心の台風が来る … 2004年10月09日
台風がやってくる。交通機関が途絶えたり、大渋滞が起こったり、小事件は絶えない。駅や空港で足止めされ、掲示板にじっと見入る人たち、水陸両用車のように走り続けようとしている車、「オレンジの河」のような渋滞路、そういった風景がテレビに映し出されるたびに思うことがある。高校生か20前後の若いカップルの、初めてのデートの日が今日の台風の日に重なり、家族に「なんでこんな台風の日に外出するのよ?」と言われながら、たしかに、と心の中では思いつつも、わけのわからない理由をつけて家を飛び出てほっとしている若者たちがきっといるに違いない。家を出るには出たが、デート先で帰る電車がない。渋滞して(あるいは通行禁止で)、“門限”が迫る。土砂降りの雨や強い風、暗闇の殺気など全く気にならないくらいに心は熱いのに、急に不良になったような罪悪感が全身を襲う。今日もどれだけの若い恋人たちが、胸騒ぎの家族脱出、胸騒ぎの帰路を体験しているのだろう。台風の災害は自然災害ばかりではない。若者は存在自体が災害だ。
投稿者 : ashida1670 / この記事の訪問者数 :
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