれないでゆっくり、ゆったり乗れる。大概の場合、全体座席の20%ぐらいが平均して空いているがそれらの20%は後部座席に集中している。
しかし厄介なのは、これらの最後尾席は、コンピュータ予約では予約できない。JTBのような旅行代理店の窓口でも予約できない。コンピュータ予約では、後部は最初から団体客や不意の複数予約に対応するために直前までロックされている。移動のための乗務員用の席としても使うためロックされている。その上、他人に顔を見られたくない人たち(売れない芸能人か暴力団を含む犯罪者系の人など)の搭乗のための席としてもロックされている。だから、コンピュータ上は後部座席ほどいつも満席扱いになっている。実際はがらがらなのに。
したがって私はいつも空港で「座席変更」の手続を取ることにしている。ところが、空港内でも自動登場手続き端末では、後部座席のほとんどは(搭乗直前であっても)なおロックされている。だから私はずらりと並ぶ空港内の端末でも「座席変更」手続は取らない。
後部座席を確保するためには、空港内の受け付けカウンターまで行かないとダメ。ここで最初の地上アテンダントとの出会いがある。しかし、ここでも後部座席はロックされている場合がある。この間なんかは、「お客様、どうしても、近隣の席に座られたくない別のお客様がお座りになっていてお席を取ることができません」「どんな客だよ、それ(苦笑)」「申し訳ありません」ということになって、結局、JTBで予約していた中列あたりの窓側を覚悟せざるを得なかった。
しかし、それでもあきらめてはいけない。これはまだ序の口。自由度が効くのは、搭乗カウンターのアテンダント。危険物チェックゲートを入って、飛行機に乗り込む直前の受け付けカウンターだ。このカウンターは、本当の座席状態をすべて開示してくれる。
ここで、私は先ほどの予約変更のやりとりがなかったことにして「座席変更したいんだけど?」と必ず聞くことにしている。
「最後尾の窓側空いてる?」
「今日は、どうしても隣席を拒まれるお客様が搭乗されておりますが、反対側の窓側でもよろしければお取りできますが」
「さっき、受付でその件でダメだといわれたのよ(苦笑)」
「そうでございますか、お客様、ふつつかな対応をしたかと思いますが、お許し下さい。事情をご理解いただければ、反対側の最後部座席をお取りいたしますが」
「いいよ。それで」。
「わかりました。ただいま座席変更させていただきます」
とこんな具合に、最後の搭乗ゲートにいるアテンダントは、かなり裁量権がある大物アテンダントが控えている。対応もなかなかなものだ。
話題が直接にはそれるが、この日は、その後部座席の窓側を8座席埋めていた集団は誰だったと思いますか。「近隣の席に座られたくない別のお客様」「どうしても隣席を拒まれるお客様」って誰だったと思いますか。私は後部に進むにつれて、楽しみにしていたのだが、近づくにつれ、その風貌がわかり始めると背筋が寒くなった(苦笑)。ヤクザ屋さん集団だったのだ。何と緊張した一時間をすごしたことか。
本題に戻ろう。つまりそれくらいに飛行機の座席予約には裁量権の階級がある。早めに予約すればどの席でも予約できるというものでもないのだ、飛行機の場合は。直前まであきらめてはいけない。
今日も同じように、「最後尾の窓側」を登場手続き前の受け付けカウンターで予約したら、「満席でお取りできません」と返答が来た。「じゃあ最後尾中央列の通路側はどう?」 「ございますが」「三席とも空いてる?」「一席通路側が埋まっています」「じゃあ、ダメだな」「三席とも空いている中央列はない?」「中央に近いところにありますが」「それじゃいやだな。予約通りでいいです」「申し訳ございません」となった。
ちなみに、また本題からそれるが、三席とも空いていない中央席は、一方の通路側の人が隣の席(真ん中の席)に荷物や上着を置く場合が多く、嫌な感じになる。それなら最後部でなくてもどこかの窓側の方がいい。窓側席の隣席はほとんど予約がロックされており空席になっているからだ(超満員にならないかぎり、コンピュータの予約は優先順位が一番低く設定されている)。満員であっても後部の窓側の隣席はロックされている。
この間、最後部の窓側に座っていたら、移動のためのキャビンアテンダントの一人が私の隣に座ってきた。移動のためのキャビンアテンダント用の席の確保というのも最後部が開放されていない理由の一つ。わがまま放題で無理矢理に取るとこうやってキャビンアテンダントを隣席にして空の旅を楽しむことができる(苦笑)。
さて再び本題の戻ろう。そこで私は、この初心者アテンダントのいる受け付けカウンターでの交渉は早々とあきらめて、搭乗手続を済ませ、搭乗ゲートのアテンダントとの交渉に移った。
「最後尾の窓側空いていますか?」
「お待ち下さい、今お調べいたします」
「お客様、あいにく今日は空いておりません」
「最後部中央席の通路側はありますか。三席とも空いてる?」
「一席通路側の予約がございます」
「三列とも空いている中央席はない?」
「最後部から10列ほど前ならございますが?」
「うーん、10列前か、それならいいや。このままの席でいいです(私の「このままの席」は最後部の中央列通路側)」とあきらめかけたときに、そばで見ていた中堅のアテンダントが即座に(対応したアテンダントと一緒にコンピュータ画面を見ていた)、こう対応した。
「お客様、前の方7列目ですが、窓側のお席が一席空いておりますが」と。
私は不意を突かれたようにその提案を受けた。
「あっ、そう。じゃあ、それでいいや」。
「7A席になります。ありがとうございます」。
いやー、この対応には参った。
このアテンダントは、「最後尾の窓側」「三席とも空いている中央列席」という連立方程式の解をたまたま空いていた7A席に見出したのだ。
最初の対応者は、ただ私の口外している席が空いているかどうかだけをコンピュータ画面を見ながら探している。そして「空いていない」と対応する。「申し訳ございません」で終わる。これは対応初級だ。
「最後尾の窓側」「三席とも空いている中央列席」という段階で、このお客様は、隣の席を完全に確保したいのだ、という席指定の趣旨を理解していないのだ。初級アテンダントは、言われた席があるかないかだけを探しているに過ぎない。そんなことならコンピュータでもできる。
しかし、その座席要求の趣旨に、瞬時に反応したのがこの中堅アテンダント。私が「窓側席でどこか空いている席はないの?」という三番目の条件を口にできなかった不備をこの中堅アテンダントが見事に補ったわけだ。
まさに私は私の間抜けさに不意を突かれた感じだった。私は最後部ということにこだわりすぎていたのだ(それにこれだけ席が詰まっていれば窓側席に空席があるなんて思わないだろう)。見事な対応だった。
しかも後輩がコンピュータを操作しながら対応しているのだから、特に私ごときの予約変更に関心を持つ必要はないはず。忙しい離陸予定時間15分前の出来事なのだから。にもかかわらず、自分が変更を頼まれたのを同じ緊張感で対応している、そうでないと7Aの席を用意することがこのお客様の要望の最善の解になるという結論を瞬時に出すことはできない。
私はあまりにも予想外の回答に、自分の頭の固さが気になって、そして恥ずかしくてそのアテンダントの顔と名前さえ確認せずに、その場を離れた。声の様子からして「中堅アテンダント」としか言いようがない。失礼なことだ。
その後搭乗案内がそのゲートで始まったが、私はすぐには搭乗せず、最後の方になってすごすごと伏し目がちに通過した。時間を置かないと恥ずかしかったからだ。
しかし、あのアテンダントは誰だったのだろう。後から考えれば当たり前のことかもしれないが、その集中感と趣旨理解、趣旨対応のスピードは大したものだった。
こういう対応は「アタマがいい」「経験を積んでいる」だけの問題ではないだろう。こういうさわやかな対応をされると「アタマがいい」「経験を積んでいる」だけの問題ではないため、このアテンダントの私生活と人生が気になってしまう(苦笑)。「コミュニケーション」って恥ずかしいものなんですよ、きっと。
※“彼女”が取ってくれた記念の「7A」席。一生忘れないぞ。
(Version 2.0)
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「人生を一変させる」( http://www.ashida.info/blog/2003/12/hamaenco_3_151.html )ような対応ですね。