第2版:テレビが壊れた ― 薄型大画面テレビは、今、何を買うべきか?(一枚の写真付き) 2008年05月31日
テレビが壊れた。パソコンのハードディスクが壊れて(http://www.ashida.info/blog/2008/05/_core2_duo_1.html)、その1週間後に今度はテレビが壊れた。ついでにこの1ヶ月にわたる天候不順で家内も再発。家内まで壊れた。不幸は続くものだ。
壊れたテレビは、4年前に買ったEPSONのプロジェクションテレビ、LIVING STATION ELS-47P1(http://www.epson.jp/osirase/2004/040531.htm)。
私は当時、未だに液晶テレビやプラズマテレビの発色の不自然さに耐えられず、プロジェクションテレビを買っていた。EPSONの前は、PIONEERの42inchプロジェクションテレビだった。それに当時は同じ大きさでも15~20万円くらいプロジェクションテレビの方が安かった。
そのテレビが5年も経たないうちに、突然画面が真っ黒。ランプの警告ランプが付いたが、控えのランプを交換しても付かない。カスタマーセンターに電話をしたら、「出張修理が必要とのこと」。しかも3年経っていますので「10万円かかります」。それはないでしょ。10万円も出すのなら、新しいテレビを買った方がいい(という誘惑が出てくる金額)。
それに10万円で直しても、その先何年持つかわからない。修理後の保証は何も保証されないからだ。1年経ってまた「10万円」なんて言われたらたまったものではない。
前回のハードディスク破損に引き続き出費がかさむ。気分も暗くなるが、しかしテレビがないのも寂しい。壊れてもう10日ほど経つが、我が家は暗い。テレビはお風呂にもトイレにも寝室にもあるが、肝心のリビングにないのがつらい。パソコンでテレビは見られるが気分的に乗らない。一台の無線テレビ(SONYのair board)を現在ダイニングテーブルの上に置いて使っているが(普段はキッチンに置いてある)、画面が小さくて、見れば見るほど気分が惨めになる。
この一週間の、我が家の食卓。後ろの大画面は廃品同様。来週ヤマダ電機に2000円で回収される。まだまだキレイで使えそうだが。手前のSONYのエアボードがもう6、7年使っているのになぜ4年前後のエプソンがつぶれるのか。腹が立つ。
大きな画面というのは一つの麻薬で、いちど大画面になれてしまうと小さな画面はただただ圧迫感を感じさせる。目が見ているものは、純粋な知覚対象ではなくて、一つの意味の傾向性なのだ。視線が絶えず小さな画面を一生懸命大画面サイズに拡大させようとするのである。だから目が窮屈になる。SONYのair boardは12inch。EPSONは47inch。比較するのが無茶だ。
そこで、この1週間の間、高井戸のヤマダ電機に、職場の帰りに通い詰め。テレビは結構長く使うものだから、慎重に選ばないと後悔する。今回ばかりは安くなってきた薄型テレビ(液晶かプラズマか)を買うしかない。
さて私が選ぶとすれば、何なのか。
高井戸のヤマダ電機は、前回RD-A1の時にお世話になった笹川さんがいるが(http://www.ashida.info/blog/2006/12/rda1_1.html)、最近、彼は見ない。そこでつい最近息子の社会人一年生の買い物の時にお世話になった片岡さんを当てにすることにした。何度も言うが、ヤマダ電機はメーカーからの出向社員が多い(出向かリタイヤかわからないが)。名札の下にメーカー名が書いてあるのですぐにわかる。しかし特にそのメーカーの商品に詳しいわけでもない。それほどやる気もない。ヤマダ電機で買い物をする場合は、ヤマダ電機の店員をまず捜すことだ。片岡さんはその1人。出向店員は高齢者が多いが、彼は若い。若いが商品知識も結構ある。値引きも結構頑張ってくれる。
今回は、この片岡さんを頼りに買うしかない。
まずは、SHARPから。つい最近新製品(LC-46GX5)が出たSHARPは今年3月に出た“新製品”がすでに型落ち製品になっていて、SHARPが一番安かったから。LC-46EX5(http://www.sharp.co.jp/aquos/lineup/ex5_46/)だ。
この製品ならヤマダ電機でも20万円台中盤で買える(余り具体的に書くのはまずい)。ヤマダ電機は「SHARPに強い」(片岡さん)らしい。価格コムではLC-46EX5は21万円前後だが、ヤマダ電機では5年保証と15%のポイントが付くからほぼ同価格で買える。「5年保証」は通常の安売り店では15000円ほどの増額になるから、その点大型量販店は強い。
私がこの製品に最初魅力を感じたのは、同社の新製品46GX5(http://www.sharp.co.jp/aquos/lineup/gx5_52/index.html)と比較して全く遜色のない画質だったから。新製品は10万円以上高かったが、何が違うかといえば、スピーカーがフロントサラウンドになったくらいのこと。映像回路は何も変わらない。そもそも2ヶ月前の3月に新製品をだしておいて、中国オリンピック前に駆け足で新製品をだそうとしても、できるのはスピーカーくらいでしょ。だから画質に拘るとすれば、この型落ちはほとんど意味が無く、買いのチャンスでしかない。
かなり長い時間をかけて両者を比べたが、差は全くない。むしろLC-46EX5の方がきれいなところもあるくらい。
私の画質チェックの基本は黒。黒の表現(黒の階調表現)が液晶もプラズマも一番難しい。
それも差はない(とこの段階では思っていた…)。
液晶の最大の問題は、プラズマに比べて(速い動きの場合)残像が残るというものだが、昨年来「倍速処理」という技術が出てきて、残像問題はほとんど解消されている。それも実感できた。
値段に引きずられて、SHARPのLC-46EX5に決めた。喜多俊之によるデザインも悪くはなかった(足の形は良くなかったが)。特に画面周りのデザインは秀逸。
迷ったのが、東芝のREGZA。昨秋以来、どの専門誌でも評価が圧倒的に高い。私がREGZA(46Z3500)http://www.regza.jp/product/tv/lineup/z3500/concept.htmlを嫌ったのは、消費電力。344Wを超える。LC-46EX5は同じ46inchでも275W。消費電力が高いというのは部品点数も含めて不安定要素。気にくわない。
それに同じ型落ちのLC-46EX5と比べても6~7万円高かった(片岡さん価格でも)。さらにREGZA(46Z3500)は昨秋発売の製品。SHARPのLC-46EX5は、今年の3月。型落ちとは言え、新製品に近い。得な気がした。片岡さんの評価でも「それほど画質は変わらないですよ」とのこと。これを信じてSHARPのLC-46EX5に決めた。
決めたのが1週間前の土曜日(5月24日)。今日31日の12:00~14:00の間に配送される予定だった。
昨日は、最後の確認のために学校の帰りにヤマダ電機によった(夜8:30くらい)。
片岡さんがいた。「いやー、まだ迷っているのよ。本当にSHARPでいいの? どの専門誌を見てもREGZAがダントツなんだけど…。もう一度見せてよ」。「いいですよ」。
ちょうどNHK BSハイビジョンで人気番組「名曲探偵アマデウス」の演奏中。指揮者や奏者の礼装の〈黒〉が試せる。
東芝REGZAの新製品46ZH500(今春5月発売http://www.regza.jp/product/tv/lineup/zh500/concept.html)、絶賛を浴びた46Z3500(昨秋発売)、SHARPのLC-46EX5の三者の黒色を比べた。
これが大変。LC-46EX5の黒色は、まるで絵の具で塗りたくったように礼装の黒がべったりしている。奏者や指揮者の動きにつれて皺(しわ)が見えづらい。ほとんど見えない。
それに比べて東芝REGZA 46ZH500、46Z3500はまるで新たにライティングしたかのようにはっきりと皺の細部まで見える。塗りたくった黒ではなくて、繊維で衣服ができていること(当たり前だが)を示すまでに鮮明だ。
黒色は液晶でもプラズマでも色の濃さのわずかな度合い(=階調表現)を表現するのが一番難しい。どちらも液晶もプラズマも発光するもの。発光と光らない黒とは敵対的なテーマなのだ。黒階調をきちんと出せるテレビが細部まで描ききることの最低条件。
もっとも敵対的なものを表現できるときにこそ、そのテレビの色表現能力がわかる(音で言えばダイナミックレンジというところだろうか)。特に映画などでは黒色(夜や闇や影)のシーンが結構多い。映画で黒がつぶれてしまうとほとんどのシーンが意味をなさない。
「黒が全然違うじゃないの。どういうことよ、片岡さん」と私は片岡さんの方を苦笑しながら睨んだ。
「そうですか。気にする人には気になりますかね(笑)」(片岡さん)
「店員としてはなかなかいい答え方かな(笑)」(私)。
「こんなもの見てしまったら、SHARP製なんて買えるわけがない(SHARPはどの機種も黒色がつぶれていた)」。
「それに昨年でたREGZAの旧製品46Z3500でも、今年3月、5月に出たSHARPの新製品のどれよりも誰でもわかるくらいに黒がよく出ているけど、それよりさらにREGZA の新製品46ZH500は黒が素晴らしい」。
同じ「新製品」と言ってもSHARPと東芝の5月期新製品はまったく質が異なる。東芝の新製品46ZH500は昨秋来満を持して登場した文字通りの「新製品」という感じがする。旧製品46Z3500で確固たる地位を得た東芝REGZAへの期待を裏切らない「新製品」なのだ。
「パネルが反射タイプになったことも大きいですよね。映像回路も良くなっていますが」と片岡さん。
「これまでは(部屋のあかりの映り込みを嫌う)非光沢パネルが主流でしたが、最近は光沢タイプが流行りはじめています。その効果も大きいですよね」(片岡さん)
「そうね。光沢パネル(REGZAの新製品はハーフ光沢タイプだが)は往年のブラウン管の映像のようにみずみずしい感じがしますね。少し離れてみれば液晶画面とは思えないくらいにキレイ」(私)。
でもREGZAは高い。旧製品の46Z3500でもSHARPのLC-46EX5よりも6~7万円、46Z3500よりもさらに画質が優れている新製品の46ZH500なら14万円ほど高い。もう一台テレビが買える。それはいくら画質が良くても買えないでしょ。
「なんとかしてよ、片岡さん、どっちにしても明日のSHARPの納品は止め、キャンセルしましょう」。
「買うなら、46ZH500しかない」。
私がそう思った理由は以下の諸点。
●LC-46EX5(SHARP AQUOS)と46ZH500(東芝REGZA)との大きな違い
1)誰が見ても画質が違う(言うまでもない)。「液晶のSHARP」はとっくに終わっている。「亀山工場」(メイドインジャパン)も「吉永小百合」も効果はない。特にフェルメールの黒と影はシャープでは絶対に表現できない。
2)チューナーが2チューナー(2画面同時に出せる)
3)本体で録画ができる。300GBHDD内蔵。さらに市販の外付けHDDを足して自由に拡張できる。
ただし、私はこれを利点とは思わない。この分、価格を安くしてもっと買いやすくするべきだ。こんな付加価値を付けなくても、REGZAは充分選ぶ価値があるのだから。付録を付けるというのは、マイナーなメーカーのやること。
4)スピーカー(音)が違う。低域専用のウーハーユニットが付いている。
5)DLNA対応も含めて自宅内のパソコンネットワークとの相性がよい。
6)SHARPはTVチューナーも良くない。テレビをよく見る場合は致命的。
※ただし消費電力はシャープの方が少ない(後述参照のこと)
●46Z3500(REGZAの旧製品)と46ZH500(REGZAの新製品)との大きな違い
1)誰が見ても画質が違う(すでに指摘したとおり)
2)どんな専門誌も指摘していないが、46Z3500の重量は36キロ。ZH500はHDD内蔵であるにもかかわらず、32.7キロ。かなり軽くなっている。電力消費も344W(46ZH3500)→325W(ZH500)。年間では323kWh→261kWh。20%以上の省電力だ。シャープやビクターの46、47inchは270W前後で押さえられており、東芝は消費電力では負けているが、ZH500は少しは改善されている。
3)本体でそのまま録画ができる。300GBHDD内蔵。さらに市販の外付けHDDを足して自由に拡張できる。
4)スピーカー(音)が違う。低域専用のウーハーユニットが付いている。
5)視聴環境(昼、夜、白熱球、蛍光灯、ビデオ素材かフィルム素材かなど)の応じた画像調整をプロ並みに自動最適化できる(東芝では「おまかせドンピシャ高画質」と呼んでいるがネーミングが悪い)
6)シャープネス・オプティマイザー
輪郭補正の映像処理新回路。画像ボケやギラツキ感を低減。
7)Bluetooth対応。携帯などで撮った写真をワイヤレスで画面に映せる。
8)ドルビーボリューム搭載
コマーシャル時の急激なボリュームUPも自動制御。その他再生時の急激で不自然な音量差を自動調整。
9)ひかりTV&アクトビラ ビデオ・フル対応
10)ただし、デザインは46Z3500(REGZAの旧製品)の方が46ZH500(REGZAの新製品)よりもはるかにいいと思う。46ZH500は、画面のみならず画面周りまでもが光沢感をもったため、枠の光沢に気を取られて見づらい。なんでこんなバカなことをするのだろう。画面周りはつやなしの黒がもっとも画面をキレイに見せる。それはテレビ作りの原則でしょ。
以上の違いを踏まえて、今日現在、46ZH500は価格コムで302999円(http://kakaku.com/item/20417010929/)。価格コムで買えば、最高に高価な46ZH500もSHARP LC-46EX5のヤマダ電機価格(=片岡さん価格)と数万の違いでしかない。その意味でもSHARP LC-46EX5をキャンセルする意味はあった。
ただし46ZH500のヤマダ電機価格は札価格で47万円以上している。これにポイント割引が25%付いて357200円。この値段では私は買えない。20万円台がギリギリの予算だ(何しろ不意のテレビ故障から始まった話しなのだから)。
問題は、価格コムだと5年間保証がない。もちろんポイント割引も付かない。そこで片岡さんに相談。
「ポイント割引+5年間保証付きで、価格コムの302999円を超えて、20万円台にしてよ」。これが最後のお願いだった。
「これほどこの商品を評価してくれるお客さんに売るんだから、小売業冥利に尽きるでしょ。価値あると思うけど。RD-A1(http://www.ashida.info/blog/2006/12/post_182.html)を安くしてくれたときにも、笹川さんは『理解してくれるお客様にこそ安くしてさしあげないと…』と言っていたよ。立派でしょ」と私。
何回か、上長(店長?)と行き来を繰り返す片岡さん。「知らないよ、価格コムで買っても」と何度も帰りかける私(内心は歩いて15分程度のヤマダ電機で“地域貢献”するしかないと決めていたが)。
最後にはポイント割引換算して30万円台は大きく切った(具体的な価格は片岡さんの立場もあるから内緒)。よくやってくれましたね。低い声で「○○円でどうですか」と言ってきた。
「よしそれでいこう」と私(お金の算段も全く付かないのに何が「よしそれでいこう」だ)。
「これ以上は絶対無理」というのだから、しかたがない。本来ならポイント割引なしに302999円を切るべきだが、そんなことをしたらヤマダ電機の経営は成り立たないだろう。
「今日はもう遅いので、クレジット会社のキャンセル(今日自宅へ到着するはずのSHARP LC-46EX5のキャンセル)や新規申し込みができません。明日以降来て下さい」と名刺に型番と価格を書いて私に渡してくれた。
最後に私は片岡さんにこう言った。「でもこのまま契約せずに私を自宅に帰したらまた安いところを見つけて何を言い出すかわからないよ。知らないよ」。
片岡さんは嫌な顔をしていたが、「最近の薄型テレビはほとんど変わらない」と嘘をついた罰のようなものだ。仕方ないだろう。
今日の土曜日、強風の雨の中、傘をさして再度ヤマダ電機へ行ってきた。私が急いだのは、昨日の時点で配送センターの46ZH500の在庫は「5台」と(昨日)片岡さんに聞いていたからだ。
「5台なんて、今週の土日に売れてしまうんじゃないの?」「そんなに売れませんよ。売れ筋は32inch~42inch。46inch以上はそんなに出ません」。「そうですか。薄型液晶はブラウン管よりも壁面に近づくから(視聴者からは遠離るから)小さく見える。少しでも大きい方がいいと思うけど」「でも出ないですよ。来週以降でも間に合いますよ」と昨日の夜話していたところだった。
でも買うと決めたら、早めに配送を決定しておいた方がいい。そこで雨風の中、再度ヤマダ電機、片岡さんのところへ駆けつけた。
実はこれにはもう一つ目的があった。PnasonicやPIONEERのプラズマやVictorの液晶も評価が高い。それを最後に見定めておこうと思った。
Panasonicのプラズマは、色合いがヘンだ。一幕貼ったような抜けの悪さがある。人工的な気がする。これなら、まだSONYや三菱の液晶のわざとらしい鮮鋭感を私は選ぶ(光沢パネルの効果が半分以上ある)。パイオニアのプラズマは悪くはないが、全体に画面が暗い。それにフレームの黒光が許せない。質感も良くない。
Victorの液晶も噂通り悪くはないが、黒の階調表現はREGZAにはるかに及ばない。SHARPよりははるかにいいが。私はブラウン管時代からVictorの絵作りが大好きだったが(何よりもSN比を重視したしっとり感がある)、未だにその精神は引き継がれている。
結局のところ、評価のあまりよくないSONYや日立や三菱の新製品よりもSHARPの新製品はよくない。
PanasonicやPIONEERのプラズマは専門誌でもREGZA以上に評価が高いときがあるが、私にはプラズマの色の出方が不自然で耐えられない。黒の階調表現もREGZA 46ZH500に勝っているとはとても思えなかった。
液晶の倍近くの消費電力を使ってまで見るほどの映像ではない。Panasonicの46inchプラズマは、「エコロジー」を謳いながら530Wを超える(REGZAは325W)。これはどう考えてもおかしい。
私にはREGZA 46ZH500に勝る薄型テレビはないと思えた。すべてのメーカーの(オリンピック前の)主力新製品をじっくり見て思ったことはREGZA 46ZH500の絵作りは上品。黒の階調もブラウン管並。プラズマの不自然さもないし、SONYや日立のような変な誇張もない。本当は今日SHARP AQUOS LC-46EX5 が自宅の届くはずだった消費者とは思えない変貌ぶりだ(自分でもあきれるばかり)。
よくよく考えたら、私は薄型テレビのサイテーの商品を買うところだった(片岡さん、恨みますよ)。そしてサイテーの商品からサイコーの商品への転換ができたということか(片岡さん、よく値段を頑張ってくれました)。嬉しいやら、悲しいやら。消費者というのは気ままなものだ。
東芝は、HD-DVDで私たちを裏切ったが(http://www.ashida.info/blog/2008/02/youtube.html)、REGZAでこんなにも頑張っている。
昔から東芝のAV機器には何度も騙されているが(東芝のAV機器はスペック主義で、画像や音の最後の詰めが甘い)、今回は大丈夫だろうか。あえて心配ということでいえばこのダントツの初期性能をどれくらい維持できるかだ。5年経てばSHARPの勝ちというのだけは勘弁願いたい。
そうこするうちに契約を済ませて、新規にケーブル類を買いなおして、この一週間の激動のヤマダ電機を後にした。
「片岡さん、今回の選択は間違っていなかったよね」「間違ってないと思いますよ」。二人の間に、薄型テレビ選択戦場での「友情」が芽生えた瞬間だった。
最後に今回、私が勉強したことをまとめておきます。
1)液晶パネルは、倍速駆動とフルハイビジョン解像度(1920×1080)によって、ほとんど実用的な段階に達した。
2)最近の液晶パネルには、「VA(Vertical Alignment)パネル」と「IPS(In-Plane Switching)」パネルがあり、VAパネルは高コントラスト映像になり、IPSパネルは視野角が広くなる。
テレビの前で横に広がり大人数で見る場合はIPAパネルだが、正面から2、3人で見る場合には、高画質(階調表現が精細な高コントラスト映像)が期待できるVAパネルがいい。一般にVAパネルのコントラストはIPSパネルの2倍以上あると言われている。その差は大きい。最近のVAパネルは広角にも強いから、VAパネルがおすすめ(VAパネルは倍速処理技術と相性が悪いが、最近はそれほどでもない)。今回私が選択したREGZAの新製品45ZH500は、もちろんVAパネル。
階調表現はもちろん、広角にも比較的強かった。現在、VAパネルを使っているのは、日立、ビクター以外の各社(シャープ、SONY、東芝、三菱の各社)。ただし、東芝は42inchではIPAパネルも使っている。極端に言えば、IPSパネルは、ゴルフ練習場の待合室か、会議室で使うものと思えばいい。
家庭で高画質を求めるのならVAパネル以外には選択はない。ただし全シリーズ「亀山工場」でVAパネルを生産しているSHARPの画質は高コントラストによる精細な階調感がない。パネルだけで画質が決まるわけではない好例。難しいものだ。「いい音」「悪い音」(聴覚の対象)より、絵の美しさ(視覚対象)の方が客観性が高い(たしかヘーゲルもそんなことを言っていた)。その分、テレビユーザーの評価は厳しい。
3)「光沢(=グレア)タイプ」と「非光沢(アンチグレア)タイプ」
これは最近パソコンモニタなどでも(特にノートパソコン)、使われるようになっているが、テレビでもパネル面がガラスに似た光沢性を持つようになっている(=光沢パネル)。
東芝もREGZAの新製品46ZH500から半光沢パネルを使うようになった。テレビメーカーは居室の明かりの映り込みを嫌って長い間非光沢パネルを使ってきたが、画像のみずみずしさや先鋭感という点では光沢パネルは圧倒的に有利。特に大店舗のたくさんテレビが並ぶ陳列時には光沢パネルは目立つ。じっくりみないと優劣が付きづらい。派手目の絵作りには注意が必要(SONYと三菱がそんな感じ)。長く見ても疲れない自然な絵になっているかが重要。しっかりした絵作りができていれば光沢タイプの方がいい。
4)古くて新しい問題、プラズマか、液晶かでは、私は液晶を採る。倍速駆動処理ができるようになった現在では液晶最大の問題であった残像問題〈速い動きに苦手〉はもうほとんどない。4、5年前ではプラズマ選択が明らかに正しかったが、今ではその優位性はない。特に50inch以下では明るさも含めてそれほどの差異はなくなった。私の今回の感触では、残像問題や明るさの問題よりも、プラズマの色調が気になった(特に松下のプラズマを「推奨する」評論家の気が知れない)。
液晶の方がはるかに自然に近い色が出ている。それに何度も言うが、プラズマは消費電力が高い。46inchでプラズマは約500W、液晶は約300W。こんなにも消費電力が違うものは、すでに別商品と思った方がいい。3リッターのクルマと5リッターのクルマの走行性能を比べるバカはいないでしょ(苦笑)。しかもその差ほどの優劣はない。プラズマは100inch大画面のイベント用と割り切った方がいい。家庭に入れるのは社会的な犯罪だ。
5)最後に、SHARPの液晶画像は終わっている。消費電力はよく押さえているが肝心の画質が耐えられない。特に黒の階調表現がひどい。すべてがべた塗りの黒になる。吉永小百合にもゴッホにもフェルメールの黒と影にも迷惑をかけている。それにスピーカーの音も最悪だ。コマーシャルの多用でなんとかごまかしているということか。コマーシャル代に多額のお金をかけるのなら、技術力に投資して欲しい。
それにひきかえ東芝REGZAのキャッチは「半導体のチカラ」。面白くも何ともないが(わけもわからない)、まじめさだけは伝わる。実績(実力)がないと決して選択されないコピーだろうが、旬をとっくに超えている吉永小百合を使うよりははるかにましかも知れない。
6)さて、結論。今大画面薄型テレビを買うなら、東芝REGZA。特に46ZH500。一度、大店舗へ行って、メーカー、液晶かプラズマかなどを無視して(先に聞かずに)、画面の絵をじっくり見てください。結果的に必ずREGZA 46ZH500になります。私も結果的にはそうでした。上記はほとんどは後から勉強したものです。もともとの動機がアクシデントでしたから。
※レビューは、これらの記事が詳しい→
href="http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080409/1009162/?P=1">http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080409/1009162/?P=1
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http://www.ashida.info/blog/mt-tb.cgi/925
「家内まで壊れた」という表現は不適切ですよ。
人間が壊れるとは、人格崩壊のような場合に言うのです。
テレビと同様に「壊れた」では、洒落にもなりません。
「妻の病状まで悪化した」と記述します。わたしなら・・
「人間の病気は、機械の故障と同じではない」→
http://www.ashida.info/blog/2007/02/post_187.html
いやいや、岸田秀が「人間は本能の壊れた動物である」という定義をしているので、この表現はまったく問題ありません。
また、他人に対して自分の妻をいうときに「家内」という言葉を用いるのも国語辞書にあるので正確な言い方です。
私なら、むしろ仏教の「生・老・病・死」という四苦について語ってほしいのです。
>大澤真幸の友人さん
失礼だな。私のことを岸田秀や大澤真幸を使って弁護するなんて(苦笑)。