精神分析は医学か文学か 2005年09月27日
ちょっと喧嘩を売ろうと思いまして(笑)書かせていただきました。失礼をお許しください。建築科非常勤講師のUと申します。
本日(9/26)の度重なる授業への第三者による介入を通じて、当blog学校関連記事のハードコピーを入手。初めてこのblogの存在知り、学校関係の記事は概ね、それ以外の記事の幾つかを拝読いたしました。人に聞くお人柄、話し方や用語法などによって形成された予断ーーーつまり、ゴリゴリの形式主義者でアンチヒューマニスト、知識を10項目というように物のように扱えると信じており、優れた手法があればすべての学生が寝ずに授業についてくると本気で信じている理想主義者(モダニストの一面)、といったところでしょうかーーーにより、なるべく直接対話を避けようとして参りましたが、読んでみて非常に意外でした。散見される辛辣な言葉が人に誤解を与えがちではあるものの、注意深く読めば(それほど注意深くなくてもストレートに伝わってきますが)そういった発言ですら学校に対する愛情ゆえのこと。こんなに熱く、真っ当な方だとは思いもしておりませんでした。私は大きく誤解をしていたようです。
そういう驚きを伴う(再)発見の後でさえ、本日の介入については未だウンザリ感を捨てきれておりません。連続している時間を切り取り、その一瞬の現象のみを取り出し、特定のクライテリア(倫理なり、常識なり、自身が構築した理論や論理、用語法の体系、あるいはそれらの複合体)によって意味付けし、それをもって断じた結論にすぎないにも関わらず、監視カメラが客観的な事実を観察者(おかげでしばしば超越的な存在であると自らを誤認することになる)にもたらしてくれると人は信じています(ちょっと授業を覗いてみた、というのもカメラレスの監視カメラだということも言うまでもありませんが)。
介入のあった鉄骨造オフィスビルという課題ですが、初回の授業の結果は最悪でした。対象が学生諸君の経験的世界の外にあり、想像や類推が働かない。我々の想像を遥かに超えて働かない。我々はもっとも設計のできる学生さえ「何をやったらいいのかわからない」と発言し課題を提出しなかったことに対して非常な危機感を覚えました。手法にしたがって滞りなく、授業を進めるといったレベルの話ではないのです。1回目の惨憺たる結果を受け、A組みB組が分かれておこなった2回目の授業では、A組生徒に対し「個別対応」を行い、私との個人的関係において次回提出の約束をするという「ヒューマンな」手法をとりました。介入のあった本日の授業(3回目)は、個別に提出させ、我々2人が雁首をそろえ、作品批評だろうが講評だろうが、主観だろうが印象批評だろうが、一人一人にコメントし、緊張感を与えて、そのままずるずるとほぼ全員がついてこれなくなるという事態を食い止める。そのためには終わった人たちをほおっておくのもやむなし、という判断です。これはモチベーションのコントロールであって、教育でも評価でもありません。寝ている学生を起こすことが仕事であるならこれもまた仕事、一人の何度起こしても寝続ける学生を起こすよりよっぽど大きな仕事です。
鉄骨造のように(2年目ですが)新しい課題を導入し、そこにある色々な不完全さ(課題条件の未成熟、現実的とは言いがたい解答)や課題そのものに対する反応によって軌道修正していかねばなりません。幸か不幸か私はほぼ常に「去年と違うやりかた」の実験台になってきました。毎年同じことをやって毎年ブラッシュアップするといった、美しい手法の世界とまったく異なる世界です。器用でもないし、準備時間もそんなに掛けられませんが、そこそこやってきました。想定されている理想とはだいぶ異なるでしょうが。私的には、立っていようが座っていようが、私が状況に応じて判断したいと思っています。どこにどんな風に座るのが他でもない私と学生との距離感としていいのか、についてもです。それが想定された理想像と異なっているとかいないとかが重要だとは思えません。
と、ここまでぶちまけましたが、私は理想が不要だとは言っていません。ユートピアはそれを考えた当人以外にとっては地獄ですが、「にもかかわらず」ユートピアは投企され続けねばなりません。これはワールブルクインスティチュートのロウの考えの受け売りですが。
当blogで、もうひとつ意外だったのは学校関係の記事にほとんど返信がなかったことです。怖いんでしょうか。それもあって、書くことにしました。うまく意味が伝われば、一つの議論になりますでしょうし、そうでなく逆鱗に触れただけであれば恐ろしい結果が待っていそうです(笑)。
なお、この記事に返信したのは1088の記事が介入の背景にあるからではないか、と想像したからです。長文失礼いたしました。
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