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 家内の症状報告(82) ― 免疫抑制剤「イムラン(アザチオプリン)」服用開始 2006年10月29日

昨日は、学校見学会のあと、家内の病院へ行ってきた。

家内は9月5日以来、東京女子医大に入院しているが、治療法をめぐって2ヶ月弱右往左往している。前回の退院から一ヶ月前後で再入院しているから、再発を予防する治療が成立していない。

今回の(9月5日)の再発は、家内を歩けるか歩けないかではなくて、自力で立ち上がれるか、立ちあがれないかまで追い込んでしまっているから、今度再発したら、一人で生活は困難な(=難しい)状況になる。

したがって、再発予防の可能性をぎりぎりまで検証する必要がある。もちろん再発を予防できるのであれば「難病」とは呼ばないが。

今回の経緯は、4月から始まっている。ステロイドをやめ(3年以上飲み続けてきたが)、ベータフェロンだけにしたら、一気に(一ヶ月足らずで)再発した。1年以上続けてきたベータフェロン(一日おきの注射)が家内にはまったく効かなかったということが(とりあえず)わかった。

多発性硬化症の予防治療で、唯一「エビデンス(効果の科学的な実証に耐える証拠)」があるとされているベータフェロンが効かない。もちろん「エビデンスがある」と言っても薬品会社の資料では20%程度しか再発を止められないことになっているが。

いずれにしても「ベータフェロン」は家内にとっては副作用ばかりで体調を悪くするばかりだった。経口ステロイドを併用していた分、ベータフェロンの副作用が抑えられていたと言うべきか。ステロイドをやめた途端に、再発してしまったのが、今年の6月だ(http://www.ashida.info/blog/2006/06/post_153.html)。

そこで、登場したのが免疫吸着法(http://www.ashida.info/blog/2006/07/post_158.html)。何回聞いても何をやっているのかまだわからないが透析のように一日3時間から4時間かけて身体中の血液を“浄化する”(とりあえずそう説明しておくが、医師はこんないい加減な言葉は使っていない)。それを一日おきに3日間続ける。長崎医療センターの医師がやり始めた治療らしいが、これも「エビデンスがない」。

しかし、家内はこの治療が大変よく効く。身体が軽快になる。感覚異常もまだらにではあるが復活してくる。

この治療は、カテーテルを使って血液全体を身体外の機械の中で循環させるため、化学的な(薬物的な)危険よりは、その操作の過程で加わる不安定要素が障害になる。

一つにはカテーテルを取り付けるときに、下手な医師がやると異物感が強くなって、穴を開けたところが化膿する場合がある。そこから菌が入って…という外在的な危険。カテーテルは、ベータフェロンのような自己注射よりもはるかに危険。

もう一つは、機械の操作を間違ったり、機械そのものが変調を起こした場合には、一気に死に繋がる。

薬品的な副作用はほとんどないが(吸着を行った夜は一晩ぼーっとしているらしいが)、物理的な、人的な危険度が高い。しかも3日間連続で、大きな機械のそばに長時間寄り添わなければならないため、「入院扱い」なしには治療できない(面倒くさい)。

その上、仮に治療の効果が実感できても、急性期治療(再発直後の炎症急性期治療)としてしか女子医大の医師たちは認めようとしない。つまり吸着治療は、再発「予防」にはならないとなぜか考えている。特に詳しい説明があるわけではないが。

そうやってワンクール吸着をやって、8月11日に自宅に戻ってきたが、9月5日に再発(そして現在に至る)。結局「吸着も効かなかった」ということになってしまった。

この段階での私の判断。ステロイドも吸着も急性期治療と医師たちは考えているが、予防の効果があるのではないか、ということ。特に吸着は、1、2ヶ月に一回(面倒だが)反復的に繰り返せば、予防効果があるような気がする。今回の10月の吸着でも家内の体力はかなり復活しており、退院したら「箱根に連れてって」なんて贅沢なことを言い始めている。

ステロイドが予防効果がないというのは、長期服用可能な薬ではないというのがメインの理由になっている(と私は思う)。長期服用可能な薬ではない、ということの根拠は、長期服用では副作用の危険性が一気にあがるから、というものだ。

しかし、なぜか家内の場合、ステロイドはほとんど副作用がない。顔がふくらむくらいだ。この間も「副作用が心配」と言い続ける担当医師の一人にこう質問した。「では、家内の闘病記録、薬物服用記録をいっさい隠して、病理検査(血液検査などの)に回した場合、長期ステロイド服用者と判定される可能性はありますか」と。「それはないですね」とのこと。


あしかけ4年間もステロイドを服用してきて、病理的な痕跡がいっさいないのに、何を考えて「副作用の心配がある」というのだろうか。

吸着治療も「予防」の「エビデンスがない」(あるいは少ない)というのが医師たちの判断だが、私の考えではあんな物理的・化学な治療は、医師としては関心の外なのではないか。少なくとも私が医学の研究者ならあんなことをやって「治して下さってありがとうございました」と患者に言われても嬉しくも何ともない。

だから、ステロイドも吸着も好きではない医師たちから、(最後に)勧められているのは免疫抑制剤「イムラン(=アザチオプリン)」。

ステロイド→ベタフェロン→吸着→イムラン(免疫抑制剤)、と、このように治療選択が進んでいる。イムランの副作用は、一般的には、骨髄障害、肝障害、消化管障害、胎児合併症などがあるが、この程度なら、ステロイドの副作用とほとんど変わらない、ということらしい。極端に言えば、免疫抑制剤は免疫機能そのものを「抑制」するのだから、自己免疫疾患にはもっとも効果的とも言える。ただし他の病気にかかる可能性があるということか。なんだかわけのわからない話だ。だから「難病」。

すでに家内は26日(木曜日)から「イムラン」を飲み始めているが、今日の土曜日の段階でも副作用はまったく出ていない。初期副作用の代表的なものでは、頭痛、吐き気などがあるが、それはまったく出ていない。「イムラン」の症例が一番多いのは、東北大学医学部らしい。ここは多発性硬化症の治療で「免疫抑制剤」使用が一番多いとのこと。家内の東京女子医大でも内山教授(あの、巨人の長島茂雄の主治医)は、家内に対して免疫抑制剤使用を勧めている。

私のささやかな経験では、家内の治療に効いているのは、ステロイド+免疫吸着、この二つしかない。これで、「イムラン」が効けば、ほぼ家内の治療法は“確立”したことになる。あとは、その体制で、効果的な薬剤が開発されるまで、再発をどこまで伸ばすことができるかだ。

何度も思うのだが、「難病」に、どの薬がいい、どの薬が悪いなんてほとんど意味がないということだ。人それぞれ、全部違う。ステロイドの副作用は私の家内にはまったく出ない(薬で抑えているということもあるが)。吸着も、家内の場合、これほどBEFORE-AFTER(=効果)がはっきりする治療はない。長崎医療センターの関係者に報告したいぐらいだ。

だから、医師たちは、もっと個人差に留意すべきだ。効かない場合は、人それぞれですかね、と言いながら、効いている場合は、予防のエビデンスがないというのは、おかしい。前者は個別的な実績、後者は一般的な認知を述べている。「人それぞれ」という原則が貫かれていない。医師はもっと症状変化に謙虚であるべきだ。そうでないと「人それぞれ」と言うことが仕事放棄と同じことを意味することになる。

最近、ミクシィ(MIXI)でたまたま、こんな人に出会った。私とのメッセージのやりとりで、北海道の彼女はこんなことを教えてくれた。「自分はOLしてますが、25年以上前からMSでは無い同じ神経内科領域の難病で25年前からずっとプレドニンやイムランも飲んでます。人間生きていけるものなんですね」。

難病の治療は、こういった症例経験を数多く集めることになる。効果的な薬が開発されるまでは、名医は“症例”でしかない。

(Version 1.0)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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