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 あの謎の生き物は、天然記念物だったかもしれない ― なんだか割り切れない思いに悩まされ続けている… 2007年08月17日

あの「蓼科、謎の虫騒動記」をブログと同じようにミクシィ(MIXI)日記でも公開しておいたら、しばらくして、以下のようなコメントがわが学園の学生(WEBプログラミング科の学生)から入った。

「特徴を見る限り本国の天然記念物であるニホンヤマネだと思うのですが・・・

参考URL
http://eco.pref.yamaguchi.jp/rdb/html/01/010003.html 

(以上、コメント引用終わり)

これだけ。うそだろ。あんなリスネズミが天然記念物? そんなことあるわけがない。そもそもそんな天然記念物がなんで蓼科の、たった年4日間の私の滞在時に出てくるのよ。

でも、リンクを開いたら、結構似てる!

「自然状態での本種の存続は極めて難しい状態である。文化財としての保護を強化し、人工的な繁殖も検討すべき状況である」とまで書いてある。

どうしよう。

狼狽していたら、今度は、大学の研究者(某国立大学の研究者)の方から、すぐさま、以下のようなご丁寧なコメントを頂いた(ミクシィではブログよりもたくさんの写真を公開している)。


メッセージ&お写真拝見いたしました。

結論を先に申し上げますと、ヤマネの若者と思われます。

以下、今回の写真を順に見ながらの鑑別の道筋です。

毛質はトガリネズミの仲間に似ているが、鼻先が丸くネズミ顔。

壁によじ登ったりするのが得意そうだし、尾がふさふさでネズミよりもリスに近く見える。

しかし尾が立っていないので、リスの仲間ではない。

足が短く見えるのは、皮膜の為と思われる。

尾が毛で覆われており、前後肢間に皮膜がある小動物は日本ではヤマネとモモンガ、ムササビ。

大きさがヤチネズミやトガリネズミ程なので、ムササビ、モモンガでは無さそう。

で、大きさと毛色から、恐らく若いヤマネであろう、となりました。

正確な鑑別は、DNA鑑定、および頭骨の測定値をもとにして行います。

ヤマネは糞尿が少々くさいですが、ヒトに対して悪さはあまりしないですから、屋根裏に住み着いたとしても大目に見てやってください。

蛇足ですが、野生動物ですので、飼育するには「獣医師以外の者が野生動物を飼育下に置かなければならない特別な事情」を申請して「都道府県知事の許可」を得るが必要があります。

以上が、その研究者のメッセージだった。

ますます、ヤマネの疑いが濃くなってきた。わが学園のWEBプログラミング科学生の推測程度なら、まだ間違う可能性もあるが(そもそも専門分野が違うではないか)、日ごろ、こういった小動物を扱っている大学の研究者がそう言うのなら、これ以上に確かな情報はない。

そうすると、その数分後、またその学生から書き込みが入った。

「蓼科のすぐ側にある八ヶ岳が、ニホンヤマネの生息地であり、ヤマネが見られる事を売りものにしている山荘があるくらいですから(http://www.yamabikosou.com/index2.html)、たしかに断言は出来ませんが、ニホンヤマネである可能性は極めて高いと思います・・・

都心の鼠であれば、さすが自分も駆除しますが、外へ逃がすという手は無かったのでしょうか?

ヤマネの子供の写真がありましたので載せて置きます(http://www.kochinews.co.jp/0611/061103headline08.htm)。


こんな、とどめのような書き込みを入れてきた。

だんだん惨めになってきた。特に須崎市上分小中学校の記事の最後では「天然記念物のヤマネは研究や保護目的以外では飼育できないため、約30人の児童が『元気でね』『バイバーイ』と言いながら山に放した」とある。なんだかなぁ…。

しかし、私がヤマネ(らしき生き物)を放さなかった理由は二つ。

1)一度は逃がそうとドアのところまで追い込んだが、外へ出ようとしなかった。我々と最後まで戦う気か、と判断した。

2)たとえ、逃がしたとしても、外部と内部との“通路”があり、また戻ってくる可能性がゼロではないと判断したこと。

この2点が、逃がせなかった理由。それもネズミか(良くてもリスか)と思っていた段階での生死を賭する戦いの最中での話し。

両者の2点の理由が言い訳にならないとしたら、捕獲し、一晩や二晩では戻ってこられないほど遠い山中へ、クルマで連れて行き、そこで逃せば良かった、というもの。これはしかし、「ヤマネ」という判断なしにはできない自然愛護の精神を必要とした(今となっては)。

今となっては、「ヤマネ」という小動物を知らなかった私を恥じるばかり。

そこで私はコメントをくれた夏休み中の我が学生に、なんで(ヤマメのこと)知っていたの? と聞いてみた。以下のような返信があった。

「小学生の頃図書室でヤマネの本を読んだ事があり、生息地の詳細等はGoogleで調べただけです。 ヤマネを知った事により、小型の齧歯目動物が好きになったというのもあります。今回のヤマネが若いことに気が付いたのも、昔はハムスターを番で飼っていたためです」とのこと。

この答えがますます私を暗くする。私は小学生の頃は、シャーロックホームズばかりを読んでいて、図鑑も好きだったが、虫は小さい頃から嫌いだったので、虫頁は飛ばしていた。

しかもこの学生はヤマネを知ったことによって「小型の齧歯目動物が好きになった」とまで素直に語ってくれる。校長としての私の立場は全くなくなってしまった。

そこで私もこの学生に負けずにヤマネ勉強をしてみた。

私が調べた限りでは一番良くまとまっていると思われるヤマネ紹介サイト(http://www.ikita-kaseki.com/ikita/yamane/)の記述は以下のようになっている。

●ヤマネの出現時期
日本に限らず、ヨーロッパなどにも生息するヤマネ。ヨーロッパでは5000万年前、日本では2000万年前の地層からヤマネの化石が見つかっているといわれています。これは、ヤマネが古代に繁栄した生き物であることをさしています。このことからヤマネは、恐竜が滅んで哺乳類が多く出現し始めた新生代の第三紀に出現したということがいえます。

●ヤマネの形態的特長
パッと見たときのヤマネへの印象はおそらく、その小ささ、軽さからも、大体の人は「ねずみ」もしくは「ハムスター」でしょう。また、木の枝を逆さに歩いている姿は「ムササビ」とも呼べますが、ヤマネの顔つきはどちらかというと、「ハムスター」です。しかし、ヤマネとハムスターなどのネズミ類との大きな違いは、尻尾です。ハムスターは尻尾がありませんし、ネズミの尻尾には毛がありません。ですが、ヤマネはモモンガと同様に尻尾に毛が生えているのが特徴です。

●ヤマネの生態的特長
最も目を引くヤマネの生態は、冬眠です。リスなどのネズミ目に属すものも冬眠はしますが、ヤマネの比ではありません。冬眠というだけあって、大体は暖かくなると活発に行動を開始するものですが、ヤマネの場合には半年以上もの間、冬眠をしているといわれています。この生態は、日本のヤマネに限ったことではなく、各国のヤマネにも見られる生態です。この生態から、ヤマネは「不思議の国のアリス」において、「眠りネズミ」として登場しています。

●ヤマネの餌と捕食方法
生きた化石であるヤマネはやはり、生物としては古い生き物であるせいか、盲腸を持っていません。そのため、繊維質の葉物の植物が食べられません。また、クルミなどの堅い殻を持つ木の実なども、それに適応する歯と筋肉を持ち合わせていないために、食べることができません。では、ヤマネはどういったものを食べて生活しているのでしょうか?答えとしては、種子や果実、また花の蜜や花粉、蛾などの昆虫を食べて生活の糧としています。

●ヤマネの繁殖方法
繁殖期は、ヤマネが冬眠から目覚めて約1~2週間後から始まります。そのため、同じ国内においても、場所によっては繁殖時期が違います。ですが、だからといって繁殖行動まで違ったりするわけではありません。繁殖行動から30~39日後にヤマネの赤ちゃんが平均3~4頭、多くて6頭ほどが生まれます。因みに、ヤマネの天命は飼育環境下では最大9年。野生環境下では5年ほどだといわれています。

ヤマネの生息地域と見られる場所絶滅が危惧され、天然記念物として国に保護されているヤマネは、特別な施設でない限りは飼育できないので、一般人がヤマネの飼育に携わることはまずできないでしょう。しかし、だからといって、ヤマネの姿を見ることができないわけではありません。山梨県にある「やまねミュージアム」では、ヤマネについての資料などが展示されており、ヤマネについて知るにはとてもよい場所です。もし、野生のヤマネを見たいと思った場合には、本州、四国、九州などの森林で見ることはできますが、夜行性なのでヤマネについて詳しい人や、夜の森林に慣れている方がいないと非常に危険です。ですので、ヤマネの観察をしたいと思う方は、やまねミュージアムのやまね学校などに参加することをオススメします。

ヤマネの種類日本で一般的にヤマネと呼んでいるヤマネは、正式にはニホンヤマネという日本だけに存在する日本固有のヤマネなのです。ですから、日本に生息するヤマネとヨーロッパなどに生息するヤマネは種類が別なのです。また、そのヤマネによっては飼育が許可されている種類もあり、日本でも海外が原産の外来種のアフリカヤマネなどがペットとして販売され、あまり多くは流通していませんが、飼育している方もいないわけではありません。ですが、あくまでニホンが原産のヤマネ(ニホンヤマネ)は飼育どころか、一般の人では触れることすら許されていないので、その点だけは忘れないでください。

(以上引用終わり)

●付録:Googleでのヤマネ写真集(http://images.google.com/images?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D)、「やまねミュージアム」での写真集(http://www.keep.or.jp/FORESTERS/yamane-diary1.htm)。動くヤマネ(http://www2u.biglobe.ne.jp/~kkohara/yam/YamMovie.htm)。

しかし調べれば調べるほど、不思議なことが多い。「森の妖精とも言われているヤマネ」は人類より古い「2000万年前」以上の先祖を持つ。日本では「林業に携わる人々は、ヤマネを山の守り神として大切にしてきた」(Wikipedia)とも言われている。

そのうえ、「あくまでニホンが原産のヤマネ(ニホンヤマネ)は飼育どころか、一般の人では触れることすら許されていないので、その点だけは忘れないでください」とまで書いてある。そんなヤマネ(と思われる生き物)がどうやってわれわれの前に現れたのか。しかも一度ならず二度も。逃がそうとしたのに、逃げなかった。

お盆を前にした何かのお告げだったのか? それとも本当にヤマネだったのか。

(Version 1.0)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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感想欄

mixiで読んだときにはなんだか複雑な気分でコメントできませんでしたが、今更過去はどうすることも出来ませんので前向きに考えましょう。

知らなかったこと(知らなければならないことではない)が罪ならば世の中全員罪人になってしまいます。

あまり深く考えないようにしたほうがいいと思いますよ。

今回はなぞの虫の正体が分かったこと。


無益な殺生はろくなことが無いこと。
即実行はいいけどいろいろな可能性があること。
などなど芦田さんならもっと深く考えていることと思います。

これだけでも今回の犠牲は大きな意味があったのではないかと…。

投稿者 はとりん : 2007年08月20日 00:24
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