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 私の iPod に入っている3500曲(3) ― 番外編 2004年06月02日

未だにiPodのことを「なんのことかさっぱりわからない」という人がいるので、中高年向きに解説しておきます。私は、この“機械”は中高年のためにこそあると思っていますので、真剣に解説します。というのも若い連中なんて、聴きたい音楽は、若いからこそ大した数がないからです。その分、思い出も少ない。18歳の私の息子なんて、「そんなに聞いてどうするの?」と全くiPod に関心を示しません。10代、20代、30代、40代、50代(さすがにこの年代は私にはこれからですが)に聞いていた音楽をすべて自由に聞き出したいと思うと、iPodのようなプレイヤーしかない。

そこで、iPod(http://www.apple.co.jp/ipod/)とは何か?

 1)まず音楽専用のコンピュータだと思ってください。

 2)通常のコンピュータと違うのは、大きさが小さい(http://www.apple.co.jp/ipod/specs.html)。縦104.1ミリ×横60.9ミリ×厚さ15.7ミリ。縦横はカセットと同じ。厚さは1ミリくらいiPodの方が大きいのですが、ほとんどカセットと同じ大きさと思ってください。重さは158グラム。スーツの胸ポケットに入れてもギリギリ気にならない重さです(スーツも型くずれしないギリギリの重さ)。

 3)さて、音楽のデータはHDD(ハードディスク)にデータとして記憶させます。私のiPodは、20GB。iPodには15GB、40GBと他に二種類ありますが、もちろん15では少ない。40GBは176グラムと重いし、厚さも厚い(3ミリほど厚い)。

 4)20GBといえば、一昔前のパソコンの大記憶容量でしたが、iPodはカセットテープの大きさにそんな大きな容量のHDDをもっています。というのも音楽データはかなりの容量を食うからです。私の3500曲は、15GBくらいのデータ量があります。

 5)さて、どうやって、CDデータをiPodのHDDに落とすか。これには、2段階の作業が必要です。

 6)まず、CDデータを(パソコンのCDドライブを通じて)パソコンのHDDに落とします。CDドライブをもっているパソコンならほとんど例外なくHDDに落とせます。そのためには、前にも触れたようにiTuneのような音楽ファイル作成の専用ソフトが必要になりますが、iTuneは無料でインターネットから落とすことができます(http://www.apple.co.jp/itunes/download/index.html)。このソフトは大変優秀ですから、ダウンロードをおすすめします。次にそのパソコンのHDDに形成された音楽データをiPodのHDDに読み込むわけです。この経緯は後でまた触れます。ここでは音楽CD→パソコンのHDD→iPodのHDDということだけを頭に入れておいて下さい。

 7)音楽ファイルには、色々な種類があります。音楽データは映像データと同じように大容量データですので、圧縮して記録する(エンコードする)のが通常で、その圧縮の仕方に応じて色々な形式がありますが、私はMP3(http://www.cdwavmp3.com/)という一番スタンダードなファイル形式に圧縮して記録しています。もちろん圧縮率は、同じMP3ファイルでも、たとえば、128kbps、160kbps、190kbps〜320kbpsというように圧縮率を変えることができます。

 8)圧縮率をあげればあげるほど、小さな記憶容量にたくさんの音楽を記録することができますが、逆に音質は悪くなります。微少データを飛ばして記録するからです。iTuneでは128kbpsを「標準音質」、160kbpsを「良音質」、190kbpsを「高音質」と一応区別していますが、まともなオーディオシステムで聞く気なら300kbps以上が必要です。でも昔のウォークマンの音質で満足しているのなら、128kbpsの「標準音質」で充分です。私自身は3500曲の内、2000曲くらいは128kbps、1000曲くらいは160kbps、500曲くらいは190kbpsで記録しています。その全体の記憶容量で現在15GBくらい使っているということです。

 9)私の経験では、圧縮率は(今なら)200kbps以上くらいで記録しておいた方がいいと思います。というのもHDD容量はどんどん大きくなっていくだろうからです。2年前のiPodの20GB版の大きさは、今のiPodの40GB版の大きさ(重さ)とほぼ同じです。HDDはどんどん大容量になっていくし、その逆にプレイヤーはどんどん小さく軽くなっていく。そのときに、圧縮率をあげて、低音質でCD枚数を稼ぐよりも、高音質で記録して、将来の大容量化に備えたほうがいい。

10)だから、3000曲なんて私は聞かないという前に、そんな人(そんな若い人)は、高音質で圧縮率をさげて記録すればいいのです。すぐに20GBなんて使ってしまいます。そうするとCD並の高音質で記録が可能になり、音質にうるさい人もレンタル屋通いだけで済むことになる。カセットテープ並の小さな機械から、CD並みの(本当はCD並とはいきませんが)きれいな音が超高級スピーカー(たとえば、JBLhttp://www.harman-japan.co.jp/products/jbl_cons/jblcindx.htmやタンノイhttp://www.geocities.co.jp/Hollywood/4518/など)から出てくるとちょっとした感激ものです。

11)さて、大切な話を私は忘れています。パソコンのCDドライブに音楽CDを入れるとiTuneは、自動的に立ち上がり、パソコンのどのドライブに記録するのか設定が必要になります(放っておくとMy Document のMy Musicフォルダに記録されます)。このときに、記録する場所はパソコン本体のドライブ(あるいは拡張ドライブ)になります。決してiPodのHDD(ハードディスク)に直接には記録できません。したがって、たとえば20GBのiPodを楽しく使おうと思えば、iPodとは別にパソコンのHDD容量が20GB以上余っている必要があります。

12)私は、BUFFALOのP40U2(http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/catalog/item/h/hd-pu2/index.html)というiPodより少し大きな持ち運びタイプのHDD(容量40GB)をMP3専用HDDとして使っています。これなら、今後2年間程度は、iPodのバージョンアップ(というかMP3の様々な利用用途)に対応できるでしょう。

13)CDからパソコンのHDDに落としたMP3音楽データをiPodのHDDにふたたび“転送”するという仕方で、iPodはやっとCDの音楽を“演奏”するようになります。

14)iTuneというソフトは、基本的には、?CDからパソコンのHDDに落とす(圧縮エンコードする) ?パソコンのHDDに記録されたMP3データをiPodに転送するという二つの働きをします。

15)面倒なようですが、音楽CDからパソコンのHDDに落とす時間は、ほぼ一曲1分。CDドライブの性能やCPUの性能に影響されますが、ほぼ1分以内です。その一曲データをiPodに転送する時間は1秒から3秒。これもパソコンの性能にもよりますが、その程度です。私はこの作業はほとんど苦になりませんでした。それよりも何十年も集めてきたCDや100円でレンタルしたCDが小さなHDDにどんどん収まり、それがiPodで再生されることの方がはるかに快感だったからです。

16)今後、iPod+iTuneとおさらばするときでも、音楽CDをMP3ファイルにしておけば、どんなプレイヤーが出てきても、瞬時に自分の何十年間ものライブラリを集約して利用できるし、たとえば、カーオーディオやカーナビゲーションシステムのMP3ファイル使用などにも一気に転用できます。

17)最近は、この流れを加速するような動きがいくつも出てきています。アルパインのカーオーディオは、iPodを外部デバイスとして組み込む製品を出してきました(http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040528/alps.htm)。パナソニックのカーナビ(http://panasonic.jp/car/navi/products/HDS950_900/index.html)は、パソコンで作ったMP3ファイルをSDカードを通じてナビ本体にコピーして、FM波で楽しめます。SONYのカーナビ(http://www.sony.jp/products/me/xyz/tanoshii/index.html)もMP3ファイルに対応しています。

18)ところでiTuneは、単に記録や転送のための道具ではありません。たとえば、(前にも書いたようにhttp://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=305)一曲一曲に好みの5段階(★一つから★五つ)を設定して、それを自由に取り出せます(iTuneではそれを「マイレート」と呼んでいます)。「五つ星」だけを演奏するリスト、「三つ星以上」を演奏するリスト、心に余裕のあるときには「二つ星以上」を演奏するリストというように自由にリストを作り出すことができます。あるいは、「ドリカム&松任谷由実」なんてリスト(ちょっと古いか?)、「1990年以前の松任谷由実」というリストもできます。要するに複合検索や条件検索をかけるようにして、その条件にあったリストを自由に作り出すことができます。

19)iTuneは、こういった演奏リストをかなり詳細に設定できます。前にも書きましたが(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=305)、HDDプレイヤーは、この演奏編集が自由にできないと意味がありません。なんといっても記録されている楽曲が1000曲を超えるとアナログ的な選択は意味がないからです。

20)たとえば、「シンデレラ」と検索すると、私のiPodには、高見知佳のデビュー曲の「シンデレラ」、松任谷由実の「シンデレラエクスプレス」、鈴木聖美の「シンデレラリバティ」の三曲が入っています。この場合でも「シンデレラ」という言葉について、iTuneは、「(シンデレラ)を含む項目」「(シンデレラ)を含まない項目」「(シンデレラ)の項目(完全一致)」「(シンデレラ)ではない項目」「(シンデレラ)で始まる項目」「(シンデレラ)で終わる項目」というように何と6つの検索指定ができます。高見知佳の「シンデレラ」(前後に何も付かないシンデレラ)だけを捜したいときには「の項目」を選択して検索をかければいいわけです。

21)あるいは、選択内容も「曲名」「アルバム名」「アーティスト名」はもちろん、「発行年」「再生日」「ビットレート」「マイレート」など多彩に選べます。

22)私も長い間、“マイベスト”を作り続けてきました。古くは、2トラック38(2トラサンパチ)の10号オープンリールに集約したベスト。カセットテープのベスト。DATテープのベスト。CD-Rのベスト。しかしベストは何度も聞いていると飽きてしまいます。だから、ベストは何度でも作り替えること自体がベストなのです。作ること自体がベストなのです。編集自体が楽しい。

23)今日も、週末から今日まで一時帰宅していた家内を病院に戻す間に聞く曲を瞬時に編集して以下の曲リストを作ってみました。iPodを車で使うには、iTrip(http://www.focal.co.jp/product/griffin/itrip2/index.html)を使えば、すぐにFM波で聞けます。車中で家内を病院へ送るためのたった一日のためだけのBESTです(なお家内は今週の土曜日に10ヶ月ぶりに退院します)。こんな“きわどい”マイベストは、iPodでしか作れません。この曲のすべてを知っている人は私くらいでしょう。

あなたからF.O.  沢田聖子

ラメ色のデカメロン 中島めぐみ

まちぶせ 三木聖子

線香花火 さだまさし

待つわあみん

シンデレラ 高見知佳

初恋のメロディー 小林麻美

砂漠のような東京で いしだあゆみ

よろしく哀愁 郷ひろみ

SOMETHING 'BOUT THE KISS  安室奈美恵

東京 マイペース

愛の挽歌 つなき&みどり

サヨナラ模様 伊藤敏博

青いスタシオン 河合その子

愛・おぼえてますか 飯島真理

タッチ 岩崎良美

24)何度も言いますが、したがって、iPodが一番楽しめる世代は、学生時代にウォークマン文化の創生期を体験したわれわれの世代(1950年代生まれ)です。先の私の一日ベスト16曲、私以外の年代の誰が作れるベストでしょうか。「砂漠のような東京で」(いしだあゆみ)から「SOMETHING 'BOUT THE KISS」(安室奈美恵)までは約30年の時が刻まれています。これを「シャッフルプレイ」(再生する順番を無限に任意再生するモード)で聞くと5年10年単位でタイムトラベルがジェットコースターのようにできる。こんな観念的な旅行は、どんな実際の旅行にもまして楽しいものです。

25)50代に突入する仕事的にも体力的にも悲しいお父さんたち(私も含めてのことだが)、壁掛け大画面テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラなんて、流行のデジタルグッズに手を出してはいけません(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=291)。手を出すなら、iPod=iTuneです。出費も一番安く済む。そしてTSUTAYA(http://www.tsutaya.co.jp/index.zhtml)に一ヶ月くらい通って、片っ端から自分の中学時代からの楽曲をiPod=iTuneに取り込みましょう。小中学校時代のアナログレコードのほとんどすべてはCD化され売っています。AMAZON.COM(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/browse/-/561956/ref=cs_tab_b_1_7/250-0832954-4855435)で、検索をかければ、石川ひとみではなく、三木聖子の「まちぶせ」(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006G8VH/qid=1086104872/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-0832954-4855435)、柏原芳恵ではなくアグネスチャンの「ハローグッバイ」(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/music/B00005EWOL/samples/ref=ed_sa_dp_1_1/250-0832954-4855435)も簡単にCDで見つかります。これで、どんな大病にかかっても死ぬまで飽きることはありません。「シャッフルプレイ」は、人生の始まりと終わりを何回も組み替えて生き直させます。iPod=iTune を若者に使わせてはいけません。若者は、iPod=iTuneにおける音楽の編集と「シャッフルプレイ」の意味が絶対にわかったりしません。

投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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