家内の症状報告(84) ― 多発性硬化症ではないらしい(視神経脊髄炎) 2007年02月17日
昨日(金曜日)は、家内の定期検診日。12月に採血した抗体検査の結果が出ているとのこと。今日は面白いこと(?)がわかった。
4年間、「多発性硬化症」と診断され、その治療をやってきたが、そうではない、とのこと。抗体検査の結果、NMO抗体「陽性」(http://www.hosp.tohoku.ac.jp/shinkeinaika/html/nakashima.html)と出た。「NMO抗体陽性」は厳密な意味での「多発性硬化症」ではないとのこと。「突発性再発性横断性脊髄炎」(=「視神経脊髄炎」)ということらしい。現在の多発性硬化症の患者の20%くらいが、この「視神経脊髄炎」らしい。
視神経と脊髄(あるいは視神経か脊髄)に炎症が集中しており、NMO抗体が陽性である場合には、厳密な意味では「多発性硬化症」ではないとのこと。ここ2、3年の内にはこの疾患は「多発性硬化症」とは呼ばれなくなるらしい。
そう言えば、私の家内は脊髄以外には炎症が出ない。
重要なことは、「NMO抗体」が陽性である場合には、ベータフェロンは全く効かないということ。
家内のベータフェロン歴は2年間。その間5回再発している。再発の契機は、ほとんどがベータフェロンをやるようになってからのステロイドの減量。医師たちはベータフェロンをやり始めると必ずステロイドを減量したがる。家内の再発も20ミリ以下に落とし始めると必ず再発している。
一方「NMO抗体」の異常にはステロイドが効くらしい。予防的にも効くとのこと。今頃言われても困るなぁ…。 ステロイドは「予防効果がない」と長い間聞かされてきた。「急性期の治療」と長い間聞かされてきたのだから。
「NMO抗体」の陽性に対しての基本治療はステロイドと免疫抑制剤、および血液吸着と血漿交換らしい。家内は、免疫抑制剤のイムランとプログラフを既に試しているが、イムランは肝機能がダメになり、プログラフは食欲不振と吐き気が続き、投与を断念。昨年11月下旬の退院以来、ステロイド20ミリだけを飲んでいるが、その状態がもっとも調子がいい。元気だ。ほっぺたはいい年をして少しふくらんでいるが。とても「難病」患者のようには見えない。顔だけ見れば、絶対に私の方が病的だ。
担当医師はステロイドをやはり嫌がる先生だったが(それは間違ってはいないが)、今日の「NMO抗体」の「陽性」の結果が出たために、「ステロイドをこのまま続けてみましょう」とのこと。
「血液吸着」(http://www.jyouka.com/text/ss11/adso.htm)に対しては、家内の4年間の治療の中ではもっとも効果がある、と(家内には)自覚できた治療であったが(昨年三回経験している)、担当医師は「予防的な効果はない」と積極的にはやろうとしなかった。
私の個人的な見解では、「血液吸着」を三ヶ月に1回くらいやり続ければ、再発は2,3年は防げるような気がしていたが、なかなか言うことを聞いてくれなかった。それは家内が「多発性硬化症」であれば、正しいことだったのだろう。
しかし今日の「NMO抗体」の「陽性」ということで、「血液吸着やりましょう」と言ってくれた。3月上旬の入院を予約。「血液吸着」は入院治療(6日間入院:一日おきに3回が1クール)になる。免疫不全が一番起こりやすい3月4月に、この「血液吸着」ができれば、この春はなんとか再発なしで乗り切れるかもしれない(4年前の発症も3月。以来毎年春には再発している)。
それにしても、抗体検査は重要だ。私の家内は多発性硬化症の専門医が二人もいる東京女子医大にお世話になっているが(「MSキャビン」も推薦する病院だ)、それでもこの抗体検査をやり始めたのは、昨年の後半から(しかも採血検査自体は新潟大学へ依頼している)。この病院に通っている多発性硬化症の患者50人を一斉に抗体検査にかけたら、7人がMNO抗体陽性と出たらしい。その7人の内の一人が私の家内。
たぶんこの割合程度には、「多発性硬化症」の患者の中に「視神経脊髄炎」=「MNO抗体陽性」の患者が紛れ込んでいるに違いない。治療法を間違ってベータフェロンを打ち続け、ステロイドを減量したとたんに再発。これを繰り返している人たちがいるに違いない。まだ抗体検査をしていない人はぜひおすすめします。私の家内だって、「間違いなく、典型的な多発性硬化症」と言われていたのだから。
※この記事の詳細は、こちらに詳しい→http://www.ashida.info/blog/2007/02/msnmo.html
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