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 家内の症状報告(73) ― 治療方針の大転換(今さら言われても) 2006年04月20日

今回の再発でもう発病(http://www.ashida.info/blog/2003/03/hamaenco_3_24.html)から12回もの再発をくり返している家内の症状を見かねて、ついに医師“団”が動き始めた。

たぶんあと2、3回再発すれば自力歩行はほとんど不可能になるだろうから、このあたりで医師“団”にも頑張ってもらわないと困る。そこで医師団が出した症状診断と新しい治療方針は以下の通り(参考までに:家内は今回の再発以前は経口ステロイド一日に5ミリグラム、ベータフェロンを隔日注射していた)。

1.経口ステロイドの長期投与の効果は明らかなエビデンスとして扱い得ない。ステロイドの経口投与で再発が抑制されているかどうかここ10年くらい(の世界的な治療経験では)は副作用のほうが増えているだけであることが明らかになりつつある。したがって今後、経口ステロイドは一切使わないことにしたい。

2.ほかの方法(免疫抑制剤、血漿交換など)はそれぞれ権威のある医師達が経験値で判断して勧めている以上のものではなく、これもまだ確かなエビデンスはない。その中で家内にあう方法と思われるものがあるかどうか医師“団”として検討したがどれも有効とは判断しがたい、との結論になった。アメリカの学界などでの最新の報告(医師“団”の数人も参加している)を考慮して、そのような結論となった。

3.今のところ日本でMS(多発性硬化症)の再発を抑えることができるデータが出ているのはベータフェロン(http://www.medmk.com/mm/add/mp_multiple_sclerosis.htm#Betaseron)だけである。前々回の再発のとき、白血球の内容に問題がある(家内は生まれつき白血球が少ない)とみてベータフェロンの量を75%に減らしたままできていることに再度注目してみた。今のところ血液検査の内容にベータフェロンを減らさなければならない副作用は生じていないためもう一度目標量100%に戻して見ることを考えている。その量で2週間おきくらいに外来で血液検査の様子をみながら再発を抑制できているか診断していきたい。

4.今日からでもベータフェロンの量を元に戻すこととする。あとはリハビリを強化。感覚異常の回復をみながら今までの機能をうまく使えるようにすることや腹筋の低下などを回復させること。


さて、長期のステロイド服用で現れる副作用のうち家内に出てきているものは以下のもの。

1.筋力の低下
パルス(点滴ステロイド)がよく効くのに筋力の回復が遅いということ

2.強い筋肉痛の日常化
痛みの原因にはステロイドの長期服用も考えられること

3.白内障
今日の眼科検診で右目に少し出始めていることがわかった(まだ治療するほどのこともないが)。


東京女子医大の最近のMS治療は、パルス(点滴ステロイド)のあとはできるだけステロイドの服用をしないでベータフェロンと対処療法薬だけで再発を抑える方法をとっているケースがほとんど。ほかの病気を併発させないためにも、今回はこの方法をとって治療することとする。

こういったことが、ここ数日の医師“団”の判断として今日集約的に報告された。

MS治療としては日本有数の東京女子医大の医師“団”だから、とりあえず従うしかない。しかし経口ステロイドを3年以上続けてきて、今さら、副作用ばかりだから、というのも承伏しがたいことだ。耐え難い神経痛や筋肉痛についてもっと注視が必要だったのではないかと思うが、今さらそんなことを言っても仕方がない。

私が思うことは、どんな病院のどんな医師団にも派閥や人脈があり、ステロイド“派”もいれば、ベータフェロン“派”もいる。免疫抑制剤“派”もいれば、血漿交換”派”もいるだろう。

そういったときには、大概の場合、 “ヒューマンな”要素が前面化し、治療優先は後に追いやられる場合も多い。研究優先のはずの大学病院ほど“ヒューマンな”要素が優先される場合が多い。患者はむしろ大学“ヒューマニズム”の犠牲者になることの方が多い。

今回の治療決定の経緯では、先の全ての治療法が毎回入れ替わり家内に提案されていた。その結果がベータフェロン重点化だが、私にはもっとも穏当な結論であるように思える。家内の医師“団”はどの医師もMSに関して一家言を持つ専門家ばかりだが、患者優先の決定がなされたように思える。

これからは、ベータフェロンの副作用との戦いになるが、さてどうなることやら。

(Version 1.4)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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