家内の症状報告(104) ― 「神に会っては神を切り、仏に会っては仏を切り、己に会っては己を切る」 2008年02月24日
症状報告(103)http://www.ashida.info/blog/2008/02/post_266.html#moreへの回答。再度、質問と共に報告します。
早速の回答ありがとうございます。でも、いやー納得できないなぁ(笑)
あなたの言われる1995年7月~1999年11月の治験中には、
1996年のMayoの医師達の発表(Brain Pathology)があり、つまり細胞性免疫論の一角は崩れており、論文が受け付けられた2004年5月までには、
1)2000年6月の脱随進行病巣の4分類(MS=細胞性免疫炎症の相対化)
2)2004年4月のケンブリッジ大学の発見(T細胞浸潤等の炎症はなかったこと)
3)同じく4月のオーストラリアの医師の発見(免疫反応不在のオリゴの死の報告)
など提出以前(直前ですが)、論文をまとめる途中で貴重な発表はあいついでいるにもかかわらず、この論文が提出されている。
私なら、こんな“古びた”論文は、10年以上かけて書いたとしても破り捨てます。そんなことは「研究者」であればざらに起こることです。自然科学であればなおさらのことでしょう。
結局、この日本人達の論文は、あなたも「推察」されているように1993年のヨーロッパでの研究をなぞっただけのものにすぎない。それを公表まで12年もかけて発表したにすぎない。その間に、現代、あるいは将来のMS研究・治療の方向性を示す論文がいくつも発表されていたにも関わらず。
結局2005年2月の治験結果は、12年前のヨーロッパモデルを日本的な実証性を装いながら反復しただけのものと言えませんか。
日本の研究者達は、さかんに「日本型MS」=OSMS(視神経脊髄型MS)といいながらヨーロッパとは異なる亜系のMS研究を続けていた。それは今となっては、亜系でも何でもなく、液性免疫MSの本質論を展開するチャンスであったにもかかわらず、自ら1993年に先祖返りするしかたでそのチャンスを封じ込めた、と言えるのではないか(ちょっと言い過ぎかな)。この論文の影響が大きかっただけに返す返すも残念なことです。
●2008年02月24日 02:22
日付変わってしまいましたが、帰還しました。さて、、、
この辺で許して貰えませんか…ってわけにはいかなさそうですね(苦笑)
最初に、かの論文について少し擁護しておきますが、臨床治験というのはとてつもなくお金がかかる(降圧剤のような安い薬でも一人当たり数百万だそうですから、ベタフェロンの治験は億単位のお金がかかっているのではないでしょうか(たぶん某製薬会社が出しているのでしょうけど))、そして日本全国かなりの数の病院・MS専門家が参加している(著者欄では「グループ」としてまとめられてしまってますがすごい数の医師名が論文には記載されています)。よってやっぱりまとめるのはやめます、と破り捨てるというのは現実的に難しい(発表せざるを得ない)と思います。
ともあれ、芦田さんのご指摘の本質は、一連の研究が本当に「研究」なのか、本邦における(少なくとも当該論文に中心的に参画した)MSの研究者は本当に「研究者」と言えるのか、との厳しいご指摘として響きます。
まず、現実的な医療と、学問としての医学とは、明確に区別しておくべきと考えます。
医療の専門家は医師である。医学の専門家は医学者である。医学とは人体の生理・病理に対する学問であり、それは科学の一分野であり、しかるに医学者とは医学を専攻する科学者(学者)と言える。
医師はMedical Doctor (MD)、医学者はDoctor of Philosophy (PhD)と一応区別できますが、「そんなの関係ねー」というのが日本の現実であることは良くご存じかも知れません(欧米ではMD/PhDの両方を持っている医師は少なく、持っている人は際立ったエリートと認められます)。
学問の本質はどの分野でも似ているのではないかと感じます。「神に会っては神を切り、仏に会っては仏を切り、己に会っては己を切る」と言いましょうか。
また、少なくとも自然科学においては、前人の道を追って最後に到達した壁にぶち当たった際に、それを乗り越えられるのは、悩んで、悩んで、考え抜いて、最後に生ずる「直観」であろうと思います。そしてその「直観」によって切り開かれた道はわずかでしかなく、いずれ誰かが屍を越えてまた新しい道を切り開く、医学もまたそのようにして展開してきたのであろうと思います。
学問論はプロの芦田さん相手に偉そうに述べるべきではありませんでした。見逃してください(汗)。
翻って、医師の眼の前に存在する患者から、その「医学的展開」として研究した成果が、かの治験結果であったかと問われれば、
>でも、いやー納得できないなぁ(笑)
の(笑)に芦田さんの情けを感じるのみです。
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