SONY『コクーン』は何を間違ったのか(そしてクリエも) 2002年11月23日
SONYの「コクーン」(http://www.jp.sonystyle.com/Cocoon/index.html)が11月1日発売された。先代のCSV-S55(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200204/02-0415/)のときには「チャンネルサーバー」と呼んでいたが、わざわざ「コクーン(COCOON」=「繭」とネーミングを変更して、「あなたのネットワークライフを絹糸のようなきめ細かさで包み込みます」とある。要するにCSV-S55のときにもこの「芦田の毎日」で取り上げたように(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=24)、テレビ番組をHDD(ハードディスク)に記録する機械なのだが、もう一度、このCSV-S55とコクーンに共通する特徴を整理してみる。
1)両者ともその一台で最大100時間(CSV-S55)、200時間(コクーン)の番組記録ができる。ビデオテープを出し入れする時代は完全に終わった。
2)両者とも記録したテレビ番組名が自動的に入る記録ができる。何処に何を記録したかわからないままあれこれのテープを再生する時代は終わり、テプラの時代も終わった。
3)両者とも「追っかけ再生」(記録している番組を、まだその番組が終わらない内から頭から再生する機能)「再生同時録画」(記録した番組を再生しながら、別の番組を録画する機能)ができる。記録と再生が同時になることによって、テレビを観ているのかビデオを観ているのか区別の付かない時代に突入した。
4)両者とも観たくなるような番組の検索ターム(予め指定された検索語の範囲内でのことだが)を与えておけば、指定しない番組までもその検索タームに従って、自動記録してくれる。これをSONYは、「おまかせ・まる録」機能と呼んでいる。無意識を記録する時代に突入した。
5)両者ともテレビ番組表を表示する機能を持っており、新聞のテレビ欄を参照することなく録画予約できる。Gコード予約ですら面倒な人には便利。新聞からテレビ欄が消える時代に突入した。テレビ情報はテレビで観ればよいのである。
6)両者とも、HDD(ハードディスク)の記録容量が満杯になれば、古いものから順に自動的に消していってくれる。感覚的には無限記録できるような感覚だ。ビデオテープがなくなる時代に突入した。
7)両者とも、携帯電話やインターネットにつながっている会社のパソコンから予約録画ができる。家電を遠隔操作する時代に(本当に)突入した。
一方、CSV-S55とコクーンの違いを気ままに(特に良くなっている点に留意して)列挙すると以下である。
1)CSV-S55 は、チューナーが一個しかなかったが、コクーンは2個ついており、同時刻に放映されている番組を録画することができる(実は、これがウソだというのが後でわかる)。
2)CSV-S55は、録画した番組をただ継時的に(録画した新しい番組順に)表示、それを選択して再生するというインターフェイスだったが、コクーンは、それに加えて、番組をグルーピングして整理するという機能が付いている。SONYは、これを「自動カテゴライズ機能」と呼んでいる。たとえば、「映画」「音楽」「ニュース」「バラエティ」などというように。「おまかせ・まる録」により、コクーンが勝手に記録した番組、ユーザーが従来のように手動で予約記録した番組も自動的にこの分類に整理されて、大量の番組記録の検索性が高まった。検索性だけではなく、このインターフェイスは、番組再生中にもリモコンのカーソルキーだけで直接アクセスできるため、まるでチャンネルを選ぶように他の記録した番組を再生できる。しかも面白いことに、このカテゴリーの中には「LIVE放送」というものまでさりげなく入っているため(「自動カテゴライズ機能」の白眉は、実はこの「LIVE放送」というカテゴリーが入っていることにある)、ユーザーは、何が録画で何がライブかがわからない。まるでテレビに内蔵されたチューナーで、自分自身が好きな番組だけを放映するチューナー(マイ放送局チューナー)が付いているような快感に浸れる。
3)コクーンは、「おまかせ・まる録」の際の選択キーワードの選び方にかなり自由度が増している(詳しくは後述する)。CSV-S55の「おまかせ・まる録」機能に対してコクーンは「おまかせ・まる録2」とSONYは呼んでいるが、この命名は誰が考えても安易だ。
4)コクーンは、画質が格段によくなっている(同じ圧縮率であっても)。これはもっとも実益的な進化だ。
5)コクーンは、処理速度(一つ一つの操作指令に対する)が軽快になっている。
6)コクーンは電話回線を使わず、インターネットの常時接続を前提に作られている。そのためか外出先からの直前の予約(携帯電話やパソコンからの)が可能になった。CSV-S55の時には、一日2回の指定しかできなかった。
しかし、新しいからと言ってすべてが良くなっているとは言えない。以下に、ダメになった点、それほどでもない点を挙げておく。
1)コクーンでは消去指定が出来ない。CSV-S55では、翌日上書き消去(ニュースなどの録画設定の場合便利)、1週間後上書き消去(一週間単位で放映される番組録画設定に便利)という設定が録画設定の時にできたが、コクーンではこの種の任意の消去設定ではできない。したがって、320ギガバイトの超大容量版コクーンを買っても、1週間か2週間もしない内にHDD(ハードディスク)は満杯になる。たとえば久米宏の『ニュースステーション』を録画設定した場合、CSV-S55では翌日消去設定しておけば、いつも最新の(当日の)ニュースステーションだけが上書き記録されて無駄な容量を食わないが、コクーンでは、HDD(ハードディスク)が満杯近くになるまで(何日も前からの)『ニュースステーション』が記録し続けられる。ほとんど無駄な録画だ。しかもこのように溜まっていく番組がどういったものから消去されていくかの“法則”が複雑なため(直ちにはわからないため)、ひょっとしたら、大切な番組が消されるかもしれないという恐怖感にもとらわれる。意味なく溜めてしまうと、意味なく消されることに不安感が生まれるのだ。消去設定が任意化できないコクーン。これは、明らかな退歩である。
2)この消さないコクーンは、しかも消すのが大変。コクーンはCSV-S55と違って、番組をグルーピングして(「映画」「音楽」「ニュース」「バラエティ」などというように)保持もすると書いたが、このグルーピングの画面からは番組を消去できない(消去できないだけではなく、消去するな、というプロテクト設定もできない)。その操作は、結局、CSV-S55のように継時的に上下に並んだタイトル画面に移って操作しなければならない。
しかもCSV-S55のように翌日消去や一週間後消去ができなかった番組がずらりと並んでいるため、消去か保存かの判断に迷う場合が何度も生じてしまう。そのたびに再生して内容を確認しながらの面倒な操作を強いられる。もともと多くの番組を意味付けながら整理するためにグルーピング機能(「自動カテゴライズ機能」)を付けたはずなのに、そしてその意味付けの中には、単に観るための意味付けだけではなくて、不要か、不要でないかの意味付けもあるはずなのに、そのタイトル画面において消去や保護指定ができないというのはふざけた話だ。消去設定を任意化できるCSV-S55の継時的な整理の方が、はるかに必要な番組が何処にあるのかを見つけやすい。しかもコクーンの分類(グルーピング)はきわめて曖昧。野口悠紀雄(http://www.noguchi.co.jp/)が言ったように「分類」は悪であり、継時的な整理(=「超整理法」)の方がはるかにわかりやすい。
さらに、このグルーピング画面の時には、番組名が一つずつしか表示されないため(「ビュー」ボタンを使えば、三つずつは表示されるが、三つでしかない)、いったいどれくらいの(たとえば)映画番組が記録されているのか、その数がわからない。分類整理された番組を一覧表示できないのだ。カーソルの上下キーのようなものを使って、ひとつひとつめくるようにしてしか全体がわからない。しかもコクーンの記録の仕方は、常時HDD(ハードディスク)を満杯にしておくという思想によって作られているため、そのほとんどが観たくもない番組によって占められている。そうなると番組名が一覧できないというのは、全く億劫。検索性はむしろ退歩している。
3)コクーンは2チューナー搭載。同時放映の番組をコクーン一台で記録できる、と誰もが思うに違いない。CSV-S55で、HDD(ハードディスク)記録の快感にはまったユーザーは誰もがこの機能だけでも買い換えたくなるだろう。特に特別番組が目白押しの年末年始には重宝するだろうと思うとこれが大間違い。たとえば、久米宏のニュースステーションとNHKの「ニュース10」を同時に録画設定できるかというとそれができない。この2チューナーシステムは、久米宏のニュースステーションを録画設定していて、その同じ時間帯に「おまかせ・まる録」機能が働いてコクーンが勝手に録画しようとする場合(検索キーワードがその時間帯の番組に当たった場合)にのみ働くようになっている。ユーザーが手動で時間が重なる二番組を録画設定する場合には記録できない。
要するに、この2チューナーは、「おまかせ・まる録2」のために存在しているモノであって、ユーザーが直接記録したい番組のためにあるのではない。コクーン自身のエゴイズムのための2チューナー搭載なのである。しかし、ユーザーが日常的に苦労しているのは、テレビを観られないときの同時放送だ。たとえば、『プロジェクトX』と『ニュースステーション』を遅い帰宅のために観られないときには、コクーンは役に立たない。『プロジェクトX』の最後の盛り上がりの数分間が『ニュースステーション』のトップニュースの数分に重なってしまう。2チューナーのHDD(ハードディスク)記録があればどれほど便利か、と思うところだが、コクーンの2チューナーはこういった場合、何の役にも立たない。
たとえば、『プロジェクトX』を指定録画しておいて、『ニュースステーション』を「夜のニュース」(コクーンが前もって用意している検索語)という検索語で「おまかせ・まる録」にした場合、どうなるか。そうするとコクーンはなぜかNHKの『ニュース10』(この番組自体は決して悪い番組ではないし、最近の久米宏の『ニュースステーション』は全く精彩を欠いているが)を(勝手に)選んでしまう。しかも、この副作用は抗ガン剤の副作用どころではない。一度「夜のニュース」を選択すると7:00のニュースも民放のニュースも含めてどんどん記録し始める。過食症の病状を呈し始める。
4)さて、その「おまかせ・まる録」の性能だが、これがまたダメ。というのも検索語が自由に指定できない。たとえば、私は明石家さんまのフアンだが、彼が出る番組を「おまかせ・まる録」したいと思ってもそれはできない。時々忘れたころに放映される国会中継や予算委員会なども、そのタームで任意に指定しておいて、知らぬ間に(かしこく)記録されているというのが「おまかせ・まる録」の本来の機能だろうが、それができない。コクーンには「MYCAST」ボタンがついて、番組ごとに検索語を指定できるようになったがそれも限られている。
たとえば、11月12日の『踊るさんま御殿』(4ch)をコクーンで(生放送でも録画放送でも)観ていてこの「MYCAST」ボタンを押すと画面に「さんま」「バツイチ」「セイン」「ピンクレディ」「志垣太郎」と五つのキータームが出てくるが(これは12日の『踊るさんま御殿』の参加者と話題が選ばれているが、なぜこの参加者とこの話題だけが選ばれたのか私にはわからない)、このキーワードのどれかを選ぶとそのキーワードが基になって、次からは、そのキーワードに関連する番組を自動的に(勝手に)記録するようになるというのがコクーンの「おまかせ・まる録」の進化機能(「MYCAST」機能はCSV-S55にはなかった)。いわば、「MYCAST」ボタンはパソコンマウスの右クリックボタンのようなものだ。
しかしここで「さんま」を選んでも、たとえば『さんまのまんま』を自動的に記録するかというとそうでもない。これはコクーンの知能指数が低いというよりも、たぶんテレビ番組データベース(番組シソーラスデータベース)がまだまだ不十分なのだ。「映画」「歌番組」「ニュース」という程度ならコクーンは賢いが、せいぜいその程度。検索語というよりは分類語どまりだ。SONYではユーザーが観る番組についての学習機能がコクーンには付いているというが、肝心の番組データベースが不備なのだからそれほど期待できないだろう。
それに致命的なのは、ユーザー自らのキーワードをMAX9個しかもてないため、複合的な番組の絞り込みができない。先の「MYCAST」ボタンで「さんま」を選ぶともう残りは8個しか選べない。たとえば、先の『プロジェクトX』と『ニュースステーション』の場合でも「MYCAST」ボタンを押すと、番組名自体が出てくる場合があるが、それを検索語に使ってしまうと、要するに総計9番組しか指定できない。しかし番組名を指定するくらいだったら、(従来のように)指定録画したほうが早い(だからこそ、2チューナーを指定録画のために開放すべきなのだ)。番組名を「MYCAST」ボタンで指定することは、「おまかせ・まる録」思想の自殺行為なのだ。「絹糸のようなきめ細かさ」で番組を選び出すのは、現在のテレビ番組データベースでは元々不可能なことなのである。コクーンは、録画したい番組の前でコックンと寝てしまう。自分だけが勝手に太る繭(COCOON)なのである。我が家では「コクーン」と言わずに「コックン」と言うことにしている。
5)リモコンがCSV-S55よりダメになった。以前は番組表ボタンがあり、それを押すと画面にその日の番組表がすぐに出ていたが(新聞なしに番組が選択できたが)、それがなくなったため(先のMYCASTボタンや不十分なNETボタンに場所を取られてしまったため)、番組表からのアクセス(録画や再生のための)が一気に不便になった。番組表を意識させない、という思想はわかるが、これも技術の裏打ちがないため(上記のような諸欠陥によって)、意識過剰な単なる観念論になっている。
6)ついでの欠陥だが、CSV-S55では、同社のワイヤレステレビモニタ『エアボード』(http://www.jp.sonystyle.com/Qnavi/Detail/IDT-LF2.html)のソフトリモコンが使えたが、コクーンでは使えなくなった(電源ボタンくらいは使えるが、番組選択ができない)。もともとチャンネルサーバーから出発しているのだから、コクーンも『エアボード』につないでこそ、最強のユビキタスAV環境(SONYの提唱する)が完成するはず。それを自ら否定してどうするというのだ。どのみち(まもなく)、『エアボード』もリモコン付きで新製品を出してくるのだろうが(この『エアボード』の最大の欠陥はモニタをリモコン操作できないということだった)、それは新製品とは言わない。コンセプトの甘さ(思想的な整合性のなさ)をコストダウンという命題と混同している。ユーザーをバカにしているのである。
●総論
CSV-S55とコクーンは、全く別の思想で作られている。それが「コクーン」という変名の理由だ。一番の違いは、HDD(ハードディスク)の使い方にある。コクーンは使い始めたその日からとにもかくにも一気にHDD(ハードディスク)を満杯にする。いつでも番組が満杯になりながら、不要と思われる(コクーンがそう思う)番組を消しつつ、記録が進んでいく。CSV-S55は、消去設定が可能であるため、空き容量は計算できるし、それほど変化もしない。上書き消去を繰り返すからだ。この場合の空き容量は、取り貯めしておきたいライブラリー的番組がどれくらいになるのか、ということになる。たとえば、『世界遺産』『NHKスペシャル』『そのとき歴史は動いた』などの番組をどれくらい記録したかが空き容量のためのものとなる。たしかに、SONYがそう思っているように、このCSV-S55の考え方は古い。予約を設定する(消去設定も含めて)という考え方自体が古いからだ。
テレビ番組を記録するということは、かつてSONY社長の盛田が(アメリカでの著作権問題を処理するために)考えついた「タイムシフト」ということなのだから、時間を意識しない記録でなければならない(再生を時間意識しないというのなら、記録も時間意識しないようにしなければならない)。つまり番組表というタイムテーブルを離れた記録が本来の記録でなければならない。何曜日の何時から始まる番組を記録したいということではなくて、どんな番組を観たいのか、ということに応えるレコーダーが新しいレコーダーの本来の課題である。それを一言で集約すると「おまかせ・まる録」ということになる。そうなると、HDD(ハードディスク)の空き容量をユーザーに意識させること自体が意味のないことになる。それがコクーンの思想だ。たしかに「おまかせ・まる録」こそが、今後のビデオレコーダーの本流になるだろう。その点ではCSV-S55(「おまかせ・まる録」)からコクーン(「おまかせ・まる録」2)への展開は正常進化だと言える。
しかし、そのためには解決しておかねばならない問題が二つあった。
一つは、テレビ番組データベース(検索データベース)の充実ということである。それを暗示するのが「MYCAST」ボタンであるが、現在のこの検索体系は(先にも報告したとおり)貧弱きわまりない。これでは“観たい番組”は決してヒットしないだろう。たぶんこの課題をなしとげるには、SONY自身がテレビ番組データベースを作る以外には不可能だろう。現在はTBSの番組表を借りているが(だからいつも番組表を開くと必ずTBSの番組が最初に出てくる)、これでは「おまかせ・まる録」は不可能だ。SONYは、クルマのNAVIゲーションシステムで、道路地図を九州のゼンリンという会社の標準地図を借りて作り続けているが、独自の道路地図を(北海道の会社と提携して)採用したパイオニアに完敗してしまった。クルマのNAVIにとって、道路地図は生命線であって、それを独自開発しないというのは致命的なことだったのである。同じように、「おまかせ・まる録」を本気でやるのなら、テレビ番組表データベースを膨大な検索テキストデータベースのようにして独自開発しないと成功しないだろう。
もう一つは、膨大な記録番組を前にして、観たい番組を一気に見つけることのできるインターフェイスの開発である。CSV-S55から進化したと思われているグループ化(カテゴライズ化)は、?カテゴリー自体をユーザーなりに設計できない(決められたものからの選択はできるが) ?一覧表示ができない ?(このカテゴリーの内部で表示される番組の)消去やプロテクト設定(勝手に消すなという保護設定)ができないという不便なモノだ。これではHDD(ハードディスク)を観たい番組ばかりで満杯にするというコクーンの思想は実現しない。観たい番組どころか、観たくない番組さえもどこにあるのかがわからない。そうこうしているうちに、コクーンは勝手に番組を記録し、勝手に番組を消していく。だからいつまで経っても、観たい番組が見つからないことになる。
結局、今のテレビ番組データベースに依存する限り、「おまかせ・まる録」は、お節介な機能でしかない。ソフト的な機能開発(テレビ番組データベース開発)が遅れている限り、2チューナーや3チューナーを投入、フルチューナー(地上波、衛星波のすべてを含んだ)の投入、外部HDD(ハードディスク)の拡大増設仕様など、物量的な進化の方がはるかに魅力的な商品になったような気がする。こういった商品は、究極的には、ビデオ録画操作がむずかしい、わずらわしい人たちのためのものだろうが、現在のマーケットとしては、オタッキーな人たちの市場でしかないだろうから(もちろんこれは私の“社会学的”な独断だが)、消去設定を自在に駆使し、すべての地上波、衛星波のテレビ番組表の定時番組、同時放映番組に自在な網をかけられる人がまず使用し始めないと広がらないだろう。
結論は、ただ一つ。コクーンは中途半端な商品だということである。少なくともCSV-S55からの正常進化だとは思えない。本当にテレビ録画が好きな人であれば、CSV-S55:現在はCSV-S57(http://www.jp.sonystyle.com/Product/Channel/Csv-s57/index.html)を二つ買った方が(コクーン一台買う価格とほぼ同じ)はるかにパワーアップしたデータベース(サーバー)ができるに違いない。もっともサーバーが二つあるというのは、サーバーではないが。
どちらにしても、年末年始が近づく。これからビデオデッキを購入しようとしている人。それだけは止めた方がいい。CSV-S55やコクーンを使い始めると「テープ」とは何と不便なモノか、番組と同時にタイトル(番組名)を記録できない録画とは何と不便なものかがすぐにわかる。SONYもせっかく面白い商品を出し始めているのだから、せっかちな試作品レベルのモノを市場に出すべきではない。「SONY」というだけで買う人がたくさんいるのだから、SONY自身が自覚する(節制する)以外に良い商品を出す機会はないと思った方がいい。要するにSONYは善意のユーザー(SONYに甘い)に支えられている。コクーンも、ほぼ同じ時期に出たクリエPEG-NX70V (http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Nx/Nx70v/index.html)も、“善意の”ユーザにしか支えられない試作品でしかない。マルチメディア志向のPDAを目指しているPEG-NX70Vのくせに何で内部ユーザーメモリが11メガしかないのだ。買って1週間くらいで、“メモリ”がいっぱいになるという点では、コクーンとクリエPEG-NX70Vの悲劇は似ている。こんなことを繰り返しているとSONYは第二のMAC(アップル社)になりますよ。
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