「地デジ」全面化、今日から3年後を迎えて 2008年07月24日
地上デジタル放送全面化が後3年後となった。今日もその啓発イベントが行われたらしい(http://mainichi.jp/select/biz/news/20080724k0000e020028000c.html?inb=rs)」。
地デジ文化の最初の影響は、従来のDVD文化の駆逐ということに尽きる。10年あるかないかのメディアを「文化」とは言わないだろうが。LD(レーザーディスク)がもっと短命に終わったのは、メディア自体の性能というよりは、レンタル化を最後まで解禁しなかったからだろう。
DVDの基本解像度は720×480。地デジは1440×1080。テレビが30インチ台だとまだ我慢ができるが、40インチ台だとDVDは見る気がしない。ここ4,5年の薄型大画面テレビの普及は、液晶やプラズマ技術の進歩ばかりが取り上げられるが、そうではなくて、地デジの解像度の1440×1080、つまり水平走査線が1000本を超えたという事が大きい。普段見ているテレビ放送自体がDVDの倍の解像度で流れている(しかも“無料”で)ということだ。画面を大きくしても画質が粗くならない、ということが大画面化の陰の立て役者なのである。
NHKのBS放送(BS1、BS2)も標準画質(SD画質)、つまり720×480の解像度だからDVD並(今となってはこういう言い方になる)。だから地デジのテレビ放送(通常のテレビ番組)を見ながら、BS1、BS1チャンネルを見ると画質が粗くて見てられない。もちろん地上波アナログ放送は330本の水平解像度しかないからもっと見てられない。
現在の地上アナログ波の水平解像度は330本、レーザーディスクが400本(S-VHSもそのくらい)、DVDが500本となり、今度は放送波そのものが地デジで1000本を超えた。これは地上波デジタル放送でテレ朝の「日曜映画劇場」を見た方が、DVDレンタルで映画を見るよりはるかに画質がキレイということだ。
DVDの画質をはじめて見たとき、もうレーザーディスクの時代は終わったとつくづく思ったが、あれは何だったのか。わざわざ新しいメディア(DVD、HD-DVD、Blu-ray)を買うまでもなく、テレビ放送自体が超高解像度で日常的に放映されている。テレビ放送自体が200インチの大画面でも充分に満喫できる。
テレビ波ではNHKのBSハイビジョンチャンネル(BS3)の解像度は、1920×1080のフルハイビジョン解像度。超高画質が楽しめる。BS1、BS2とBS3とは雲泥の差。BSハイビジョンチャンネル(BS3)の「紅白歌合戦」や「世界遺産」は圧倒的なフルハイビジョンカメラの美しさが味わえる。DVDシリーズで「世界遺産」を買った人は後悔しているに違いない。
量販店のテレビ売り場では、大概の場合、このNHK BS3チャンネル放送が流れている。テレビのハードとしての性能も上がっているが、それ以上にコンテンツの解像度自身が10年前に比べてはるかに良くなっている。液晶やプラズマが綺麗なのではなくて(それもあるにはあるが)、その前に放送コンテンツ自体の性能が格段よくなっている。1920×1080の画像が、天から降ってくるなんて夢のようなことなのだ。
そう考えると、地デジの普及は、DVD文化が消えるということだ。日常的なテレビ放送よりもDVDの画質が悪いというのは意味がない。だからこそ、HD-DVD 、Blu-ray(いずれも解像度は1920×1080)などのハイビジョンメディアが出てきたのだ。
様々なコンサート映像、映画放送(WOWOWなどの)なども、市販のDVDを高い金を出して買ったり見たりするよりも、放送波をハイビジョン収録して見る方がはるかに美しい映像を満喫できる。DVD文化は終わったということでしょう。約10年間、ご苦労様でした。Blu-rayは、何年もつのでしょうか。その前にすべてはサーバー処理されるようになるのかも知れない。デジタル文化は、いつも文化自体を否定するように進む。
CDが出てきたときもびっくりした。やっとLPサイズから解放されると思ったら、今度はレーザーディスクがLPサイズで復活してやれやれ(今でもパイオニアの名機LD-S1を捨てずにもっているが…)。そしてDVD。その間、S-VHSとEDベータに寄り道(今でもSONYの名機EDV-9000を大切にもっているが…)。※レーザーディスクもEDベータも私自身の機械の写真ではありません。面倒くさいのでネットから拝借しました。あしからず
こういったメディア変遷を放送波自体が一気に乗り越えようとしている。テレビ放送自体を100インチ、200インチで楽しむ時代になった。HD-DVD やBlu-rayは、放送文化の革命を後追いしているメディアなのである。そこが歴史的なところだ。3年後アナログ波終焉は色々なことを考えさせてくれる。
(Version 3.0)
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