症状報告(45) ― 帰ってきました。 2004年02月27日
ただいま、家内が昨年9月2日に三度目の入院をして以来、6ヶ月ぶりに自宅に帰ってきました。とは言っても“退院”ではなく、退院に備えた週末に限っての準備退院です。自宅での生活にまず馴れないことには、一気に退院とはならないので、自宅でまずどれくらい動けるのかを試すための一時退院です。
「自宅内で使える車椅子を買って欲しい」「歩行器は住宅内では段差が多いからダメ」などと本人は不安がっていましたが、私からすれば、「自宅内で車椅子なんてとんでもない。はばき(幅木・巾木)や壁がボロボロになる」と職場の学校で、先生たちには言っていました。
そうすると建築科の先生が「はばきというのは、あたってもいいように(壁がボロボロにならないために)存在しているのですよ」と丁寧に教えてくれたが、「そんなこと知ってるよ。でもはばきも室内グレードの大事な要素だよ。それが傷つくなんて耐えられない」(私)。「奥さんと“はばき”とどっちが大切なんですか」(先生)。「はばきに決まってるでしょ」(私)。「また、そんなこと言って(冗談でしょ)」。まんざら冗談でもなかった。というより、自宅内で車椅子を使わなくてはならないような状態で、返すなよ、というのが私の偽らざる心境だった。退院時には室内くらいは歩ける状態でないと話にならない。
どうなることやらと思ったが、実際には、車から降りてマンションの8階の自宅玄関までは車椅子。玄関から室内に入ってからは、車椅子を自分から降りて、一人でリビングの椅子まで辿り着いていた(その間、私は、家内を玄関に一人置いて車を駐車場に移動していた)。たいしたものだ。
その後もリビング、トイレ、寝室と車椅子なしで本田のアシモ(http://www.honda.co.jp/ASIMO/)のように歩いていた。とりあえず、一安心。しかし、こういった自立的な室内移動は、病院でもやったことのない歩行(病院では、移動の際は歩行器か車椅子か看護婦を必ず伴っている)。たぶん、足も筋肉もびっくりしていることだろう。あまり調子に乗ってやるとしっぺ返しに会う。こうやって徐々に馴らすしかない。つまり一時退院は、一番効果のあるリハビリだということだろう。
6ヶ月ぶりの自宅で、家内はまるで修学旅行の先の旅館に入り込んだかのように室内を見回していた。食事は(もちろん私が作るしかないので)いつもの簡単な水炊きだったが、一人でしゃべり続けていた(私も息子の太郎も二人きりのときにはいつもは少しはしゃべるが、このときばかりは黙って食べ続けていた)。家内は不安と興奮で、泣く暇もなかったようだ。29日(日曜日)の昼にまた病院へ戻ります。
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