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 iPhone 3GSはインターネットを愛する人のためのもの ― 先月iPhone 3Gを買った人も「3GS」に買い換えた方がいい(いくらお金がかかっても、ネットパソコンを買うよりははるかにまし) 2009年06月29日

iPhone 3GSの思想は、一にも二にもインターネット、インターネットである。インターネットが使えない「携帯電話」なんて意味がない。コミュニケーションツールの主要な鍵は、「電話」ではなくて、「メール」になっているからである。私の場合、40%がフルサイト利用、40%以上がメール処理(Gmail同期)、15%以上がカレンダー(Google Calendar同期)も含めたiPhoneアプリ活用、5%以下が電話である。

日本の携帯文化は、1999年i-modeによって独得の発展を遂げた。たしかDOCOMOのFタイプ(富士通製)だったと思うが、オレンジ色の液晶表示でFタイプの割にはデザインも良かった(たぶん歴代のFタイプの中でも最も優れていると思う)。電池の持ちを気にしてモニタは小さかったが。

i-modeが歴史的にも優れていたのは、インターネットの歴史始まって以来はじめて、特に技術的な設定なしでインターネットを利用できたという点である。私も当時「おっ」と声を上げたくらいだ。当時は電話番号がそのままアドレスになっていた。この手軽さが、日本のネット利用の大衆化をもたらしたが、しかしこの手軽さによって「携帯サイト」と「フルサイト」の分離が起こってしまった。

パソコンのネット利用はしないが、携帯ではネット利用しているというもの。最近は会社はもちろん自宅でもネットに繋がったPCはあるが、個人的に使うのは携帯サイトと携帯メールばかりという妙なねじれ現象が起こっていた。ベッドに入ってもネット利用したいという日本携帯族の日常がますます「携帯サイト」と「フルサイト」の二重利用を加速していたのである。

松永真理らのi-modeによるネット利用の画期的な拡大が、携帯のフルサイト利用の技術発展をむしろ阻害したのだ。今となってはそう言える。

2004年に始まったGmail、2006年に始まったGoogle Calendarが、今日のiPhone 3Gの生誕地と私は考える。

このGoogleの二つのサービスは、WEBサイト上に個人情報を管理する提案だったのである。ほぼ同時に始まるのが「ブログ」だが、これもまたWEBサイトを公共的、組織的なもののみならず、個人的な情報の情報受発信基地として利用するものだった。

これらは、WEBサイトの個人利用として共通した新しい提案だったのである。しかしi-modeから始まった日本の携帯文化は既に独自の世界を作り出し、これらの動きと無縁だった。携帯サイトが充実すればするほど、「フルサイト」のネット利用からユーザー達を遠ざけていくことになったのある。

理由の一つは、携帯電話ではモニタの大きさ、通信速度、電池の持ち、ブラウザの技術などの問題があって、2000年代の今日に至るほとんどの期間にわたって携帯のフルサイト活用は不可能という認識が広がっていたからである。WindowsCE→WindowsMobileの携帯版も、処理速度、電池の持ち、ブラウザの出来の悪さ、さらにはカーソルキー+スタイラスペン操作の煩わしさによってその認識を裏打ちするものでしかなかった。未だにそうである。

1993年に始まる電子手帳の雄『ザウルスPI-3000』もSL-C3200(2006年3月発売)で終焉を迎えるが、こういったフルサイト活用と携帯サイト活用の二極化の中で股割きにあったと言える。

しかし、Gmail(Google)、Google Calendar、ブログなどによるWEB(WEBアプリ)の個人利用は、最も個人的と言える(場合によっては身体的とさえ言える)携帯電話利用に影響を与えないはずがなかった(※この問題についてはこちら→http://www.ashida.info/blog/2008/09/iphone_3g_google_gmailgooglemobileme.html)。

Gmail(Google)、Google Calendar、ブログなどを携帯電話で利用できれば、これに勝る「便利さ」はない。

「フルサイト」ブラウジングには、先にも触れたように、ザウルス、PALM、WindowsMobile、携帯電話共通の5つの問題があった。

1)処理速度の問題
2)電池の持ちの問題
3)解像度+画面の大きさの問題
4)操作の問題(カーソルキー+スタイラスペン操作)の問題
5)ブラウザの問題

この五つ。このうちの3)~5)は、iPhone 3Gが解決し、1)~5)をiPhone 3GSが解決した(※あと一つ、キーボードの問題があるが、それはまた別の記事に譲りたい)。

通常のフルサイトを3.5インチ(480×320)で存分に利用できるのかという不安は、指を使った直感的な「マルチタッチ」オペレーション(「ピンチアウト(=ピンチオープン)」「ピンチイン(ピンチクローズ)」「ドラッグ」「フリック」が一気に解決してくれた(http://www.ashida.info/blog/2008/09/iphone_1_google_iphone.html)。これはWindows7にも搭載されるらしい(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0903/26/news029.html)。

従来の携帯電話を含めたPDA機器で、文字を大きくしたり、画面をズームアップしたり,ズームダウンするには、いちいち文字画面に入り、大・中・小などという項目をカーソルか、スタイラスペンを使いながら設定、画面全体の大、小変化も同じような操作をしていた。しかも一回では決まらない。大きくしすぎたり、小さくしすぎたりの、やりながらのやり直しも多く、面倒くささが先立って、小さい画面ではフルサイトは無理という印象が強かった。「大・中・小」という分節化は一義的なものではなく、コンテンツによって「大・中・小」の意味は変わる。それを一律の設定しかできない状態で管理するのは難しい。

どんな画面、どんなコンテンツでも指二本で自由に画面や文字の大きさを変えることのできる「マルチタッチ」オペレーションは解像度、カーソル+スタイラスペンを意識することなく快適なブラウジングを実現した。なぜ日本のエンジニア(特にザウルスの開発者たち)はこの「マルチタッチ」を思いつかなかったのか。不思議に思うくらいだ。

5)のブラウザの問題も大きい。iPhone 3G、iPhone 3GSに搭載されているSafariは、極端に言えば、IEほどではないがGoogle Chromeなみにはフルサイトを読むことができる。1年近く使ってきて、このSafariで読めないサイトに少なくとも私自身は一度も会ったことがない(私の使うサイトがpoorなものが多いのかも知れないが)。

そして1)処理速度と2)電池の持ちとの最大の問題は、今回のiPhone 3GSが解決した。技術的にはキャッシュの処理が効いているらしい。

私が前回の記事で紹介した処理速度の圧倒的なスピード(http://www.ashida.info/blog/2009/06/iphone_3gs.html#more)は以下のような技術上の革新が効いているらしい。10万個のオブジェクトを生成する時間でスコアを出すベンチマークテストでもiPhone 3GSは iPhone 3G(3.0)のほぼ5倍の成績を出している。以下がiPhone 3GSの、対 iPhone 3G スペック。

プロセッサーコア:S5L8900(iPhone 3G)→S5PC100(iPhone 3GS)
駆動クロック:412 Mhz→600 Mhz
パイプライン段数:8→13
CPU:412MHz→600MHz
キャッシュ帯域:32bit→64bit
L1命令キャッシュサイズ:16KB→32KB
L1データキャッシュサイズ:16KB→32KB
メモリ:128KB→256KB
製造プロセス:90 nm→65 nm


2)の電池の持ちも、先の記事で明らかにしたように(http://www.ashida.info/blog/2009/06/_iphone_3gs_iphone_3gs.html#more)、以下のように大きく改善している。

Wi-Fiインターネット 約6時間(iPhone 3G)→約9時間(iPhone 3GS)
動画連続再生 約7時間 → 約10時間
音楽連続再生 約24時間 → 約30時間
GSM連続通話 約10時間 → 約12時間
3G連続通話 約5時間 → 約5時間

通話時間以外は大きく改善している(通話時間は日本製の携帯電話の平均3時間強を最初から多きく引き離している)。特に重要なフルサイトブラウジングの電池の持ちは50%も改善している。WindowsMobile機なら同じ速度で1時間も持つまい。

私の実感では(実感でも)ブラウジングが一番電池を使うような気がするから、このブラウジング時間の50%UPは大きい。まだ丸1日外出して使っているわけではないから正確なことは言えないが。

また処理速度の向上に反しても電池の持ちが良くなっているというのは技術的にどういうことなのか、まだ残念ながら私には正確な情報がない。私の知る限りでは、液晶ディスプレイ周りの改善(バックライトの見直しなど)などに言及している記事があったが(たしかに液晶周りは変化している)、どこまで本当なのかわからない。

いずれにせよ、ネットブラウジングのために「ネットパソコン」を買うのなら、iPhone 3GSを買った方がはるかにユビキタスだ。便利で快適に決まっている。iPhone 3Gを先月買った人も、「3GS」に変えた方がいいと私は確信を持って言いたい(いくらお金がかかっても)。

(今日はここまで)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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