家内の症状報告(116) ― 未だにベータフェロンを無理をして打ち続けている患者がいる、未だに基礎研究の論文さえも圧力がかかる(医学界、お前もか) 2008年03月08日
症状報告115(http://www.ashida.info/blog/2008/03/post_274.html#more)の回答を読んでいるとあなたとのこのやりとりの最初の議論だった「MS(NMO/MS)の専門家はいったいどれくらいいるのか」にぐるっと一周して戻ってきような気がします。
1)~7)までは今となっては疑わしい知見。これらをもっともそうな顔をして患者の前で開陳、アドバイスする医師は「MSの専門家」とは言わない。
8)~10)まではNMO/MSについて勉強熱心な医師。両者合わせて考えるとやはり「MSの専門家」と言われる医師はほとんどいないということになりますね。
これはあなたとのやりとりの“成果”ですから、あなたは結局は「NMO/MSの専門家」なんて大概の場合は勉強不足と言っているのと同じですよ(笑)。
患者が間違った治療を受け続けている。「難病」だから結果が悪くても当たり前という認識に隠れて。
未だに抗体検査もせずにベータフェロンを薦める医師がいる。ステロイド(プレドニン)をやっても効かないからベータフェロンでも、というのは、よくある話で(家内の場合もそうだったのですが)、まるで3、4年前の古い(場合によっては危険な)治療に戻っている。未だに「教科書」に書いてあるような治療しか行わない病院や医師によって治療を受けている患者がいる。
私の家内の場合、テロイドの可否はステロイドの分量が鍵を握っています。20ミリ(日)を切ると再発可能性が高くなる。大概の医師はステロイドを徐々に減らしたがりますから(ステロイドに予防効果はないという偏見によって)、その過程で「やっぱり効かないね」となる。そこでベータフェロン。今となっては、ここで「リツキサン」くらいの治療はやって欲しいですよね。特に若い世代の患者達には。
もう一つ気になるのは、「慶応大の発見も論文審査では2年以上に及ぶ想像を絶する嫌がらせがあったよう」というもの。あんな基礎研究でもいやがらせがあるというのなら、一般的な治療選択では、もっと危うい選択を現場の医師達は迫られているのでしょう。「EBM(evidence-based medicine)はあるのかね」と言われながら。たぶん、MSがなんだかわからない、ベータフェロンの長期投与が何をもたらすのかわからないくせに「EBMはあるのかね」と良くもすまし顔で言えるなぁ、というのが私の感想です。
そう言えば、私が2年前の1月に鼻の手術(好酸球過多によるアレルギー性副鼻腔炎、未だにステロイドを飲み続けています)を慈恵医大で受けたとき、退院時のタクシー運転手が面白いことを言っていました。
彼は病院待ちが専門のタクシー運転手で、学会などの会場待ちもやっているらしい。医学関係者の学会では必ず製薬会社派遣のタクシー(ハイヤー)が会場の玄関を埋め尽くしている。
これは製薬会社のサービスに留まらず、特定の製薬会社との“関係”を医師が受け入れるか受け入れないかの「YES、NOまくら」のようなものらしい。そこでその医師がハイヤー」に乗るか乗らないかが間接的な返事になるらしい。絶対にそういった行動を取らない先生もいるし、そうでない場合もある。医学系の学会でも毎回そんなことが行われている。
結局、患者達は自分で自分の身を守るしかない(ほとんどそんなことは出来ないのですが)。抗AQP4抗体検査をきちんと受けさせることができる「MSの専門家」は一体どれくらいいるのか、から始まったこのやりとりも、最後には(私が誘導尋問したような感もありますが)、ほとんどいない(苦笑)、という結論になったような気もします。そもそも抗AQP4抗体検査の標準化の問題も視野にない。「陰性だったからベータフェロン頑張りましょう」とはいかないのに、まだ続けている人もいる。もちろん丸山ワクチンのような効果(抗ガン剤を使わない)で効き目がある場合にはまだしも副作用を我慢しながら打ち続けている患者もいる。これはやはり悲劇です。
今週は先週の『ロレンツォのオイル(生命の詩)』に続いて『ナイロビの蜂(http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%93%E3%81%AE%E8%9C%82-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA/dp/B000HEZ4BY/ref=pd_bbs_sr_1?ie=UTF8&s=dvd&qid=1204967715&sr=8-1)』を見ることになっています。映画でも薬漬けの日々です(苦笑)。
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お二人のやりとりずっと拝見していました。
芦田さんとPさんにどうしてもお礼が言いたくて・・(mixi上に)コメントすると芦田さんとPさんの間に、私のような小娘の一感想が割り込みしてしまうのが申し訳なかったのでこちらから失礼します(笑)
私の母はMSと付き合い始めて2年になります。発症時このMSにたどりつくまで約半年3つの病院を巡りました。奇跡的な回復をしていた母でしたが、昨年11月再発。脳幹部分と延髄部分に病変ができ、前回からあった胸の帯状の痺れ、手足のしびれと運動麻痺に加え今回は排尿障害、眼振、飲み込みの機能が低下、さらには呼吸困難に陥り呼吸器装着・・一時は命の危険に脅かされ大変な闘病生活となりました。
前回はパルスを3クール、後にプレドニンを徐々に減らしていき特に再発防止についての治療はしてきませんでした。そのときの担当医からも予防の話は出ませんでした。そしてそのころの私たちも未知の病気との出会いで、そのほとんどを医者にゆだね“再発の可能性”もどこか他人事で、予防の治療については家族の誰一人考えもしませんでした。
そして今回5クールのパルス治療を終え、呼吸器も無事に外れどうにか命の危機は脱しリハビリが中心となってきたところに、担当医から今回の病変部位が生命維持部分であったことから再発予防の治療が必要だとインターフェロン(ベタフェロン)のお話がありました。
なんだかよく分からない中で、なんとなく「YES」と答える・・? どうしよう・・?
そんな状況下でずーっとログインしていなかったmixiへフラ~っと。そのとき見たのが芦田さんとPさんの議論でした。我が家にとっては本当にリアルタイムな情報でした。
今まで私たち家族はMSを大体の認識でしか捉えてきませんでした。難病だから分からない・・・病院に、医者に任せるしかないんだと、勝手に最初から考えることや勉強することをしてきませんでした。
でも芦田さんやPさんの議論を見て、大きな間違いに気がついたのです。
それから私たち家族はそれぞれがたくさんの資料に目を通し勉強を始めました。難しすぎて意味の分からない事だらけです。結局どういうことなのか・・???????? いつもこんな感じですが(笑)
それでも分からないながらもたくさんの資料と向き合う。このことが何よりも大切なんですね。今までの私たちよりも少しだけパワーアップした感じがします(笑)
このようなきっかけを与えてくださったお二人に、心から感謝をしています。そのことをどうしてもお伝えしたかったのです。そしてこれからも、ぜひとも私たち家族を含めMSと闘う多くの方々のために、私の頭では到底理解できない難しい論文等を分かりやすく解決していただけるととっても嬉しいなぁ~と思っています。どうぞよろしくお願いします!!!
結局我が家の結論は・・・う~ん・・といったところです。分からないです。
でもインターフェロンはしない、かな・・(6・7割位で)
新潟大学に出してある抗AQP4抗体の測定結果を待って、担当医と十分話し合って判断しようと思っています。
陰性であった場合、インターフェロンをするか否か・・・
ここが家族会議でも結論がでない問題ですが・・(苦笑)
本当にありがとうございました。
お母様大変ですね。でも、pさんと芦田さんのやり取りに有ったように、抗体検査をしてから、インターフェロンを考えるというレベルの医師に当たって良かったと思いました。お大事に。
>リン 様
そうですか。お役に立ててうれしい限りです。私は家内の病気のことも忘れて、Pさんとのやりとりに没頭していました。
これまで個々の関連論文はそれなりに読んでいましたが、そこで得た知見が一つの像を結ばず、やきもきしていました。
Pさんとの原稿用紙で300枚を超えるこのやりとりでやっとそのバラバラな知見が一つに繋がりました。
これは興奮以上のものです。神様、仏様、P様です。この研究者はそこらの大学病院の医者でないことだけは確かです。
なんでこんな人が私のようなずぶの素人とやりとりをしてくれているのか、私にはさっぱり分かりませんが、千載一遇のチャンス。
それにこのやりとりは、1万人を超えるこの難病の患者達にとってバイブルとも言える内容。
リンさんをはじめ、多くの患者を救うやりとりになっているはず。Pさんの真摯な回答から患者達は学ぶべきです。医者に自分の体を盲目的に任せずに。