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 絶対に貸さない。 2004年06月29日

自宅に帰ったら、息子の太郎が、紙にメモった文字を読みながら、突然、フロムの『自由からの逃走』(http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3aefc10412c880103cc4?aid=&bibid=00085082&volno=0000)、アドルノの『権威主義的パーソナリティ』(http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3aefc10412c880103cc4?aid=&bibid=00181204&volno=0000)、リースマンの『孤独な群衆』(http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3aefc10412c880103cc4?aid=&bibid=00085348&volno=0000)は、「家にある?」と聞いてきた。フロムもアドルノもリースマンももちろん彼は聞いたこともないふう。学校の授業(「政治学」)で先生からすすめられたらしい。実際には、「自由からの逃走」(息子)、「フロムか」(私)、「権威主義的」(息子)、「パーソナリティ、アドルノか」、「孤独な」(息子)、「群衆、リースマンか」、とまるでクイズのように会話した。「たしか全部、英語、ドイツ語の原書もあるよ。読む?」と家内が(イヤミな)解説。

そもそもフロムの『自由からの逃走』を推薦図書にあげるくだらない教授だったら、あとに続けてあげる図書もほとんど想像できる。かわりに(もっといい)講義の一つや二つは(自慢じゃないが)できる。「家にある?」、なんて失礼なことを私に問う。そんな図書くらいなら捨てるくらいにある。「貸してやるけど、つまらないよ」と私(みんな趣味の悪い心理主義なのよ)。私が息子の年代なら、真っ先に読むのは、フーコー(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%BC)の『言葉と物』(http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3aefc10412c880103cc4?aid=&bibid=00335385&volno=0000)だ。これ以外にはない(あとは、埴谷雄高http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/1105/haniya.html の『幻視の中の政治』http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_result_book.cgi/3aefc10412c880103cc4?aid=&srch=2&st=&ol=%B8%B8%BB%EB%A4%CE%A4%CA%A4%AB%A4%CE%C0%AF%BC%A3&ti=&au=&pb=&isbn=&idx=2&gu=&s1=za&dp=10&pby=&pbrg=2&age= くらいか)。

しかし、息子も私の持っている本を読む年代になってきた。感慨一入だ。たぶん、経済学、政治学、社会学、哲学の大学生(か修士課程の学生)が読むくらいの本は私の家の中にすべてある。でも、大切な本は息子には絶対に貸さない。自分で買えよ、と必ず言うに決まっている(現にそう言った)。だから、一番好きな(その3人の中でなら)リースマンだけは貸さなかった。アドルノやフロムなんて今となってはどうでもよい。アドルノは硬派ファシスト、フロムは軟派ファシストだ。

最近、息子はリビングテーブルの椅子に座ると家内の話を聞くふりをしながら(家内の方を見ないで)、私の書棚を見続けているらしい。家内は、「何か(自分と話すのを)照れているのかな」と自分勝手に思いこんでいたらしいが(何と平和な家内であることか!)、そうではなくて、学校で話題になった図書がありそうな気配を書棚に感じているらしい。たぶん、すべての本があると思うよ、太郎君。でも貸さない。金をもらっても貸さない。iPodのMP3ファイル(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=305)は貸しても、ジェニファーロペス(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=312)のDVD(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/dvd/B00008DYYV/similarities/ref=pd_sim_dp_list/250-6074418-8544204)は貸しても、本だけは貸さない。本は私の魂だ。

投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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