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 新幹線、品川駅停車に私は断固として反対する。 2003年10月01日

 今日から新幹線が品川に止まるようになった(14:30から21:00まで休みなく続いた長い会議のあと帰宅したらニュースが大々的にそれを取り上げていた)。大反対だ。

 

私も京都出身だから、東海道新幹線は利用する(今では2、3年に一度しか実家に帰らないが)。関西出身の人間なら誰にでもわかることだが、帰省でどんなに疲れていても、品川駅から田町、新橋、有楽町と新幹線『ひかり』がなめていくように緩やかに滑走していくときに、都市で仕事をする魂が蘇ってくるのを私はいつも感じる。私だけではないはずだ。

 下車のために慌ただしく準備をする乗車客の顔を見ていると、なぜかその顔が凛々(りり)しい(私はそれを見定めるようにいつも最後に降りる)。真抜けた顔をしていびきをかいていた(いかにも仕事ができないように見える)おじさんもなぜか凛々しく見える。品川駅から東京駅への5分から10分くらいの間に、みんな「ビジネスマン」になって蘇っていく。これが都市だ。品川駅から東京駅への区間は都市生活者の洗礼の区間なのである。そのためにも新幹線はこの区間を徐行するのだ。

 わかっちゃいない、JR東海。私は絶対に品川では降りない。自宅との距離にかかわらず絶対に降りない。品川で降りる乗客はたぶん東京出身の人間か、〈都市〉とは何かをわかっていない人だ。有楽町あたりから、ガタンゴトンと音を立てながら東京駅へと歩みを確かめるように進む新幹線は、どんなユンケル黄帝液よりも、都市生活者を励ましている。東京で仕事をするエネルギーは、たとえ何年に一回かの帰省であっても、品川−東京の新幹線の滑走の中にあるのだ。わかっちゃいない、JR東海。これを企画した社員は、たぶん東京出身の人間なのだろう。こいつは、東京とは何かをいちばんわかっていない奴だ。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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