経済産業省の仕事 2003年10月13日
神戸の出張の準備で忙しい火曜日(7日)、広報担当の新人採用面接(4人中1名の採用)の最中に、宮城大学の久恒啓一(http://www.hisatune.net/)氏から「こちらからも再度電話しますが、よければ電話下さい」と何やら急ぎのメモが差し入れられた。
急いで電話をすると、経済産業省のプロジェクトで、大学生新卒人材の、産業界から見た人材像指標を作るプロジェクトが始まるので、そのメンバーになって欲しいとのこと。「そりゃ、面白い。いくらでも協力します」と二つ返事だった。「芦田さんと一緒に仕事ができるなんて楽しみにしていますよ」なんて言われるとますますその気になってしまう。おだてるのがうまいよ、久恒さん。
あとから送られてきたFAXを見ると、正式な名称は「産業界から見た大学の人材育成評価に関する調査研究」。事務局は日本総研。
このプロジェクトの座長は野田一夫(多摩大学 名誉学長)。委員は、久恒啓一(宮城大学教授)、玄田有史(東京大学社会学研究所 教授)、大久保幸夫(リクルート ワークス研究所所長)、中島豊(ギャップ ジャパン株式会社 人事部長)、高橋俊介(慶応大学大学院政策・メディア研究科 教授)、それに私を加えて計7名。
このプロジェクトの目的は、文科省の大学評価や人材評価(の教育的視点)とは異なる「産業界から見た」人材評価という点である。最終的には、「産業界が望む統一的な能力評価方法を検討する。具体的な方法としては、全国規模の統一テスト」までを想定した指標作りが課題になっている。要するに産業界からの大学評価を行う、ということだ。
プロジェクトの概要は以下の通り(私風の超簡略化したまとめ)
1)企業による若手社員及び大学に対する評価・人事アセスメント評価(戦前型の大企業、戦後型の大企業など100社程度のアンケート、およびヒアリング調査を行う)
2)若手社員による出身大学の評価(満足度)調査
3)大学に対する事例調査
4)アメリカにおける大学評価に関する先進事例調査
5)産業活動の視点における大学評価指標の作成
6)経営者ヒアリング:北城恪太郎(日本IBM代表取締役会長)、御手洗富士夫(キャノン 代表取締役社長)、丹羽宇一郎(伊藤忠商事 代表取締役社長)、鈴木敏文(イトーヨーカ堂 代表取締役会長)などに人材像についての経営者ヒアリングを行う。
以前にも官庁の仕事として、「IT化に対応した職業能力開発研究会」(メンバーは、他に東京大学社会学研究所の佐藤博樹教授、横浜国立大学工学部の河野隆二教授、日本オラクル企画部長の小山弘樹氏、三井情報科学の取締役事業部長の本田実氏、私を含めた計5名で構成されている。このときの事務局は三和総研)という旧労働省の仕事(2000年秋)をしたことがあったが(http://www.ashida.info/trees/trees.cgi?log=&v=185&e=msg&lp=185&st=0)、これで2回目の仕事だ。
前回は労働省ということもあって、失業者の再教育というのが主要な課題だったが、今回は、教育目標や成果に関わる指標作り、ということで、私の仕事そのものだ。毎年この時期になると予算案を作成するために官庁は色々なプロジェクトを形成して予算獲得に知恵を結集する。これもその一つだ。
要するに神戸セミナー(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=207)の「自己点検・自己評価」の経済産業省版を作ればいいということになる。専門学校は、文科省よりも場合によっては経済産業省に近い教育をするべきであって、その意味でも、この仕事は私に向いていると言える。委員会は3回開催される予定ですが、随時この場でレポートします。
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