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 民主党はやっぱりおかしい ― マニフェスト郵政論批判 2005年08月17日

民主党のマニフェストが今日(16日)出たが(http://www.dpj.or.jp/seisaku/sogo/image/BOX_SG0062_kakuron.pdf)、全部で32ページあるマニフェスト文書の中で、郵政改革に関わる記述は1ページにも満たない(17ページ〜18ページ)。

内容は以下の通り。

(1)現在340 兆円ある郵便貯金と簡易保険を適正規模に縮小します。

 ①2006 年度中に郵便貯金の預入限度額を700 万円に引き下げます。

 ②同時に、名寄せを徹底し、預入限度額を超える分については個人向け国債などに振り替えます。

 ③その後、預入限度額をさらに500 万円に引き下げます。

 ④8 年以内に郵便貯金220 兆円を半減させることを目標とします。

以上は原文のまま。これですべてだ。これを民主党は郵政「徹底縮小論」と呼んでいる。バカな政策だ。郵政事業に関わる公務員の6割〜7割が郵貯・簡保の職員だから、これだけの縮減を本当に実行したら、郵政公務員の削減に言及しなければならないが、それについての言及は一切ない。

国家公務員給与を、3 年間で「2割削減する」とは言っているが(32ページ)、それは総額であって(しかも国家公務員に限られているが)、「総額」である限り、郵政公務員を温存する、と言っているのと同じだ。あるいは温存のための2割削減でしかない。仙谷由人(http://www.nmt.ne.jp/~sengoku/)などは政調会長のくせに、団塊の世代の退職(人員の自然減)によって、その問題はこなせるなどとも言っているがふざけた楽観論だ。それもこれも全逓の公務員を温存するための楽観論にすぎない。

そして、この8章「郵政改革」の最後の第5節は以下のようになっている。

「(5)郵便貯金・簡易保険を適正規模に縮小した後は、政府系金融機関との統合も含め、あらゆる選択肢を検討します」。

結局、何も言っていない。「あらゆる選択肢」ではなく、郵政三事業に関わる公民をゼロにする、というのが小泉改革であって、郵政縮減は本来は公務員をゼロにするという選択でしかないのに、そのことには一切触れない。「縮小した後は、(…)あらゆる選択肢を検討します」ではなくて、縮小=人員削減でしかないだろうに、総額2割の給与削減では意味がない。

そもそも削減による人員整理が大変だから、(郵政事業の規制を撤廃しつつ)民間でその人員を受け止めてもらおう、というのが「郵政民営化」ということ。「民営化」の根本問題は、経済活性化にあるのではなくて、公務員の引き取り手をどう形成するのか、ということでしかない。

したがって、「民営化」なしに縮小論をうたえば、ほころびはあちこちに出てくる。それが民主党の今日のマニフェストだ。このマニフェストには、コストにかかわる「削減」という言葉は何度も出てくるが、人員の削減(公務員の削減)は一切出てこない。議員の削減は出てくるが、こんな微少な歳出削減は現在のところ政策ではなく倫理でしかない。小泉改革の民営化=人員削減論の方がはるかにラディカルだ。こんなことで、本当に民主党に「新しい政治」が切り開けるのか?

蓼科(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=1063)で始まった私のお盆休みも今日で終わりだが、この休みの後半のほとんどは、自民党、民主党の若い議員たち(小泉首相に今月クビにされた前職の議員たち)との議論で明け暮れた。何の関係もないのに残暑で忙しい一ヶ月になりそうだ。9月11日が楽しみだ。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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