まだまだ終わらないSONY『コクーン』問題 2002年11月24日
今日は、CSV-S55(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200204/02-0415/)の「利用者座談会」に参加してきた。場所は、表参道駅徒歩1分の「アクセス表参道」5F(東京都港区北青山3-6-17)。表参道なんて滅多に行かないところだが、神宮の銀杏並木に趣があった。このあたりの銀座線の駅の乗客はハイカラさんが多くて乗っているだけでも楽しい。実はこのあたりの駐車場は伊藤忠ビルの大駐車場(あの周富徳のレストランhttp://gourmet.zubapita.com/item/300/i14095680/がある地下の駐車場: 北青山2-3-1 CIプラザビルB1)しか知らないので(私の貧弱な青山経験ではこの駐車場が一番無難で安全)、そこに駐車して、銀座線の「外苑前」から「表参道」まで一駅“旅行”した。
この利用者座談会は『レアソン』(http://www.re-a-son.com/)という渋谷にある調査会社がSONYの委託を受けての座談会だ。21日の木曜日、突然携帯電話に電話がかかってきて、参加してもらえませんか、となった。私はSONYSTYLEでCSV-S55を買ったので、その登録データからの連絡だったのだろう。こういった調査は前にもVICTORのHM-DH30000 (http://www.jvc-victor.co.jp/products/vcr/HM-DH30000.html)のときに参加したことがあった。どちらも2時間程度で10,000円出る(この金額がこの種のイベントの相場のようだ)。ちょっとした食事ができるし、商品について言いたいことはたくさんあったので、忙しい最中だが引き受けた(25日月曜日には講演が控えていて、まだ原稿が完成していないというのに。いっそのこと『コクーン』論というタイトルで講演した方が盛り上がるかもしれない)。
出席者は7人。レアソン社からは3人。出席者の年齢の平均は、30才後半といったところか。最初軽い自己紹介をしてから始まったが、レアソン社の司会がいくつかの質問をするという形のものだ。たとえば、質問は以下のようなものだった。
1)地上波、衛星波、ケーブルテレビなどの家庭での視聴状況はどんな状況か
2)どういった媒体でCSV-S55を知ったのか
3)どこで買ったのか
4)いくらで買ったのか
5)どんな買い方をしたか(知ってすぐに買ったのか、視聴してからかったかなど)
6)CSV-S55の価格は妥当だと思うか
7)CSV-S55の出・入力端子にどんなものを繋いで使っているのか
8)リモコンのボタンで主に使うものはどのボタンか
9)その他
以上、こんな質問、わざわざ忙しいときに人を集めて聞く質問でもないだろうというような質問で1時間半続いた。こんな質問はあらかじめ紙のアンケートで済ましておけば書記(会場には女性の書記がひとりいた)など用意することもなくより正確により詳細に記録が取れるはずだ。さらに時間がかかったのは、このくだらない質問を一問一問、ひとりひとり順に聞いていくからである。つまり「座談」会ではないのだ。ときどき私が割って入って座談会のようにしようとしたが(それなりに盛り上がる気配はあったが)、この輪番応答は最後まで続いた。得るものはほとんどなかったといって良い(もっともこれはお金をもらったモニター仕事なのだから、こちらで得るものはもともとないと割り切ればわりきれそうだが)。
私は、CSV-S55の(革命的な)利便さに疑いはなかった。それは参加者一同の一致した見解だった。ただし私がわざわざ参加したのは、その調子で『コクーン』はもっとすばらしいものになっているだろうと錯覚するユーザーがいることに警鐘を鳴らすためだった。というより、『コクーン』の“退歩”を見定めながら、この有望な商品の将来をユーザーや関係者と一緒に議論したかった。私を除いた6人の内、1人だけが「コクーン」も買っていたが、残りの5人はまだ買ってはいなかった。形式的な会話が繰り返される中で、何度か「『コクーン』はひどい」という発言を繰り返した。司会者は、「ここだけの話にしてください」としか言わずに、そのつど「では次の方」と相変わらず盛り上がりかけた議論を遮り続けていた。帰りのエレベータの中で、その5人が私のところに集まってきて、「芦田さん、今日は来て良かった。『コクーン』、実は買いたかったんですよ」と口々に言われた。「絶対止めた方がいい。買うんだったら、(CSV-S55の改良版の)CSV-S57(http://www.jp.sonystyle.com/Product/Channel/Csv-s57/index.html)をもう一台追加した方がいい(この理由は後述)」。「そうですよね」なんて最後の会話をしながら各人表参道駅を後にした。この最後の会話だけが「座談」になっていたのである。
『レアソン』という会社のホームページには「“リサーチのスキル”をベースに“ライフスタイル分析のインテリジェンス”を融合し、マーケティング、ブランディング、CRMの領域で、ブロードバンド時代に対応したリサーチベースの実践的なソリューション&コンサルテーションを提供します」とある。日本語としてもくどくどしいバカな会社案内(この案内文自体がマーケティングになっていない)だと思うが、今日の「座談会」のどこに“リサーチのスキル”があったのだろう、どこに“ライフスタイル分析のインテリジェンス”があったのだろう。SONYは、こんな会社に出資して、何をユーザーから聞き出そうとしているのだろう。こんな会社にリサーチを委ねているからこそ、『コクーン』のような商品やクリエPEG-NX70Vのような商品しか作れないのかもしれない(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=73)。
今日の座談会で一つだけ収穫だったのは、CSV-S55の何がCSV-S57 (http://www.jp.sonystyle.com/Product/Channel/Csv-s57/index.html)では改善されたのかがわかったことだった(私が質問をして答えてもらった)。一つは可変ビット処理になって、画質が『コクーン』並に良くなっていること。処理速度の遅さによってもたもたしていた操作系が『コクーン』並にきびきびしたものになっていること。検索カテゴリーが『コクーン』並に増えていること(主にはこの3点)らしい。要するにCSV-S57こそが、正常進化しているのである。しかも値段はコクーンの半額。たしかにHDD(ハードディスク)がCSV-S57は80ギガ、『コクーン』は160ギガと倍の差があるが、これを気にしてはいけない。何度も言うように(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=73)、『コクーン』は消去設定が任意にできないから、HDD(ハードディスク)の容量が大きいことはほとんどメリットにならない(買って1週間か2週間で満杯になるHDDなんて役に立つわけがないじゃないか)。『コクーン』の160ギガであれば、任意に消去設定できるCSV-S57の80ギガの方がはるかに役に立つのである。
ボーナスがこの不況で一気に削減された(あるいはボーナスさえ出ない)お父さん、CSV-S57は“買い”です。これを買うと毎日のように(どんなに忙しくても)使うようになります。私なんか、毎日帰宅は22時を超えますが(学校に朝8:15〜21:30くらいまではいます)、帰ると必ずこの機械のスイッチを入れます。それまで、ビデオデッキは月に2,3回しか使いませんでしたが(5台もあるのに!)、このCSV-S55やコクーンを導入すると毎日1時間程度は必ず使うようになります。“費用対効果”でいえば、あまり使わない2,3万のビデオデッキ(とそのつど買わねばならないビデオテープ)を買うよりは、この機械を買った方が得です。まだイメージがわかない方、たとえば私の『コクーン』には、ざっと思い浮かぶだけでも常時以下のような番組が記録されています。
クローズアップ現代(NHK)、ニュースステーション(10ch)、NHKニュース10(NHK)、筑紫NEWS23(6ch)、徹子の部屋(10ch)、ヘイ!ヘイ!ヘイ!(10ch)、たけしのTVタックル(10ch)、スーパーTV(4ch)、爆笑おすピー問題(8ch)、踊るさんま御殿(4ch)、プロジェクトX(NHK)、その時歴史は動いた(NHK)、水10!(8ch)、アンビリバボー(8ch)、とんねるずのみなさん(8ch)、Mステーション(10ch)、ぐるナイ(4ch)、芸術に恋して(12ch)、メントレG(8ch)、HAMASHO(4ch)、さんまのまんま(8ch)、ずばっと(6ch)、ウエークアップ(4ch)、建物探訪(10ch)、ワッツニッポン(8ch)、メレンゲ(4ch)、めちゃ×2イケてる(8ch)、ブロードキャスター(6ch)、美の巨人達(12ch)、恋のから騒ぎ(4ch)、99サイズ(4ch)、朝なま報道局(6ch)、報道2001(8ch)、日曜討論(NHK)、サンデージャポン(6ch)、サンデープロジェクト(10ch)、ウチくる!?(8ch)、噂の東京マガジン(6ch)、新・平成日本のよふけ(8ch)、ロンブー龍(4ch)、報道特集(6ch)、ミュージックフェア(8ch)、ZONE(6ch)、笑う犬の情熱(8ch)、NHKスペシャル(NHK)、EZ!TV(8ch)、そして音楽が始まる(12ch)、世界遺産(6ch)、デジタルドリームライブ(NHK)、ドキュメント’02(4ch)、ガイアの夜明け(12ch)、朝まで生テレビ(10ch)などなど。
これらは、CSV-S55では定期的に上書き録画を繰り返すように私が設定していたが、『コクーン』では先週のものや先日のものがどんどん残っていく。私の『コクーン』は320ギガバイト版(http://www.jp.sonystyle.com/Product/Cocoon/Channel/Csv-e77/works.html)だが、だから、あっという間にその320ギガバイトHDD(ハードディスク)が満杯になる。古いものから順に自動的に消されていくが、古いもの、と言ってもこれだけあると色々あるから、この繭(コクーン)は何を優先して消すのかわからない。いちいちプロテクト処理(この番組は消すな、という命令設定)をする必要がある。これが、何度も言うが『コクーン』最大の欠陥。
ちなみに、これとは別個に「映画」というキーワードで勝手に(おまかせ・まる録で)記録された、今も私の『コクーン』の中に残っている映画は、「陪審員」「評決」「風花」「ダブルボーダー」「富江re-birth」「推定無罪」「ペリカン文書」「ラストクリスマス」の8つ。半分以上は観ているが(レンタルビデオで観たものだが)、残りの映画はまだ一度も見たことがないものだ。
これらの番組が時間と曜日を超えて好きなときに見られるというのが、この機械の快楽です。これをビデオデッキでやるとすれば、大変なことになります(ほとんど不可能です)。私もビデオデッキの時には、こんな番組(というよりTV番組で大切な番組なんて元々無いのだから)いちいち観てはいませんでしたが、この機械では気が向けば観ています。だから年末や年始には(特に年末のNHKなどは、歴史的なライブラリをいっぱい放送しますから)、必需品であること間違いなし。お金が無くて、海外へ行けない人、お金があって海外へ行くけれども日本のお正月気分をそれはそれで味わいたい人、どちらにしても必需品です。
それに、私が家族に勝手に買ったAV(オーディオビジュアル)商品で、これほど賛同を得た商品はありません。何と言っても?毎日使う ?家族三人お互いが忙しい中で観たい番組が盛りだくさん好きな時に観られる ?テープ探し、ラベル書きの手間が無くなった(ビデオテープはもういらない・掃除や整理保管の手間が無くなった) ?私が不在の時の予約設定で家内や息子が失敗することが無くなり、そのことによる家庭不和が無くなった(昨年の9・11事件の時には急遽予約の電話を入れたにもかかわらず、すでにビルは倒れていた) ?予約の失敗という点ではもはやそれは皆無です。番組表(新聞のテレビ欄のように)が画面に出てくるから、撮りたい番組にカーソルを合わせて「決定」キーを押すだけ。ちょうど新聞紙にマーキングする感覚です。誰が失敗するというのでしょうか。Gコードでさえ難しいと思っていた人、これで失敗することはありません。
だから、お父さん。これは有り金はたいて買っても絶対怒られませんよ。買うときはSONYSTYLE( http://www.jp.sonystyle.com/index.html)で買うのをおすすめします(http://www.jp.sonystyle.com/Product/Channel/Csv-s57/index.html)。他の安売りショップとそれほど値段は変わらないし、3年間の保証も付いています。ただし『コクーン』は買ってはいけませんよ。無駄使いです。CSV-S57を買って、これを使いこなすようになったころ、次世代(次々世代?)『コクーン』が出てくるはずです。それに期待しましょう。
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