カナダモントリオールで世界初の「世界MS会議」開催される ― 日本からは慶應大学:中原仁が講演(TIP30分子とは?) ※講演の様子の写真3枚付き 2008年09月21日
世界ではじめて「世界MS会議」がカナダのモントリオールで9月17日に開催されました。5200人近い世界の臨床医、研究医、基礎医学研究者などがあつまり、医学的なアプローチのみならず心理・社会面も含めた多方面からの研究発表が行われた模様です。
※世界最大のMS患者団体(NMSS)のニュースにその抄録がありました→http://www.nationalmssociety.org/news/news-detail/index.aspx?nid=391
日本のMS研究者も多数参加していたとのこと。
日本からは、あのFcRgの発見(2000年)で知られる慶應大学の若手研究者:中原仁が講演しています。
ミエリン再生の鍵をFcRgに見出した彼の業績は当時「神経繊維膜の仕組み解明 ― 慶大医師ら世界で初めて難治治療に道を開く」と読売新聞の夕刊トップで紹介されていました(2003年6月3日)。
その新聞には、ミエリン再生の鍵を握る世界的発見として以下のように書かれていた。
「これまで、ミエリンができる過程には、脳に固有の物質が働いていると考えられ、その物質の特定が注目されていた。ところが、中原医師と東京都老人総合研究所のグループは、マウスを用いた実験によって、ミエリン形成の引き金となっているのは、脳固有の物質ではなく、白血球などの免疫細胞が共通に持っている受容体(免疫グロブリンFc受容体)であることを突き止めた。この受容体は神経幹細胞がミエリンを作る細胞(オリゴデンドロサイト)へと分化する過程で働いている。今後の研究で、この引き金となる受容体を有効に働かせることができれば、残された細胞からミエリンを再生する治療法につながる可能性がある」
つまりその受容体FcRgを刺激する薬剤を病変のみに集中させる分子システムの解明(=ミエリン再生医薬プロトタイプの合成)が中原たちの2000年初頭からの活動である。私の間接的な伝聞では、中原がFcRgを発見したのは、彼が慶大医学部学生4年の時。天才的な発見だった。
日本にもこういった世界的な研究の水準を担っている若手研究者がいる、ということに期待したいと思う。
今回の「世界MS会議」の講演は、ミエリン修復を阻害するプロセスの研究のようで、TIP30という分子がそれに関わっているという報告のようです(詳しくはわかりませんが、先の短い英文ではそんなことが書いてあります)。
ぜひ中原に、FcRg発見以後、今回のTIP30の発見に至る経緯を聞いてみたいものです。「ミエリン再生医薬プロトタイプの合成」は今どのようになっているのでしょうか。取材してこようかな。慶應大学(慶應病院)は、私の家から20分くらいのところ、いつも家内が再発したときにその前を通って家内の病院に行きますから(笑)。私の家内を彼の実験に差し出したいくらい。対処療法ばかりで先の見えない治療(悪化の度合いの選択のような治療)よりはミエリン再生治療に一気に移りたいところです。
以下、私の知人がその世界MS会議で中原の講演の模様を撮った写真です。2000平米にもなる大きな会場だったようです。熱気が伝わります。
(Version 1.0)
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MSに関する学術的なニュースは、治験も含めて、再発防止に関するものばかり。
現状維持がベストとは、全く夢の無い話です。
しかも、再発防止薬も効果の確実性が低く、副作用や危険性高い。あまり使いたくないけど、それしかないから仕方なく使っています。
私もミエリン再生医療に関する治験でも始まればすぐにでも参加したいと思います。
中原先生、願わくば、我々患者が、命あるうちに、ミエリン再生の技術を確立してください。
一患者より。