軽井沢セミナー旅行記(2) 2002年08月27日
軽井沢駅から、にぎやかな旧軽井沢を通って、「白糸ハイランドウエイ」を北上。ここは、「ハイランドウエイ」というほど道はきれいではなかったが(有料道路だが、料金は道のそばに立っているおじさんに渡すという何と田舎じみた道だったことか)、木立がきれい。沢のような渓谷が幾重にも重なって、道路を囲んでいる。私は石をひっくり返すと沢ガニがいるような渓谷が大好きだ。しばらくして我慢ならずにクルマを止めた。もともと「白糸の滝(http://ajusite.cool.ne.jp/wf_ng_01.htm)」(「行ってもたいしたことはない」という“外野”の声が多かったので)に寄る予定ではなかったが、余計に途中で渓谷に降りたくなった。
降りてしばらくするとこの風景は、「デジャブー」のような気がした。私の母方の里である京都貴船の風景(http://kyoto.kibune.or.jp/meisho/index.html)に似ている。貴船川の方がはるかに川幅が広いが(貴船川は、今西錦司http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~kimu/imanishi/の「棲み分け」理論http://users.hoops.ne.jp/akitagenryu/essei/sumiwake.htmlの母胎になったカゲロウの研究の舞台。死んだ祖母がよく、下鴨の今西先生のご自宅の前を通るたびに『ここのエライ先生が昔よく店に(http://kyoto.kibune.or.jp/fujiya/)お見えになってなぁ、どうしてはるやろ?』と耳にたこができるほど聞かされていた)、木の生え方やこけの付き方が貴船に似ている。貴船は京都の避暑地だが、同じ避暑地の軽井沢という点では、似ていて当たり前かもしれない。なつかしい思いに駆られながら(夏の貴船なんて、忙しくて相手にされない私はもう5年も10年も戻ったことがない)、再出発したが2、3分もしないうちに人と車が多いカーブに出くわした。なんとなく、これが「白糸の滝」の入口か、と思う人の多さだった。とても余裕のあるクルマの止め方などできない(京王の地下駐車場以下だったhttp://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=37)。さっさと取りすぎた。
しばらく走ると大きな道に合流。「鬼押出しハイウエイ」だ。このハイウエイは文字通りの「ハイウエイ」。有料道路らしい風格に満ちていたが、樹木の様子は、すでに軽井沢風ではなく、雑木も多かった。10分くらい走ると「鬼押出し」(http://www.tool-jp.com/public_html/photo/onioshi200109/index01.html)。「鬼押出し」は「寄ってもいいところ」とアドバイスを受けていたので(わが学園の職員たちは、教育の話をするときは頼りないが、行楽の話をするときは生き生きと話し始める!?)、期待していたが、なるほど、昔のへび花火のような黒い固まりが辺り一面を覆っている。が、ここも人気があって、クルマを余裕をもって止めることができない。通り過ぎてしまった。
「やっぱり、鬼押出しで止まった方がよかったのかな」と言いながら、少し見晴らしのいいところに出たので止まったら、そこは「嬬恋高原」とある(「嬬恋」と言えば、吉田拓郎が何十年も前に何万人も集めたコンサートをやったところだ)。傾斜はきついが牧草地帯らしい。ロッジのある売店があったので、降りて(駐車場は避けて、路肩の広いところに止めた)アイスクリームを食べる。2、300メートル下方に牛が放牧されていたが、まるで大きな絵が張ってあるように動かない。「あれ、絵じゃないの?」と私が言うと、息子が「牛は動かないよ」と答えた。なるほど、よく見たらしっぽだけは動いていた。私は、それでも「(しっぽだけは動く)なかなか巧妙な絵だな」とうそぶいていた。
「鬼押出し」見物を惜しみながら、次は万座温泉(http://www.manzaonsen.gr.jp/)。「鬼押出しハイウエイ」から「万座ハイウエイ」(http://plaza18.mbn.or.jp/~ducati400ss/shinsyu/manza.html)へ、ひたすら北上。万座温泉といえば、あの名作『私をスキーに連れてって』(http://www.tsutaya.co.jp/item/movie/view_v.zhtml?PDID=10002622)。原田知世の『バギューン』というピストルを打つまねをした仕草が今でも脳裏に焼き付いている。あのときの原田知世の白いコスチュームに白い万座の雪は最高に似合っていた。この映画には私は少し縁があって、最初の、バスで万座に行くシーンのロケに出くわしたことがある。まだ何もないお台場で夜遅く撮影していて、何を撮っているんですかとスタッフらしき人に聞いたら、『私をスキーに連れてって』と言っていた。変なタイトル、と思って過ごしていたら、なかなかの秀作だったのである。
しかし万座温泉まで近づいてきたところで、いやな予感が走った。硫黄の匂いがし始めたのである。白根山に近づくともっとイヤな予感がした。硫黄のために草木が育たず、核戦争後の山林のような景観を示し始めた。ということは、ここをクルマで走るということは、塗装がぼろぼろになるということではないか? 私は、景観の美しさに見とれながらも急に箱根の峠族のようにアクセルを踏んだ。ここから、白根山山頂(http://staff.aist.go.jp/nakano.shun/Jap/nagano/shirane.html)までは、(爆走して)ほんの数分だ。(続く)
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