家内の症状報告(124) ― 2週間後の世界MS会議の講演内容抄録(D. Wingerchuk (Mayo Clinic Scottsdale 神経内科)) 2008年09月01日
例の「パパ」さんより、私の記事に書き込みがありました。ご紹介します。2週間後に開催される世界MS会議での最新講演内容です。
以下がその全文。
御参考までに、2週間後の世界MS会議で、NMO-IgG(抗AQP4抗体)を同定した本家本元のMayo Clinicの先生が招待演者として話す内容の要旨を翻訳(一部意訳)してみました。
D. Wingerchuk (Mayo Clinic Scottsdale 神経内科)
視神経脊髄炎(NMO)の診断には、視神経炎及び急性脊髄炎の発症が必要である。
MRIで長軸方向に長大な横断性脊髄炎(LETM)があること、発症時の脳MRI上で白質が正常または非特異的な病像を呈していること、及びNMO-IgGが陽性であること、の所見はNMOの診断を支持する。
NMO- IgG(抗AQP4抗体)の発見によりNMO関連疾患として再発性LETM、NMO-IgG陽性LETM、再発性視神経炎、アジア型OSMS等の疾患が含まれるに至った。
関連する臨床上、検査上、或いは免疫病理学上の証拠は、NMOの病態生理に液性免疫機構が関与していることを強く示唆している。
NMO関連疾患は多くの場合再発性の経過を辿る。MSと異なり二次慢性進行型は稀であるから、NMOにおける障害のほとんどは再発に起因している。
従って、個々の再発に対する積極的な治療並びに予防が、現時点で推奨される治療の基礎となる。
急性の再発には、すぐにステロイド静注療法を行うことが標準的治療であり、重症例・持続進行例・ステロイド抵抗性事例などでは、血漿交換が適応される。
シクロフォスファミド等の一般的な免疫抑制剤を補助的に使う意義については現在検討中である。現時点で理解されているNMOの病態生理や、MSで標準的とされている疾患修飾薬剤がNMOに対して無効であるばかりか増悪を来たしうるという知見に基づけば、再発予防には免疫抑制療法が推奨される。
症例報告や少数報告では、アザチオプリン・ミコフェノール酸モフェチル・ミトキサントロン・シクロフォスファミド・メソトレキセート・IVIg・リツキシマブ等の有効性が指摘されている。
NMOと確定した患者は長期間の治療を必要とする。 NMO-IgGが陽性で、初めてのLETMを経験した患者は、再発やNMOになるリスクが高いことから、再発予防の治療をするべきである。現時点での治療根拠は観察研究に留まっており、至適な治療薬や治療法の決定には、ランダム化対照治験が必要である。
追記:文中にある「MSで標準的とされている疾患修飾薬剤」は、インターフェロンβのことであろうと思われます、念のため。
(Version 1.0)
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