江川はくだらない ― 昨夜の日本テレビと野球界騒動 2004年09月12日
野球界がさわがしいが、私は直接の当事者たちの発言よりもまわりの野球解説者(選手上がりの)の発言の方が気になる。この人たちの発言を見ていると、将来の(近々の)監督候補者が誰なのかがわかる。選手会寄りの発言をしている(一見ラディカルな)解説者たちは、もはや監督復帰が不可能な(才覚の摩滅した)、影響力の全くない完全リタイヤ組だし、「選手会にも問題がある」と言う人たち(自分自身の意見を言わず、「良く話し合いをして欲しい」と言う人たち)は、監督になる(なれる)ことを意識している人たちだ。
いつの世の中でも、「ラディカル」というのは、社会的な影響力がないということとほとんど同じなのである(だから「社会を変える」というのはほとんど矛盾概念なのだ)。案の定、昨日の日本テレビのニュースでの江川の解説はひどかった。野球解説では、なかなかシャープな解説をする江川も、今回はくだらないことを言っていた。
彼が言ったのは以下の三点(江川は、意見があれば私=日本テレビへ意見を下さいとまで最後に締めくくって以下の3点を指摘した)。
1)合併反対にこだわるな。
2)むしろ選手たちの、合併後の会社での雇用確保の要求をしろ。
3)ストライキはシーズンオフにやれ。夢を売る仕事である野球人は野球に集中すべきであって、シーズン中には労使交渉を表沙汰にすべきではない。
1)と2)とは明らかに矛盾している。二つのチームが一つになれば、雇用の確保なんてできない。労働組合としての選手会もそのことを気にしてこそ合併に反対しているのだから。
3)は、話にならない。ストライキというのは、それをやると労使ともに一番被害が大きいときにこそもっとも効果があるのであって、優勝がかかるこの時期にストライキを打つことは、ストライキの意義そのものに関わっている。
10年ほど前のアメリカプロ野球の選手たちのストライキが長期にわたってファン離れを起こしたのは、その理由が契約交渉(給料をもっとあげろ)に関わっていたからであって、今回のような100万人を越えるファンの署名支援を受けてのストライキとはわけが違う。
1)と2)とが矛盾しているのだから、江川は、選手会を全く支援していない(選手のことを考えていない)。たぶんもはや管理職気取りで、監督になりたいと思っているだけだ。現役の監督が「よく話し合いをしてほしい」と言い留まっているのも同じ現象。「江川よ、お前もか」ということだ。
そもそも、ファンの野球への「夢」を優先させずに自分の「エゴ」で巨人に入ったのは誰だったのか。私は野球が「夢を売る」仕事だなんて全く思わないが、でもそう言うのなら、江川がそれを語る資格はない。私は江川の、直球とカーブだけの本格派の投法は嫌いではなかったが、中畑と違っていつもの野球解説が理路整然としている分、動機の見え隠れする筋の通らない選手会批判は不快そのものだった。要するに江川もまた普通のおじさん(=エライ人)になった、ということだ。
私自身は、1)については賛成だ。1)と2)とを矛盾なく言うためには、新規参入を自由化しろ、ということでしかない。新規参入会社をこの際積極的に募集して雇用を確保しろ、あるいは新規参入会社が出てくるまでは合併を認めないという要求を出すしかない。新規参入会社がもし1社でも出てこなかったら? そのときにこそ、野球界の将来はないと考えればいいだけのことだ。選手たちは転職を考えた方がいい。それだけのことだ。こういった問題は、ファンがいるいないというマーケットの事実の問題ではなくて、商売になる、と考える事業家がいるかどうかがすべてだ。
そもそも、毎日毎日NHKまでもが何時間も使って野球試合結果や野球をとりまく状況を放送しているのだから、こんなにありがたい広報媒体はない。特に中堅の会社(実力はあるがブランド力はない会社)が知名度を高めるのには最適な媒体であるはずだ。ライブドア(http://corp.livedoor.com/)も確かにその一つなのかもしれない(私自身あの社長は嫌いだが)。もっと大きな会社のいくつかも推移を見守っているはずだ。野球業界の保守的な体質や保守的なルールを見越して手を出さなかっただけのこと。そこを打破さえすれば、雇用確保なんて簡単なことだ。
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