いよいよ、明日市ヶ谷「私学会館」で日本のIT人材教育は大きく変わる ― やっと「基本情報」の病から抜け出すときが来ました。 2009年02月19日
いよいよ明日(もう今日ですが)は、予告しました(http://www.ashida.info/blog/2009/02/4_it4.html#more)、IT人材4年制カリキュラムの発表会です。
たぶん少なくとも日本では初めての本格的な人材教育4年制カリキュラムの発表会になります。経産省系の基本情報やITSS、J07的な「あれもこれも」の情報教養主義的な情報カリキュラムではなく、具体的な人材目標に即した3000時間を優に超えるカリキュラムは、これが「本邦初」です。
明日は全4年間、90分単位のシラバス=コマシラバスを用意してお待ちしています。インターンシップやPBLで時間稼ぎをしたようなふやけた内容は一切ありません。ぜひご参加下さい。ただしすでに昨日の段階では満杯です(こんな堅い話題にしてはよくお集まりいただきました)。椅子だけの席でよければまだ入れると思います。「芦田に言われた」と言ってもらえれば、何とかなると思います(苦笑)。申し込みの電話をかけるより、直接現地へ来るのが一番です。市ヶ谷駅徒歩3分です。もちろんこれだけの発表でも参加無料です(苦笑)。
以下は、現在における明日の発表案です(ワーキンググループの担当者の発表原案です)。まだ30%くらいは変わります。たぶん徹夜です(笑)。
●ソフトウェア開発における技術動向
1)ソフトウェア開発の現状
2)有効性の高い技術の条件
3)オブジェクト指向開発の効果(分析・設計・実装)
4)オブジェクト指向技術のニーズ
●オブジェクト指向技術とWEBプログラミング技術の関係
1)オブジェクト指向技術は方法論(専門学校で「オブジェクト指向学科」は成立しない)
2)WEBプログラミング技術は実環境に関する技術
●IT人材のニーズ動向
1)IT人材の割合(組み込みか企業ソリューションか(IPA))
2)WEBプログラミング技術のニーズ
WEB開発系言語の求人状況(ワーク)
組み込み系開発言語の求人状況(ワーク)
3)求められるIT人材の職種と人材
ITアーキテクト・プロジェクトマネージャ
アプリケーションスペシャリスト
ITスペシャリストが求められている (IPA)
ITアーキテクト・アプリケーションスペシャリスト・ITスペシャリスト(IPA)
プロジェクトマネジメント
●技術動向と人材ニーズ動向のまとめ
●専門学校におけるオブジェクト指向技術・WEBプログラミング技術教育の動向
1)分析・設計・実装に関する教育比率(プログラマー・SE・ITアーキテクト)
2)「基本情報処理」の影響(経営系問題の比率が30%もあることの問題)
●大学におけるオブジェクト指向技術・WEBプログラミング技術教育の動向
1)実装に関する教育
2)設計・分析に関する教育
3)WEBプログラミング技術に関する教育
●就職後の企業内教育の現状
1)企業内教育の実態(量)平均日数
2)企業内教育の実態(質)満足度
3)オブジェクト指向技術の研修の例
4)WEBプログラミング技術の研修の例
5)大企業では、「育成の費用対効果の明確化」が課題となっている。
中小企業では、「育成の費用そのもの」や「指導人材の不足」が課題とされている。
6)研修サービス企業のIT人材教育における問題点
●IT人材の技術レベルと教育効果
1)教育効果はあまり見られない(日経)
2)経営側の満足度は低い
●日本のITエンジニアを支えるもの
1)IPAX2008における「貪欲に学ぶ気持ちを持っていて、環境適応力が高い人」発言
2)「基本情報処理」の効果-合格率と教育コストのバランス(わずか0.3レベル(ITSS標準におけるレベル差)
3)実践で実力が磨かれるという現状の問題 ― 「情報/工学系の大学でITエンジニア教育に携わっている人々には、不本意な結果かもしれない。」
●カリキュラム形成-脱「基本情報処理」
1)「基本情報処理」の総花的傾向に合わせた場合の教育効果の問題
企業が求める「基本情報処理」
試験勉強主義(技術力向上効果は0.3)
学習意欲の持続("基本"を勉強し続ける→実質がない)
専門学校生が勉強する動機は"自分で作ったものが動くこと"
2)「基本情報処理」の出題傾向よりも、技術動向に従う(技術に対するポリシー)
新「基本情報処理」試験は「マネジメント系」・「ストラテジ系」の問題比率が30%に増大
技術動向から主体的にオブジェクト指向技術やWEBプログラミング技術を選択
●カリキュラムの全体像1
1)2年制カリキュラムの限界(分析段階を扱いきれない)
2)分析・設計・実装-従来の専門学校カリキュラムとの違い
3)実装と実装パターン-両カリキュラムとの違い
4)4年制カリキュラムによる到達点
ITアーキテクトに至る
プログラマーからITアーキテクトへ
プロジェクトマネジメントは?
●カリキュラムの全体像2
1)IT基礎知識の比率を最小限に
2)分析・設計・実装でほぼ50%
3)目的と方法論の融合-大学カリキュラムとの違い
4)資格試験対策の位置づけ
●カリキュラムの開発の思想
1)実装→設計→分析
2)反復型の進行
3)横方向の連携、縦方向の連携
●カリキュラム開発のノウハウ ― コマシラバスの意味
1)コマシラバスは授業内容に関する指示(学生サービスでも教材でもない)
2)コマシラバスは教員に対する指示
3)コマシラバスは授業目標の定義(到達点があって初めて授業評価が可能)
※このカリキュラム開発の基本的な原点はこちら→http://www.ashida.info/blog/2009/02/4.html#more
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お疲れ様です。
いかがでしたか?
しかし、凄いエネルギーですね。
感心します。
しかし、今までの専門学校4年生課程のシラバスはどこもダメですね。
(今までの学校は)時間を消化するためにインターンシップをやっている。
私が勤務していた建築学科3年コースもそうでした。
ある意味、私たちは無能ですからというのを公言しているのと同じです。
大半の専門学校の教員は無能とは言いませんが、教員としての能力と資質に欠けています。
それが専門学校で3年間、管理職をした感想です。
よくこのレベルで教壇に立っているの?と素直に感じました。
思い切り入替をしました。かなりの反感を買いましたが、たしか、26人中15人を入れ替えたと記憶しています。
しかし、疲れました。
今は、元の業界に戻っていますが、もう専門学校の世界には戻らないと思います。
4月からある大学の特任准教授に着任します。
週に2~3日の勤務になります。(今の会社はそのまま在籍)そこで専門学校で抱いていた疑問を
解きたいと思います。
任期は5年間ですので
その間に
専門学校の限界を解きます。
多分、偏差値45と偏差値65の違いが
明確になると思います。
現存の専門学校で現在抱えている問題を打破できるのはたぶん5%くらいと思います。
のこり95%の学校は潰れるか、吸収されるか、職業訓練校としてジリ貧のまま息をしている状態だと思います。
患者で言えば、ICUにいるようなものです。明日、どうなるか分かりませんよ。
それと日本のトップグループにいる企業は総合職として専門学校の学生は採用しませんよ。
なぜなら原理の習得と応用の発見に欠けているからです。
それは小学4年生から高校2年生までに訓練によって習得できます。
それが企業の人事部は分かっているから幹部候補の総合職では採用しません。
採用してもエリア総合職がいいとこです。
その証拠に専門学校の管理職以上の方の子供は大学に進学しています。
私が勤務していた専門学校には30名の管理職がいました。
その中で既婚者は24名、子供が大学生以上は17名。
全員が子供は4年生大学に入れていました。
なぜか? 社会の実情を知っているからです。
今の会社で管理職になっていますので、人事担当の役員とも話をしますが、専門学校の社会しか知らない人間と企業の常識はかなり開きがあります。
その溝が埋まらない限りエントリーシートに
専門学校の欄は出来ません。
たしかに偏差値40前後のしょうもない大学を卒業するよりはきちんと教育できる専門学校の方が
格段に良いのは分かりますが、偏差値58以上の大学には絶対に負けますね。
受験勉強をきちんと克服した学生との差です。
この現状はどうしようもないと思います。
いくら専門学校から上場企業に内定できたとしてもそれは現実は幹部候補の総合職ではないのです。
実態は、専門学校は掴んでいません。15年後のその学生のポストを確認すれば分かります。
長々とすいませんでした。
>masaさん
お疲れですか。少し議論が乱暴です。
私は昨年の7月に学校を辞めてからますます専門学校が面白くなってきています。辞めた学校も「疲れた」から辞めたわけではありません。私はますます元気です。
masaさんの大学人材論は、古い(苦笑)。それは日本が最盛期、世界のGDPの20%を占めていた時代の人材論です。今では10%を切っているのですよ。masaさんの時代の人材論が日本の国力(=人材力)を落としているのです(苦笑)。
今日の人材育成や人材育成カリキュラムは、基礎力-応用力といった単純な図式では割り切れないものがあります。もちろん「コミュニケーション」能力でもなければ、「問題発見・解決能力」でもありません。「社会力」でも「人間力」でもありません。
「基礎」とは何かを誰もまともに考えていないのです。それは文部科学省も経産省も厚労省もそうです。学校は大学も含めてもっと考えていません。
我々の作ったカリキュラムはそのことへの一つの解答です。大学+文部科学省+経産省+国交省が、ここ10年逆立ちしても作れないものを作りました。
私と部下の芦澤は、このカリキュラム開発のために学校を辞めたようなものです。学校の仕事をやっていては、この仕事は出来ませんでした。3000時間以上のシラバスと90分単位のコマシラバスを全て書き下ろすことなど出来るはずないではないですか(苦笑)。
専門学校の管理職が自分の子どもを専門学校に入れないというのも、乱暴な議論です(少なくとも私にとって)。
「国語、算数、理科、社会、英語」という単調な勉強スタイルが好きな連中はわざわざ専門学校に行かせる理由はないではないですか。勝負は大学と専門学校の出口勝負です。それは偏差値とは関係ありません。
以上。本日中に昨日の発表会の感想と資料をUPします。
なぜ、専門学校に勤務している関係者は子供を大学に進学させるのでしょうか?
それは、その「関係者」に聞いてください。私の場合は、書いたとおりです。