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 家内の症状報告(95):古典的多発性硬化症 (CMS)、視神経型多発性硬化症 (OSMS)、視神経脊髄炎(NMO)はすべて「液性免疫」病理だって? ― NMO/MS治療は闇の中? 2008年02月16日

先の記事(http://www.ashida.info/blog/2008/02/post_263.html#more)に対する私の質問をまとめてみました。どんな返信が返ってくるのでしょうか。楽しみです。

●以下私の質問

1)あなたのコメントを読ませて頂いて真っ先に思うのは、2005年2月のNeurology誌に発表された「日本人のCMS・OSMS患者での、ベタフェロン治験結果」がまずかったのかな、ということです。

「日本のベタフェロン治験結果により、『統計学的な確証はサンプル数が少ないためにない』という前置きはありながらも、事実上OS「MS」は CMSに治療反応性が類似するとのお墨付きを与えた」ということであれば、このNeurology誌発表は、治療法の選択に決定的な影響を与えたのでしょう。

あなたが「そこそこの神経内科専門誌」と言うNeurologyに発表された「治験結果」は一体誰の(どんな組織の)主導によって、どんなサンプル数の集め方によって報告されたものなのでしょうか。「そこそこの神経内科専門誌」であるNeurology誌もOSMSがもともと日本的、アジア的であるため、審査が甘かったのでしょうか(これはどの分野の日本人研究外国審査でもあることですが)。

2006年12月の東北大学の「抗AQP4抗体のassay系の樹立」(http://nimmunol.umin.jp/official/med/20070416b.html)以降、その翌月の都立神経病院の発表、その翌々月の3月の「フランスのグループ」の発表、さらに4月の厚労省特定版の発表と、立て続けにベータフェロン投与が疑われはじめますが、それでもあなたは「実数はさておき、当時(2004年12月以前に)複数人のOS「MS」患者を診ていた医師で自身の治療経験を通じてそのように確信は無くとも感じていた医師(日本でOS「MS」(=視神経型MS)と呼んでいるものは実はCMSと違う病態の疾患ではないか、免疫抑制が望ましいとされるNMOに類似の病態ではないか、と感じていた医師)は比較的多数いたと思います」と書いています。

「つまり、OS「MS」における NMO-IgGの検出という2004年12月の論文は、偶然の産物ではなく、OS「MS」がMSとは異なるのではないかと問い続けた医師が(少なくとも Mayoと東北大には)いたということの表れではなかろうかと感じます」というように。

そしてそれゆえにこそ、2005年2月のNeurologyのベタフェロン治験結果は「国内外に驚きを与えた」。

そのことが逆に「Mayoの Lennonや東北大の医師が、OS「MS」の患者の血清からNMOと共通のNMO-IgGを見つけるという研究」を促進させたということに(あなたのコメントでは)なっていますが、Neurology誌に発表された「日本人のCMS・OSMS患者での、ベタフェロン治験結果」は、なぜそんなにも(いい意味でも悪い意味でも)影響を持ったのでしょうか。

そもそもあなたは「根本に戻りますが」と言いつつ、「ベタフェロンがなぜCMSにおいて再発抑制という効果を出すか、その機序は『不明』です。まずこのことをNMO/MS専門家は認識しておく必要がある」と「NMO/MS専門家」自身に警告を発しておられます。

そして「1981年の世界トップクラスの科学誌Science誌に掲載された論文」に言及され(なんと1981年の「根本」!)、「当時、CMS はウイルス感染によって発病という「引き金」が引かれるという論があり、機序不明ながらも抗ウイルス効果を持つインターフェロンが注目され」たが、「しかし実際には抗ウイルス効果は直接の関係性がないと後日指摘され、何らかの免疫調節作用かといわれるに至っています。(…)どのように効いているかを理論立てて説明できない薬剤を今日もまだ使っている。このこと自体はそれで恩恵を得ている人がいる以上悪いことだとは言いませんが、予測していない事態の出現には警戒する必要があるとは思うのです」とのこと。

そうなるとますます2005年2月の「日本人のCMS・OSMS患者での、ベタフェロン治験結果」の影響力の意味が私にはわからない。1981年のScience誌の「根本」は、この「ベタフェロン治験結果」を報告したグループやその論文を受け入れざるを得なかった治療現場にとってどんな関係にあったのか、もう少し教えてもらいたいところです。


2)もう一つの質問は、2004年4月と2008年1月のAnnals of Neurologyの報告についてです。

一つには、炎症は原因ではなくて結果だということ。「派手な症状を引き起こす炎症は、実は二次的に、或いは髄鞘を再生しようとする人体反応の必要悪として生じている、とも考えられなくはない」というもの。ここを読んで私は新潟大学の安保徹の免疫論を思い出しまいた(笑)。デタラメそうに見える“安保理論”もそこそこの理屈はあるのだな、と思いました(ここは聞き流してください)。

しかしその炎症結果論も同じAnnals of Neurologyの2008年1月の論文で「確認できない」との報告があり、さらに、NMOとMSとを分けていた「液性免疫」論が「危うくなっている」とのこと。

少し長くなりますが、重要なところなので、あなたの関連箇所を全文引用します。

「東北大もMayoもNMOの病理所見は免疫グロブリンと補体とマクロファージを中心とする液性免疫であると報告していました。

ところが 2008年1月この論文においては、MS再発時病理像はたった1パターンに集約され、その唯一のパターンとは、髄鞘に対して免疫グロブリン(抗体)と補体が結合し、マクロファージが集積している脱髄、つまり、液性免疫が主体であると。

即ち、ここに来て「NMOは液性免疫であるという観点でCMSから区別される」という発想すら危うくなっています。本当にNMOは「MSとは明確に区別されるべき」疾患なのでしょうか? 抗AQP4抗体は原因と証明されたわけではなく、現時点では単なるマーカー、と以前に書きましたが、例えばこの抗体が単に病変の場所(視神経・脊髄)を規定しているだけで、脱髄の本態についてはMSと変わらない可能性も否定はできません。またEvidence- based medicineの観点からは、NMOとCMSでベタフェロンの「治療反応性が明らかに違う」ということについても、確証が得られたわけではありません」。

― 以上引用終わり。

このあなたのコメントは衝撃的でした。結局、CMS/OSMS/NMOの区別が、ほとんど意味がなくなりすべて「液性免疫が主体」の病理だということですよね。ベータフェロン治療は一体何だったのでしょうか。

私の理解では(間違っているかも知れませんが)、CMS/OSMS=細胞性免疫=ベータフェロン有効、NMO=液性免疫=免疫抑制剤=血液浄化法有効という対照関係だったのですが、これもまた2008年1月の最新の研究では崩れつつあるということですか。

だとするとCMS/OSMS/NMO治療はまさに闇の中、Evidence-based medicine自体が幻想、ということですよね。患者としては医師の「謝罪」と「自責の念」、そして「信念」にかけるしかないということかな(苦笑)。

あなたの切り出した「NMO/MSの専門家」とは、ここにきて(このやりとりもそろそろ終わりかけていると思いますが)、もはや1人も存在していないのではないか、と思うほどです。

あなたの現時点での治療展望は、どんなものなのでしょう。少しだけでもお聞かせ下さい。

(Version 1.0)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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